18章 デザイン編
18-4

「ここをこう」で、直す

1か所ずつ

「ここをこう」で通じる、というやりとりです。デザイン版の会話術です。「カーニングを詰めて」「トンマナを揃えて」のような、呪文みたいな言葉は要りません。というより、そういう言葉は、たいてい言った本人も分かっていません。ふつうの言葉で十分です。

出てきたものが「惜しい」ときのための道具です。もう一歩なのに、どう言えばいいか分からない。そこを助けます。一発で気に入った人は、そのまま使ってかまいません。直すのは、直したいところがあるときだけです。

ごろは、出てきたお知らせを見て、うーんと唸ります。全体は悪くない。でも、日付が小さい。ここで初心者がやりがちなのは、「全体的にいい感じに直して」と、また丸ごと投げてしまうこと。ごろも昔はそうでした。そして毎回、別ものが出てきて、振り出しに戻っていました。今のごろは違います。「日付をもっと大きく」。まずこれだけ。出てきたら次、「色を少しだけ落ち着かせて」。1か所ずつ言うのがコツです。近づいたら、ごろは「これでいい」と、あくび混じりに止めます。止めどきを決めるのも、りっぱな腕前です。

ごろが紙の一点に前足を置き、相棒がその丸の中だけを直す
  • どこで: 直したいデザインを開いた画面
  • どうやって: 「〇〇を大きく」「〇〇を減らして」と、1つずつ頼む
  • きっかけ: 「惜しいな」と感じたとき
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ごろが一枚の紙の一角を前足でちょんと押さえ、そこだけを示す

あせらず、ゴロゴロ。

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

「ここをこう」でなぜ通じるのか、を少し掘り下げます。言葉とは、文脈を共有していると初めて機能するものです。「カーニングを詰めて」は、カーニングという概念を知っている人にしか通じません。一方「文字の間をもう少し詰めて」は、それを知らない人でも言える言葉です。AIは、日常の言葉で意図を受け取ることができます。専門用語は翻訳する必要がありません。ただし、日常の言葉でも「大きく」「いい感じに」のような曖昧な言葉は、方向が定まりにくいです。「もう少し大きく」「今の1.5倍ぐらい」「他の文字より目立つくらい」など、比較の基準がある言葉にするとより届きやすくなります。また、止めどきを決めることも同じくらい大切です。直し続けると、最初の良い部分まで消えてしまうことがあります。「ここまでで十分」と決める感覚は、デザインに限らずあらゆる作業で役に立ちます。

例をもっと

「全体は悪くないのですが、タイトルの文字だけ、今の倍ぐらいの大きさにしてください」

「背景の色が少し明るすぎるので、もう少しだけ落ち着かせてください。真っ白よりも少しだけベージュ寄りに」

「写真の枠をなくして、背景に溶け込むようにしてください」

「下の方にある連絡先の文字が小さすぎるので、もう少し読みやすくしてください。それ以外は変えなくていいです」

「(医療者向け・ダミーデータ前提)日付と会場名だけ太字にしてください。他のレイアウトはそのまま」

ごろつまずき集

「直すたびに別のところが変わってしまう」: 「それ以外は変えなくていいです」を必ず添えてみてください。範囲を明示すると、意図しない変化が減ります。

「何度直しても思ったものにならない」: 直しが5回を超えたら、最初からやり直したほうが早いことがあります。「ここまでやったことを踏まえて、最初から新しく下地を作り直して」と頼む手もあります。

「止めどきが分からない」: 「これ以上直しても変わる気がしない」と感じたら、そこが止めどきです。100点を目指さなくていいです。「伝わればいい」を合格点にすると、止めやすくなります。

あせらず、ゴロゴロ。
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