7章 二刀流編
7-5

二匹目を、そっと帰す

呼ばなければ、それで一匹に戻る
この話を読むと

増やした二匹目を、いつでも元に戻せる、と分かって安心できます。

ここまで、迎える、並べる、見比べる、と進んできました。でも、初心者がいちばん不安なのは、増やしたものを、どうやって元に戻すか、ではないでしょうか。

ごろも、少しそわそわしていました。二匹目を呼んでみたのはいいけれど、これはもう、ずっと二匹で暮らさないといけないのだろうか。二匹目のごはんはどうなるのか。呼んだからには、毎日使わないともったいないのではないか。めんどくさがりのごろにとって、これは重い問いです。

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ところが、答えは拍子抜けでした。二匹目は、呼ばなければ来ないのです。今日は一匹でいいな、と思ったら、黒い画面を開かなければいい。それだけで、二匹目はそっと帰り、一匹目はいつもどおり、何ごともなかったように動きます。難しい「消し方」を覚える必要も、ありません。

一匹が玄関から帰り、布団のごろが手を振り、残る一匹は机で静かに働き続ける

やっぱり一匹でいいかな、とごろは布団から顔だけ出して考えます。それでいい、とすぐ気づきます。二匹目は、乗りたくなったら乗る相棒。帰ってもらっても、また呼べばいつでも来る。増やすのも、減らすのも、ぜんぶこっちが決めること。

第1篇でごろは、「元に戻す」と「止める」を覚えました。戻せて、止められるから、こわがらずに手を出せる。二匹目も、まったく同じです。呼ばなければ帰る、と分かっているから、気軽に呼べる。引き算ができる安心が、増設の不安を消してくれます。

開きのクイズ

今日は、二匹目を呼ばないことにしました。さて、どうする?

  • A: 二匹目を「消す」やり方を、わざわざ調べて実行する
  • B: 呼ばなければいいだけ。一匹目は、いつもどおり動く
実演

ある朝、ごろは一匹だけで作業をしました。二匹目は、呼びません。黒い画面も、開きません。一匹目は、置き手紙を読んで、いつもどおり静かに働きます。二匹目がいないことに、ごろはとくに困りませんでした。必要になったら、また呼べばいい。それだけのことでした。

ごろはじめの一歩
  • どこで: 二匹目を試したあと、翌日はあえて一匹だけで過ごしてみる
  • どうやって: 二匹目を呼ばない。黒い画面を開かない。それで一匹に戻る
  • きっかけ: 「今日は二匹はいらないな」と思った日が、一匹に戻る合図
ごろはじめの一歩

あせらず、ゴロゴロ。増やした道具は、いつでも減らせます。乗りたくなったら乗って、降りたくなったら降りる。それが、ゴロゴロの流儀です。

実録・やってみた

ある朝、ごろは一匹だけで作業をすることにしました。今日は、今日のやることメモを整えるだけ。単調な直しはないので、二匹目は呼びません。まず、机の上を確かめます。

$ ls ippiki_75/
今日のやること.txt   (本物・一匹目が触る一枚だけ)

ごろは、二匹目に写しを渡すときの「_コピー」を、今日は作りません。写しを作らない、というのが、二匹目を呼ばないということです。

ごろ
ごろが打った文(黒い画面は開かず、いつもの一匹目に)今日のやることメモ、読みやすく整えて。順番はそのままで。
相棒
相棒一匹目の返答承知しました。置き手紙のとおりに整えます。項目の頭をそろえて、読みやすくしました。二匹目は今日は呼ばれていないので、私だけで完結しています。

画面で見えること黒い画面はどこにもない。一匹目が、いつもどおり静かに動いている。

念のため、机の上に写し(_コピー)が増えていないかを確かめます。二匹目を呼んでいない証拠です。

$ ls ippiki_75/ | grep コピー
(何も出ない=写しは無い=二匹目を呼んでいない)

二匹目がいなくても、ごろはとくに困りませんでした。一匹目は、置き手紙を読んで、いつもどおり動きます。難しい「消し方」も要りません。呼ばなければ、それで一匹に戻る。それだけのことでした。この日はこう返ってきました。整え方の細かい体裁は、頼むたびに少し変わります。

手順
  1. 今日の用事に、単調な直しがあるかを見る

    こうした方がいい

    まとまった手作業がなければ、二匹目は呼ばないと先に決める

    ごろはこうしてみた

    今日はメモを整えるだけで、単調な作業は無いと判断した。

  2. 黒い画面を開かない

    こうした方がいい

    開かないことが、そのまま「二匹目を呼ばない」になる

    ごろはこうしてみた

    黒い画面には近づかず、いつもの一匹目に頼んだ。

  3. 一匹目にだけ、いつもどおり頼む

    こうした方がいい

    一匹目は置き手紙どおりに動く。二匹目がいなくても完結する

    ごろはこうしてみた

    「順番はそのままで整えて」と一匹目に頼み、それで終わった。

  4. 写し(_コピー)が増えていないかを見る

    こうした方がいい

    写しが無ければ、二匹目を呼んでいない目に見える証拠になる

    ごろはこうしてみた

    一覧に「コピー」が無いのを確かめて、一匹だと安心した。

  5. 「今日は呼ばない」を、たまの決めごとにする

    こうした方がいい

    降りるのもりっぱな選択。増減はいつでも自分が決める

    ごろはこうしてみた

    のんびりやりたい日は一匹、と決めて肩の力を抜いた。

うまくいったかの確かめ方

黒い画面を開かずに用事が済めば、それが一匹で回った証拠です。机の上に写し(_コピー)が増えていなければ、二匹目は呼ばれていません。一匹目がいつもの置き手紙どおり動いていれば、何も壊れていない、と安心してください。

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この章のおわりに

布団のごろが、図面を見る相棒と手を動かす相棒で静かに回る机を眺める

ごろのデスクには、いま二匹の相棒がいます。方向を決める一匹目、黙々と手を動かす二匹目。ごろがやったのは、ただ「役を分けた」ことと、「机を分けた」ことだけ。難しい技は、一つも使っていません。

もう一度だけ。二匹目は、なくても困りません。一匹でも、あなたのゴロゴロは十分に回ります。二匹目は「もっとラクをしたい」と思ったときの、ごほうびの相棒です。乗りたくなったら、乗ればいい。降りたくなったら、そっと帰せばいい。

あせらず、ゴロゴロ。

昇格の瞬間: 相棒を持つゴロニャンから、二匹を役で使い分ける「二刀流ゴロニャン」へ。

答えタップして答え合わせ
ごろ

B。呼ばなければいいだけです。

一匹目は、いつもどおり動きます。増やすのも減らすのも、いつでもこちらが決められる。だから、二匹目は気軽に試せるのです。

増補もっと知りたい人へ (4)
深掘り

二匹目を呼ぶと、なんとなく「もう後戻りできない」気がして、そわそわします。でも実際には、二匹目は呼ばなければ来ません。ここが、なにかを新しく買ったり契約したりするのと、少し違うところです。二匹目は、乗りたいときだけ乗る乗り物のようなもので、乗らない日は、ただ乗らなければいい。難しい「消し方」を覚える必要はありませんし、消さなくても、ふだんの一匹目は何ごともなかったように動きます。この安心は、第1篇でごろが覚えた「元に戻す」「止める」と、同じ根っこから来ています。戻せて、止められて、呼ばなければ帰ると分かっているから、こわがらずに手を出せる。増やすことより、増やしたものをいつでも減らせることのほうが、じつは勇気の元になります。だから二匹目は、堂々と試して、堂々とやめていい。「試したけど、やっぱり一匹でいいや」も、りっぱな結論です。乗るのも降りるのも、ぜんぶこちらが決めていい。増やすのも、減らすのも、自分の手のなかにある。それが分かっていれば、二匹目は重荷ではなく、いつでも呼べるごほうびになります。

例をもっと

(二匹目を使わない日)今日は一匹だけでいきます。二匹目は呼ばず、黒い画面も開かない。それで、いつもどおり。

(試したあとの見直し)先週、二匹目を試してみました。自分の使い方だと、当面は一匹で十分そう。必要になったら、また呼ぶことにします。

(使い分けの宣言)ふだんは一匹目だけ。単調な直しがまとまって出たときだけ、二匹目を呼ぶ、という決めごとにしておきます。

(趣味の作業で)今日はのんびりやりたいので、二匹目は呼ばない日にします。急ぎの仕上げがある日だけ、また来てもらいます。

(医療者向け・ダミーデータ前提)今週は学習用ダミー資料の整理がないので、二匹目は呼びません。まとまった体裁そろえが出た週だけ呼ぶ運用にします。

ごろつまずき集
  • 症状: 呼んだからには毎日使わないともったいない気がする。原因: 二匹目を「飼っている」ように感じている。一手: 二匹目は「乗り物」。乗らない日はコストも手間もかからない、と考え直す。
  • 症状: 二匹目の「消し方」が分からなくて不安。原因: 消さないと戻せないと思い込んでいる。一手: 消す必要はありません。呼ばなければ、それで一匹に戻ります。
  • 症状: 一匹に戻したら、一匹目の調子まで変わった気がする。原因: たいていは思い込みで、一匹目は影響を受けません。一手: いつもの置き手紙どおり動くかを、いちど確かめて安心する。
  • 症状: やめると決めたのに、なんとなく後ろめたい。原因: 「増やしたら続けるべき」という気分。一手: 増減はこちらの自由、と言い直す。降りるのも、りっぱな選択です。
この章の転用サマリ
  • 講座なら: この章まるごとで、実装スクールの1コマ(90分)になります。役を分ける→窓口を開く→机を分ける→見比べる→そっと帰す、の5ステップを、そのまま実演の流れに使えます。
  • M3連載なら: 5話それぞれが15分動画1本に対応し、この章だけで4〜5回分。特に7-2(窓口を開く)と7-3(机を分ける)は、実演の見せ場が強いので単独回に向きます。
  • 日経メディカルなら: 「考える役と手を動かす役を分ける」(7-1)と「本物は守り、写しで下作業させる」(7-3)の2本が、多忙な臨床でも効くコラムのタネになります。
  • 勉強会なら: 各話のワークを通しでやると、二匹目を一度起こして使い分けを体験する90〜120分のハンズオンになります。撤退路(7-5)まで含めると、参加者が安心して持ち帰れます。
あせらず、ゴロゴロ。
読んだ