置き手紙で覚えさせる(CLAUDE.md)
CLAUDE.md
毎回の説明を、一度で済ませられるようになります。
「置き手紙」なんて、ずいぶん古風な言葉です。じつは、これがこの部でいちばん効く道具です。机の上に1枚メモを貼っておくと、相棒は仕事の前に、必ずそれに目を通してから動くようになる。あなたの取扱説明書を、先に読んでおいてくれるのです。
毎回コピペするのも、悪くはありません。でも、毎朝おなじ人に「はじめまして、私は岡本です」と名刺を渡しているようなものです。1枚のメモにしておけば、その自己紹介が、まるごと消えます。章の開きでごろが脱力していた、あの「毎晩おなじ前置き」が、ここで晴れます。
書くことは、3つだけで十分です。①自分は何者か、②言葉づかいの好み、③やってほしくないこと。最初はこれで始めて、困るたびに1行ずつ足していきます。びっしり書く必要はありません。5行から10行くらいで、ちょうどいい。

この1枚には、決まった名前があります。CLAUDE.md です。横文字が出てきて、身構えましたか。大丈夫、名前が呪文っぽいだけで、中身はただのメモです。しかも、この紙は自分で作らなくてかまいません。「私の置き手紙を作って」と相棒に頼めば、あの子が用意してくれます。ファイルをどこに置くかも、名前の付け方も、ぜんぶ任せていい。
置き手紙は、育てる紙です。「またこれ説明したな」と思ったら、それを1行、足しておく。だんだん、説明することがなくなっていきます。ただし、増やしすぎると窮屈になります。足すのは「毎回言っていること」だけ。それ以外は、置かなくていいのです。ここでも、ごろのめんどくさがりが、正しい引き算になります。
毎回AIに「です・ます調で、短く、専門用語は避けて」と、同じ前置きを打っています。ラクにするには?
A この前置きをコピペして、毎回いちばん上に貼る B この前置きを1枚のメモに書いて置いておき、AIに毎回それを先に読ませる
あなたが打つのは、こんな一文です。
「私の置き手紙(CLAUDE.md)を作って。中身は、私は接客業で働いています、文章はです・ます調で短く、専門用語は使わないで。これを毎回先に読んでから答えて」
すると、1枚のメモが作られ、以後の返事が、その好みで返ってくるようになります。「敬語をもう少しやわらかく、を追記して」と言えば、置き手紙が1行育つ。毎回の前置きが、消えていきます。
はじめの一歩- どこで いつもの入力欄(ファイルの場所や作り方は、相棒に任せる)
- どうやって ①「置き手紙を作って」と頼む ②「自分は何者・言葉の好み・やめてほしいこと」を3行言う ③困るたびに「これも足して」
- きっかけ 同じ前置きを、2回以上打っていると気づいたとき
手順(全3ステップ):
- 「私の置き手紙(CLAUDE.md)を作って」と頼みます。「自分は何者・言葉づかいの好み・やめてほしいこと」を3行言います。ファイルの場所と名前は相棒に任せます。
- 作れたら、前置きなしで何か質問を一つ送ります。好みどおりに返ってきたか確かめます。
- 毎回説明していることがあれば「これも足して」と1行ずつ育てていきます。
所要目安:10分〜20分
到達チェック:
- できたら○ 「置き手紙〔CLAUDE.md〕」に、いつもの前提を一度書いた(4-4)
- できたら○ 「得意技〔Skills〕」という言葉と、それが型だと分かった(4-5)
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先生の赤ペン:置き手紙の効き目(M4)
【見るポイント】CLAUDE.mdなし(A)は金額が数字のみ、あり(B)は全項目に「円」がつきました。「円を付けて」という1行だけで、表の中の20個以上の数字が変わりました。3行の置き手紙の効果が3倍以上の場所に出ました。
【危険信号】置き手紙を書いた後にAIが逆質問してきたら「書き忘れがある」のシグナルです。質問の内容をそのまま置き手紙に追加してください。間接効果(「ですます調」で絵文字も消える)に頼るより、大事なことは直接明示する方が安定します。
毎朝の自己紹介は、もういりません。紙が1枚、代わりに覚えてくれています。あせらず、ゴロゴロ。
毎晩、相棒に同じ前置きを打っています。「です・ますで」「短くして」「むずかしい言葉は使わないで」。今日こそ、この自己紹介を1枚のメモに外へ出します。作り方も置き場所も、ごろは知りません。まっさらなフォルダに、相棒がぜんぶ用意してくれます。
okitegami/(空)画面で見えることフォルダに CLAUDE.md が1枚。中身はこうなっていました。
# わたしのこと(置き手紙)
- わたしは接客業で働いています。
- 文章はです・ます調で、短く。
- むずかしい専門用語は使わないでください。しばらく使ううち、敬語が少し硬いのが気になりました。ここで、ごろは1回、欲張ります。
画面で見えることメモが急にびっしり。次の返事は、絵文字だらけで、かえって読みにくくなりました。
増やしすぎです。毎回言っていること「だけ」に絞り直します。
画面で見えることメモがまた身軽になり、最後に1行だけ増えていました。
# わたしのこと(置き手紙)
- わたしは接客業で働いています。
- 文章はです・ます調で、短く。
- むずかしい専門用語は使わないでください。
- 敬語は、かたすぎない、やわらかい言い方で。これで、毎晩の前置きが、まるごと消えました。
この日はこう返ってきました。文面は一例で、頼むたびに少し違います。
「私の置き手紙を作って」と丸ごと頼む
こうした方がいいファイルの場所も名前も自分で決めず、相棒に任せます
ごろはこうしてみた「置き場所はまかせる」と言ったら、CLAUDE.md が1枚できて、置き場所を悩まずに済みました。
中身は3つだけ言う
こうした方がいい①自分は何者か ②言葉づかいの好み ③やめてほしいこと。5〜10行で十分です
ごろはこうしてみた3行から始めたら、身軽で読みやすい置き手紙になりました。
「毎回先に読んで」を必ず添える
こうした方がいいこれを言い忘れると、作っても好みが反映されません
ごろはこうしてみた添えたら、次の返事から前置きなしで好みどおりになりました。
困るたびに1行ずつ足す
こうした方がいい一度に盛らず、「またこれ説明したな」と思った分だけ足します
ごろはこうしてみた5つまとめて足して窮屈になり、1行に絞り直して身軽さが戻りました。
増えすぎたら削る
こうした方がいい「あったら便利」は消し、「毎回言っていること」だけ残します
ごろはこうしてみためんどくさがりの引き算が、ちょうどいい重さに保ってくれました。
うまくいったかの確かめ方: 置き手紙を作ったあと、前置きなしで質問して、好みどおりに返ってくれば成功です。返事が窮屈になってきたら、ルールの入れすぎ。削って身軽にします。
答えタップして答え合わせ

B
あなたの番3分そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。
私の置き手紙を作ってください。私は接客業です。文章はです・ます調で短く、専門用語は使わないで。これを毎回先に読んでから答えて。
置き手紙に1行足して。「結論を先に、理由はそのあと」を、いつも守ってください。
増補もっと知りたい人へ (4)
置き手紙が効くのは、AIの仕組みからくる理由があります。AIは、会話が変わるたびに、あなたのことを忘れています。だから毎回、前置きから始めることになるのです。ここで、毎回言っている前置きを1枚のメモに外へ出しておくと、AIは仕事の前に必ずそれを先に読んでから動くようになります。毎朝の自己紹介が、まるごと消えるのです。
この1枚には決まった名前があって、CLAUDE.mdといいます。横文字で身構えますが、中身はただのメモです。書くのは3つだけ。①自分は何者か、②言葉づかいの好み、③やってほしくないこと。5行から10行で始めて、困るたびに1行ずつ足していきます。ここで大事なのは、増やしすぎないことです。ルールをびっしり書き込むと、かえって窮屈になり、AIが身動きしにくくなります。足すのは「毎回言っていること」だけ。それ以外は置かない。この引き算が、置き手紙をちょうどいい重さに保ちます。めんどくさがりであることが、ここでは正しく効きます。実際、こうした置き手紙を運用する現場でも、短く保って必要なときだけ足す、が長続きのコツになっています。ここで一つ、勘違いしやすいことがあります。たくさん書けば覚える、ではありません。むしろ短いほど守られます。長い手紙は途中で読み飛ばされ、はじめのほうの大事な約束まで守られなくなることがあるからです。だからいちばん大事な三行は、手紙のいちばん上に置いてください。
私の置き手紙を作ってください。私は接客業です。文章はです・ます調で短く、専門用語は使わないで。これを毎回先に読んでから答えて。
置き手紙に1行足して。「結論を先に、理由はそのあと」を、いつも守ってください。
私は経理の仕事をしています。金額は必ず3桁区切りで、あいまいな表現は避けて、と置き手紙に入れてください。
子育て中で時間がありません。返事は3行以内、まず答え、という前提を覚えておいてください。
置き手紙に、「もし専門用語が出てきそうなときは、一言やさしい言い換えを添えてから使う」と足してください。こういう「もし〜のときは〜する」の形で書くと、状況によって守り方を変えてくれます。条件つきのお願いは、この形に固定しておくのがコツです。「もし」で始めて、「〜のときは」「〜して」で閉じる。型が決まっていると、相棒が条件を読み落としにくくなり、あとから自分が見返すときも、どんな場面の約束だったかが一目で分かります。
(医療者向け・ダミーデータ前提)私は小児科医です。説明は保護者にも分かる言葉で、断定を避けて、実在の患者情報は扱わない、を前提に入れてください。
つまずき集- 置き手紙を作ったのに、好みが反映されない。原因は「毎回先に読んで」を頼み忘れたこと。一手は、作るときに「これを先に読んでから答えて」と一言添えること。
- ルールが増えすぎて、返事が窮屈になる。原因は「あったら便利」まで書き込んだこと。一手は「毎回言っていること」以外を消して、身軽にすること。
- どこに置くか、名前をどうするか分からない。原因は自分で作ろうとしていること。一手は「私の置き手紙を作って」と丸ごと頼み、置き場所も任せること。
- 同じ説明をまた打っている。原因は、それを置き手紙に移していないこと。一手は「またこれ説明したな」と思った瞬間に「これも足して」と言うこと。
チャットは、会話が変わると前のことをすっかり忘れます。この、毎回まっさらから始まる感じが、私はどこかで見たな、とずっと思っていました。ある夜、思い当たりました。映画『メメント』です。数分前のことを覚えていられない主人公が、自分あてのメモや写真を頼りに、記憶をつなぎ直していく話でした。あれと同じだ、と。だから、大事なことはどこかに書き残しておかなければ、と腑に落ちたのです。それに、これはAIだけの話でもありません。人間の記憶も、じつはかなり当てになりません。細かいことになるほど、覚え方は曖昧で、どこで読んだかは思い出せず、言葉の意味も少しずれたまま使っていたりする。AIの作り話には気をつけろと言っておきながら、私たちの頭の中でも、小さな作り話は毎日起きています。もう、なんでも記憶できることがえらい、という時代ではないのだと思います。本当に大事なことだけを頭に残して、細かいことは、忘れない場所に書いておく。置き手紙は、まさにそのメモでした。相手が忘れてしまうなら、忘れないところに置いておけばいい。壁に貼った1枚が、消えてしまう記憶の代わりに、ごろの好みをずっと覚えていてくれます。
