第4部 つくって、育てる
4-5

得意技を仕込む(Skills)

得意技(Skills)
この話を読むと

長い注文を、短い一言に畳めるようになります。

まず、できあがりの姿を見てください。ごろは今、ゲーム機の前で、大きなボタンを1つ、指1本で押しています。ボタンには「週まとめ」とラベル。押した瞬間、後ろで見出し付け、要約、一言と、作業がドミノみたいにパタパタ倒れていきます。ごろは、ボタンに指を乗せているだけ。長い手順を毎回打っていた頃の消耗が、ボタン1つに畳まれたのです。

ごろが一つの週まとめボタンを押すと、見出し・要約・一言の三工程が順に進む

この、ラベルの付いたボタンが、得意技(Skills) です。よく使う手順に、短い呼び名を1つ付けたもの。長い注文を、名前で呼び出せるようにする仕組みです。

ドラゴンクエストを思い出してください。強い呪文ほど、詠唱は長いものです。でも、一度覚えてしまえば、次からは技名を言うだけで出せます。得意技も、これと同じ。長い手順を、技名で出せるようにするのです。名前が呪文っぽいだけで、やっていることは「よく使う手順に、あだ名をつける」。それだけです。

合図は、かんたんです。同じ手順を2回やったな、と気づいたとき。それが、名前の付けどきです。名前は、自分の言葉でかまいません。「週まとめ」「丁寧メール」「持ち物チェック」。覚えやすい呼び名を、自分で決めます。作り方は、置き手紙と同じで、相棒に頼めばいい。中身の設定を、自分で書く必要はありません。

置き手紙(4-4)との違いも、押さえておきましょう。置き手紙は「いつも守っていてほしい前提」。得意技は「呼んだときだけ出てくる手順」。常にそこにいるか、呼ぶと来るか。この違いだけです。

開きのクイズ

「記事を、見出しを付けて、3つに要約して、最後に一言」。この長い手順を、毎週打っています。どうする?

A 長い手順文を保存して、毎回コピペする B この手順に「週まとめ」と名前を付けて、次からは名前だけ呼ぶ

実演

あなたが打つのは、こんな流れです。

「『記事を貼ったら、見出しを付けて、3行に要約して、最後に感想を一言』、この手順に『週まとめ』という名前を付けて、次から呼べるようにして」。翌週は「週まとめ、この記事で」。

すると、手順に呼び名が付き、次からは「週まとめ」と材料だけで、一連が動きます。長文の注文を、もう毎回打たなくてよくなります。

ごろはじめの一歩
  • どこで いつもの入力欄(得意技の作成も、相棒に頼む)
  • どうやって ①毎回打っている長い手順を1つ選ぶ ②「これに〈名前〉を付けて」と頼む ③次から名前で呼ぶ
  • きっかけ 同じ長い指示を、2回以上打っていると気づいたとき

長い呪文は、もう唱えなくていいのです。覚えた技を、技名で。あせらず、ゴロゴロ。

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実録・やってみた

毎週おなじ長い注文を打っています。「記事を貼ったら、見出しを付けて、3行に要約して、最後に感想を一言」。これに短い呼び名を1つ付けて、次からは名前だけで呼べるようにします。得意技をしまう棚は、まだ空です。

skills/(空)
ごろ
ごろが打った文「記事を貼ったら、見出しを付けて、3行に要約して、最後に感想を一言」。この手順に「週まとめ」という名前を付けて、次から呼べるようにして。
相棒
相棒の返答「週まとめ」という得意技を登録しました。手順は「①見出しを付ける ②3行に要約 ③感想を一言」の3つです。次からは「週まとめ」と記事だけで動きます。

画面で見えること棚に「週まとめ」が1つ増えていました。中身はこうです。

skills/週まとめ/SKILL.md
  1. 見出しを付ける
  2. 3行に要約する
  3. 最後に感想を一言そえる

翌週、さっそく呼んでみます。ところが、1回目は少しズレました。

ごろ
ごろが打った文週まとめ、この記事で。(記事を貼る)
相棒
相棒の返答見出し「今週のAI動向」。要約: 今週は各社が新モデルを発表し、価格競争が進み、(…だらだらと1段落続いて…)業界全体の裾野が広がっている、という流れです。

画面で見えること見出しは付いたのに、要約が3行でなく長い1段落で、最後の一言も抜けていました。手順があいまいに覚えられていたようです。

順番を、番号で言い直して登録し直します。

ごろ
ごろが打った文「週まとめ」を直して。①見出しを付ける ②かならず3行に要約 ③最後に感想を一言、の順で、3つとも必ずやって。
相棒
相棒の返答3手順を番号で登録し直しました。次からこの順で動きます。

画面で見えることもう一度「週まとめ、この記事で」と打つと、今度はこう出ました。見出し「今週のAI動向」。要約が「・新モデルが相次いで発表/・価格が下がった/・使う人の裾野が広がった」の3行。最後に「来週は価格の動きに注目です」の一言。狙いどおりの形です。

長い注文を、もう毎回打たなくてよくなりました。

この日はこう返ってきました。仕上がりは一例で、頼むたびに少し違います。

手順
  1. 毎回打っている長い手順を1つ選ぶ

    こうした方がいい

    「2回やったな」と気づいたものを選びます。それが名前の付けどきです

    ごろはこうしてみた

    週報の要約を2週続けて打っていたので、これを選びました。

  2. 順番を番号で書き出す

    こうした方がいい

    ①②③と番号で区切ると、あいまいに覚えられずに済みます

    ごろはこうしてみた

    最初は文のまま頼んで要約が崩れ、番号で言い直したら狙いどおりになりました。

  3. 短い呼び名を付ける

    こうした方がいい

    自分の言葉で、手に馴染む短い名前にします

    ごろはこうしてみた

    「週まとめ」にしたら、翌週すぐ思い出せました。

  4. 作るのは相棒に頼む

    こうした方がいい

    中身の設定を自分で書く必要はありません

    ごろはこうしてみた

    「名前を付けて」と頼むだけで、棚に1つ登録されました。

  5. 次から「名前+材料」で呼ぶ

    こうした方がいい

    長い注文でなく、名前と材料だけで動くか試します

    ごろはこうしてみた

    「週まとめ、この記事で」で一連が走り、長文を打たずに済みました。

うまくいったかの確かめ方: 付けた名前で呼んで、狙った手順がぜんぶ動けば成功です。途中が抜けたら、順番があいまいに覚えられた合図。番号で書き出して登録し直します。

答えタップして答え合わせ
ごろ

B

ごろあなたの番3分

そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。

「記事を貼ったら、見出しを付けて、3行に要約して、最後に感想を一言」。この手順に「週まとめ」と名前を付けて、次から呼べるようにしてください。

「相手の名前と用件を入れたら、丁寧なお礼メールの下書きを作る」に「丁寧メール」と名前を付けてください。

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

得意技の正体は「よく使う手順に、あだ名をつけたもの」です。長い注文を、短い呼び名に畳む。ドラゴンクエストで、強い呪文ほど詠唱が長いのに、一度覚えれば技名を言うだけで出せるのと同じ理屈です。名前が呪文っぽいだけで、やっていることは素朴です。

置き手紙(4-4)との違いを、もう一度押さえておきましょう。置き手紙は「いつも守っていてほしい前提」です。常にそこにいて、仕事の前に必ず読まれる。得意技は「呼んだときだけ出てくる手順」です。呼ばなければ出てこない。常にいるか、呼ぶと来るか。この違いだけです。合図はかんたんで、同じ手順を2回やったな、と気づいたときが、名前の付けどきです。名前は自分の言葉でよく、覚えやすい呼び名を自分で決めます。作り方も、置き手紙と同じで相棒に頼めばよく、中身の設定を自分で書く必要はありません。同じことを2回やったら、名前をつける。 この小さな習慣が、長い注文を短い一言に変えていきます。

例をもっと

「記事を貼ったら、見出しを付けて、3行に要約して、最後に感想を一言」。この手順に「週まとめ」と名前を付けて、次から呼べるようにしてください。

「相手の名前と用件を入れたら、丁寧なお礼メールの下書きを作る」に「丁寧メール」と名前を付けてください。

「旅行先を言ったら、持ち物リストと天気の注意を1枚にまとめる」を「旅じたく」で呼べるようにしてください。

「日記を貼ったら、今日よかったことを3つ拾って一言添える」に「ふりかえり」と名前を付けてください。

(医療者向け・ダミーデータ前提)「学習用のケース文を貼ったら、鑑別を3つと確認ポイントを挙げる」に「ケース整理」と名前を付けてください。実在の患者情報は使わない前提で。

ごろつまずき集
  • 名前で呼んでも、思った手順が動かない。原因は、手順の中身があいまいに登録されたこと。一手は、順番を1つずつ番号で書き出してから名前を付けること。
  • 名前を思い出せず、結局また長文を打つ。原因は名前が長い・覚えにくいこと。一手は「週まとめ」など、手に馴染む短い呼び名に付け替えること。
  • 置き手紙と得意技が、頭の中でごちゃ混ぜになる。原因は役割の違いが曖昧なこと。一手は「常にいる=置き手紙/呼ぶと来る=得意技」と一度整理すること。
  • 得意技を作りすぎて、どれを呼ぶか迷う。原因は、まだ2回もやっていない手順まで登録したこと。一手は「2回やった手順だけ」に絞ること。
あせらず、ゴロゴロ。
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