机は増えていないのに、請求書が増えていた
小さな事務所の、人件費です。
D-7で「机はおしまい」と宣言してから、ごろは本当に物を買っていません。えらい。机の上は先月と同じ顔をしています。
ところが月末、明細を眺めていたごろは、しばらく固まりました。AIのサブスクが、いつのまにか何段にも積み上がっていたのです。チャットの定額。相棒の上のプラン。二匹目の定額。声で打つ道具。絵を作る道具。ひとつひとつは「これは要る」と胸を張って入れたはずなのに、並べてみると、なかなかの行列です。
ごろは電卓を叩き、天井を見て、それからこう言いました。「人をひとり雇うより、ずっと安い」。
この言い訳、半分は本当です。中身が全部、働き手だからです。文章を書き、ファイルを片づけ、下書きを整え、毎朝の仕事を回す。同じ仕事を人にお願いしたら、月々の桁がいくつ違うでしょう。そう思えば、この明細は道具代ではありません。小さな事務所の、人件費です。 雇い主として見れば、むしろ破格です。
そして残りの半分は、やっぱり言い訳です。使っていないサブスクが、いくつか混ざっていることを、ごろは知っています。雇ったのに、仕事をひとつも頼んでいない子がいる、とも言えます。そこでごろは、D-7の棚卸しの日に、サブスクの欄を足しました。問いはひとつだけ。「先月、この子に何を頼んだ?」。答えられなかったら、いったん解約。また必要になったら、また雇えばいい。働き手は、いつでも戻ってきてくれます。
>月末の明細を、雇い主の顔で眺めるごろは、今日もどこか誇らしげです。誰も雇っていないのに。あせらず、ゴロゴロ。

増補もっと知りたい人へ (1)
デスク日記Dコラム8本は、講座の1コマ(60〜90分)として一続きで使えます。「環境づくりの沼あるある」から始まり「足さない宣言」で着地する、小さな完結した物語の構造を持っているからです。M3連載では7本を差し込む(D-1・D-2=買う沼の入口、D-3・D-4=照らす・録る、D-5・D-6=しゃべる・広げる、D-7・D-8=締めと後日談)と、本編の章と交互に呼吸できます。日経メディカルでは「医師のAI作業環境」というテーマで1本のコラムにまとめて圧縮できます。勉強会では「今日の机チェックワーク」として6本の話題を全部10分に凝縮し、自分の環境を振り返るきっかけとして使うと参加者の手が動きやすいです。ワークショップ全体なら90分コース1本分の素材として十分に立ちます。
