序章 まくら
0-3

最初の10ページで、一回さわる

この日はこう返ってきました。毎回すこし違います。

説明はもう十分です。ここまで来たら、一回さわってみるのが、いちばん早い。

何も入れなくていいし、登録もあとでいい。いま手元にある画面で、たった一回、話しかけてみるだけです。ごろが、先にやってみせます。

ごろ図

ごろは、おそるおそる話しかけました。うまい質問ではありません。ただ、困っていることを、そのまま打ち込んだだけです。

ごろが短いメモを画面へ差し出し、整理された返事を受け取る

すると、返事が来ました。ちゃんと、自分あての返事が。

ごろは目を丸くして、布団からずり落ちかけました。世界を変えたかったわけではありません。ただ、めんどくさかっただけです。でも、それでいいのです。

実演

ごろがその夜、実際に打ったのは、こんな一言でした。冷蔵庫を開けたら、材料が心もとなかったのです。画面の入力欄に、こう打ちました。

キャベツと卵と豚肉で、15分でできる晩ごはん、教えて

返ってきたのは、手順つきの献立が2案。ごろは布団の中から、ただ話しかけただけです。うまく書こうとしなくていいのです。困っていることを、話し言葉のまま打てば通じます。

ここで終わりにしないのが、コツです。返ってきた答えに、もう一言足してみます。

もっと洗い物が少ないほうで

すると、答えがもう一度、自分のほうへ寄ってきます。一回で決めなくていい。往復するうちに、ちょうどいいところへ近づいていく。この気持ちよさが、これから全部の節で起きることです。

ちなみに、画面の細かい見た目や、返ってくる献立の中身は、読む時期によって変わることがあります。細かい手順はオンライン追補にまとめてあるので、詰まったらそちらをのぞいてください。大事なのは、いま、一回話しかけてみることです。

実録・やってみた

さっきの実演を、はじめから終わりまで、はしょらずに追います。ごろの手元にあるのは、冷蔵庫の中身がこれだけ、という心もとない状況でした。

冷蔵庫を開けたら、あったもの
- キャベツ 半玉
- 卵 3個
- 豚こま切れ肉 少し
- (あとは調味料くらい)

ごろは、うまい聞き方を考えず、困っていることをそのまま打ちました。

ごろ
ごろが打った文キャベツと卵と豚肉で、15分でできる晩ごはん、教えて
相棒
相棒の返答その3つで15分ならこの2案はどうでしょう。案1、豚とキャベツの塩だれ炒め。フライパンで豚を炒め、キャベツを加えて塩・こしょう・ごま油で味付け(約10分)。案2、キャベツと豚の卵とじ。ざく切りキャベツと豚を煮て、溶き卵でとじる(約12分)。(…それぞれの分量の目安と、火加減のひとことが続きます…)ごはんかパンがあれば一食になります。

画面で見えること手順つきの献立が2案。どちらも今ある3つで作れる。

ここで終わらないのが、この本のコツでした。ごろは、皿を洗うのがめんどくさいので、もう一言だけ足します。

ごろ
ごろが打った文もっと洗い物が少ないほうで
相棒
相棒の返答それなら案1の塩だれ炒めがおすすめです。フライパン1つで完結し、卵を使わないぶん洗い物が減ります。さらに減らすなら、味付けを炒めながら直接ふりかける形にすると、ボウルも使わずにすみます。(…フライパン1つで作る手順が3ステップで続きます…)

画面で見えること2案から1案に寄った。しかも「フライパン1つ」まで踏み込んで、洗い物を減らす具体が足された。

一回で決めず、もう一言足しただけで、答えがごろのほうへ寄ってきました。仕上がりは、こんな一皿の段取りに落ち着きます。

この日、作ることにした一皿
- 豚とキャベツの塩だれ炒め(フライパン1つ)
- 手順: 豚を炒める → キャベツを加える → 塩・こしょう・ごま油で味付け
- 洗い物: フライパンとお箸だけ

この日はこう返ってきました。毎回すこし違います。 材料の言い方や、その日の気分の一言で、出てくる案も寄り方も変わります。同じ3つの材料でも、明日打てば別の2案が出てくるかもしれません。それでいいのです。大事なのは、一言目を雑に投げて、二言目で寄せた、という往復のほうです。

手順
  1. 手元にある材料や状況を、そのまま書く

    こうした方がいい

    うまく書こうとしない、口で言うとおりでいい

    ごろはこうしてみた

    「キャベツと卵と豚肉で」とあるものを並べただけ

  2. 条件を一つだけ足して送る

    こうした方がいい

    「15分で」など縛りを一つ入れると寄りやすい

    ごろはこうしてみた

    「15分でできる」を足して送った

  3. 返ってきた答えを、まず眺める

    こうした方がいい

    すぐ完璧を求めない、たたき台として見る

    ごろはこうしてみた

    2案出てきたので、両方ざっと読んだ

  4. 気になる点を「もっと〜して」と一言足す

    こうした方がいい

    直したい所を一つに絞ると答えが寄る

    ごろはこうしてみた

    「もっと洗い物が少ないほうで」と足した

  5. 寄ってきた答えで、自分が動く

    こうした方がいい

    選んで実行するのは自分の仕事

    ごろはこうしてみた

    フライパン1つの塩だれ炒めに決めて、台所に立った

うまくいったかの確かめ方

一言目より二言目のあとの答えが、自分の状況に近づいていれば成功です。近づいた感じがしなければ、足す一言を変えて、もう一往復してみてください。

ごろはじめの一歩
  • どこで: スマホかパソコンのブラウザで、対話できるAIの入力欄をひとつ開きます。具体的な開き方は第1部で案内します。序章は「開いて話す」だけで十分です
  • どうやって: うまく書こうとせず、困っていることを話し言葉のまま打ち込んで、送ってみてください
  • きっかけ: 返事が返ってきたら、すかさずもう一言。それが「一人でやる」から「いっしょにやる」に変わる瞬間です

手順(全3ステップ):

  1. claude.ai をブラウザで開き、入力欄にカーソルを置きます。
  2. 「まず何ができるか3つだけ教えて」と打って送ります。
  3. 返ってきた3つを読み、どれか1つに「もっと具体的に教えて」と返します。

所要目安:5分〜10分

到達チェック:

>
  • できたら○ AIに調べもの・要約・下書きを、ふだんの言葉で頼めた
  • できたら○ 返ってきた答えに、もう一言返せた

先生の赤ペン:最初のひとこと(M0)

【見るポイント】実走で2回失敗したことが一番の教材になりました。claude -p から呼ぶとAMPLの書籍プロジェクトを読み取り、「ゴロゴロAI本について話しているんですね」と解釈した返答が出ました。AIは「今いる場所」を手がかりにします。どこで、どんな状態で、どんな言葉で送るかが、すべて返答に影響します。

【危険信号】返答が全く見当違いの方向に飛んだとき。「何のことですか?」と聞き返してきたときは、失敗ではなくAIが正直に「分からない」と言っているサインです。怒らずに補足して再送するだけです。

【次の一手】混乱したら「話を戻して」「最初からやり直して」が使えます。人間関係と違って、話を切り直すことへの摩擦がゼロです。


あせらず、ゴロゴロ。

ごろあなたの番3分

そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。

キャベツと卵と豚肉で、15分でできる晩ごはん教えて →
もっと洗い物が少ないほうで(くらし)

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

一回で決めずに、もう一言足す。この「往復」が、なぜそんなに気持ちいいのでしょうか。ふつう、道具は一発で答えを出すものだと思われています。検索窓に言葉を入れると、結果がずらっと並ぶ。あそこには往復がありません。ところがAIとのやりとりは、会話の続きとして進みます。「もっと洗い物が少ないほうで」と足すと、前のやりとりを踏まえて、答えがこちらへ寄ってくるのです。

これは、最初から完璧な質問を作らなくていい、ということでもあります。うまく書こうとして手が止まるくらいなら、雑な一言で送ってしまって、返ってきたものを見ながら直すほうが速い。的が最初からわかっていなくても、往復するうちに、ちょうどいいところへ近づいていきます。だからこの本では、最初の一言のうまさをほとんど問いません。大事なのは、返事にもう一言を返すことのほうです。この往復の感覚が、これから全部の節でくり返し起きます。序章の一回さわりは、その予行演習だと思ってください。うまくいかない日があっても、往復を一回はさむだけで、たいてい少し前に進みます。

例をもっと

最初の一言と、そのあとの「もう一言」をセットで挙げます。往復の型を先に見ておくと、実際に打つとき迷いません。

キャベツと卵と豚肉で、15分でできる晩ごはん教えて → もっと洗い物が少ないほうで(くらし) 週末に子どもと行ける近場の場所を挙げて → 雨でも大丈夫なところだけに絞って(おでかけ) このお知らせ文をやわらかくして → もう少し短く、一文を短めに(仕事) この分野を初心者向けに説明して → 例えを1つ足して、専門用語は減らして(学び) 明日の持ち物リストを作って → 忘れやすいものに印をつけて(生活)

一言目は雑でかまいません。二言目で寄せていく。これが往復です。

ごろつまずき集
  • 症状: 最初の一言が思いつかず、入力欄の前で固まる。原因: うまく書こうとしている。一手: 「困っていることを、口で言うとおりに打つ」だけでいい、と決めます。文になっていなくても通じます。
  • 症状: 返事が来たが、なんだかピンとこない。原因: 一回で終わらせようとしている。一手: 気に入らないところを「もっと〜して」と一言足します。往復すると寄ってきます。
  • 症状: 返ってきた献立や画面の見た目が、本と少しちがう。原因: 読む時期でAIの答えや画面は変わることがあります。一手: 細かい手順はオンライン追補(QR)にまとめてあるので、詰まったらそちらを見ます。ここで大事なのは、一回話しかけたこと自体です。
あせらず、ゴロゴロ。
読んだ