23章 帰宅編
23-1

外の仕事も、棚に載る。下見して、段取りして、任せて、確かめる

外の仕事も、下見して、段取りして、任せて、確かめる。この四つの箱に、ぜんぶ入りました。

ごろは、外でいろいろな仕事を覚えてきました。登壇の準備、会の運営、フォルダの会社の回し方。では、これらの外の仕事を進めるとき、ごろが使っている型は、次のどっちだと思いますか。

  • A. 外の仕事には、外の仕事用の新しいやり方がある
  • B. 家の中でやってきたのと、同じやり方でいい

答えは、この話のいちばん下にあります。

この話を読むと

外で覚えた仕事も、家の中と同じ型で棚に載せられる、と分かります。新しいことを覚え直さなくていい、と腑に落ちます。

外の仕事は、なんだか特別に見えます。人前でしゃべるのも、会をひらくのも、家でゴロゴロしていたころには考えもしなかったことです。だから、外の仕事には外の仕事用の、もっと立派なやり方があるにちがいない、と身構えてしまう。ごろも、玄関を出たばかりのころは、そう思っていました。

ごろが外からの仕事を『下見/段取り/任せる/確かめる』の見慣れた四箱へ一つずつ仕分ける

でも、外の仕事をひとつずつ棚に載せてみると、不思議なことに気づきます。載せる棚は、いつもの棚でした。

登壇の準備を思い出してみます。まず、どんな人が来るのかを下見する。話す順番を段取りする。スライドの下書きは相棒に任せる。できあがったものを、自分の目で確かめる。会の運営もそうです。何人来るかを下見して、当日の流れを段取りして、案内文の下書きは任せて、送る前に自分で確かめる。フォルダの会社の回し方も、同じでした。どの部署に何を置くかを下見して、部下への頼み方を段取りして、作業は任せて、上がってきたものを確かめる。

外の仕事も、下見して、段取りして、任せて、確かめる。この四つの箱に、ぜんぶ入りました。 箱の名前は、家の中でずっと使ってきたものです。外だからといって、新しい箱を買い足す必要はありませんでした。

これは、心強いことです。外の仕事が増えても、覚えることは増えない。増えるのは、同じ型に載せる中身だけ。だから、ごろは外に出ても、そんなに疲れませんでした。やり方を切り替えていないからです。

実演

ごろは、はじめての登壇を控えた日、相棒にこう頼みました。

「来週、はじめて人前で話します。聞きに来るのは、まだAIを使っていない人たちです。話す時間は20分。まず、話す順番の下書きだけ作ってください。中身はあとで自分で入れます。」

ごろのとなりで、話の骨組みが出てきました。つかみ、本題を三つ、締め。ごろはそれを見て、いつもの登壇準備と、家でスライドの下書きを頼んだときと、まったく同じ手ざわりだと気づきます。下見して(誰が来るか)、段取りして(話す順番)、任せて(骨組みの下書き)、確かめる(中身は自分で)。外の仕事なのに、いつもの四つの箱でした。

ごろは、ちょっと拍子抜けして、それから安心しました。外に出ても、やることは変わらない。ただ、載せる中身が、家のことから外のことに変わっただけでした。

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ごろはじめの一歩
  • どこで: いつものチャット画面で。外の仕事でも、入口は同じです。
  • どうやって: これから受ける外の仕事を、「下見・段取り・任せる・確かめる」の四つに、いったん分けてみる。
  • きっかけ: 外の仕事を頼まれて身構えたとき。「これ、いつもの四つの箱に入るかな」と一度考えてみる。
ごろはじめの一歩

あせらず、ゴロゴロ。

実録・やってみた

はじめての外の仕事は、勉強会での短い登壇でした。ごろの手元には、話す題材だけがあって、話す順番はまだ何もありませんでした。相棒に渡す前の、頭の中はこんな状態です。

・伝えたいこと: めんどくさがりでもAIは使える
・聞き手: まだ使ってない人が多い
・持ち時間: 20分
・話す順番: まだない
ごろ
ごろが打った文「上の条件で、20分の登壇の話す順番の下書きを作ってください。聞き手はまだAIを使っていない人です。つかみ・本題・締めの構成で、まだ中身は入れず、順番の骨組みだけでいいです。」
相棒
相棒の返答「20分の骨組みの下書きです。 つかみ(2分): 自分もめんどくさがりだった、という話から入る 本題1(5分): はじめの一歩は『話しかけるだけ』 本題2(5分): 失敗しても戻せる、という安心 本題3(5分): 毎朝ひとつ、自動で終わる話 締め(3分): 今日、帰って一つだけ試すことを決める」

画面で見えること話の順番が、時間の札つきで、上から下に並びました。

ごろは、これを見て、いちど得意げにうなずきました。ところが、本題の三つを声に出して読んでみると、二つめと三つめが、聞き手にはまだ早いことに気づきます。まだ使っていない人に、いきなり「自動で終わる話」は、遠すぎたのです。ここは、下見のやり直しでした。聞き手が誰かを、もう一度きちんと見る。

ごろ
ごろが打った文「聞き手はまだ一度も使っていない人が中心でした。本題3の『自動で終わる話』は遠すぎるので外し、代わりに『最初の一回をどう始めるか』を本題3にしてください。全体はやさしいほうへ寄せてください。」
相棒
相棒の返答「承知しました。本題3を差し替えます。 本題3(5分): 今日、家に帰って、最初の一回をどう始めるか(その場でスマホを開く)」

画面で見えること三つめの本題だけが、別の内容に入れ替わりました。

直したあとの、話の順番はこうなりました。

つかみ  自分もめんどくさがりだった
本題1   話しかけるだけでいい
本題2   失敗しても、戻せる
本題3   帰って、最初の一回をどう始めるか(差し替え済)
締め    今日、一つだけ試すことを決める

一回目はズレました。ズレたのは、下見が足りなかったからです。聞き手を見直したら、順番はちゃんと直りました。ズレたら、四つの箱のどれが足りなかったかを見る。ここでは、いちばん最初の「下見」でした。

この日はこう返ってきました。頼み方が同じでも、出てくる骨組みの中身は、毎回すこし違います。

手順
  1. 受ける外の仕事を、まず「下見・段取り・任せる・確かめる」の四つに分ける

    こうした方がいい

    外の仕事だからと構えず、いつもの四つの箱に載せてみる

    ごろはこうしてみた

    登壇を、聞き手の下見と話す順番の段取りに、まず分けた。

  2. 下見のところで、相手が誰かをきちんと見る

    こうした方がいい

    外の仕事はこの下見でつまずきやすい。相手を取り違えると全部ずれる

    ごろはこうしてみた

    「まだ使っていない人」の下見を、最初は雑にやってズレた。

  3. 段取り(順番・骨組み)の下書きだけを、先に相棒に任せる

    こうした方がいい

    中身より先に、順番だけ作らせると、全体が見える

    ごろはこうしてみた

    中身は入れず、時間の札つきの骨組みだけ頼んだ。

  4. できた骨組みを、声に出して確かめる

    こうした方がいい

    目で読むより、口に出すと、遠すぎる話に気づける

    ごろはこうしてみた

    声に出して読んで、本題3が遠すぎると気づいた。

  5. ズレた箱だけを、やり直す

    こうした方がいい

    全部やり直さず、足りなかった箱(たいてい下見)だけ戻す

    ごろはこうしてみた

    下見をやり直し、本題3だけ差し替えた。

うまくいったかの確かめ方

外の仕事が「下見・段取り・任せる・確かめる」の四つに、無理なく分かれていれば成功です。ズレたときに「どの箱が足りなかったか」を一つ指させれば、型が身についている証拠です。

答えタップして答え合わせ
ごろ

B。 外の仕事も、家の中でやってきたのと同じ型で載せられます。

下見して、段取りして、任せて、確かめる。この四つは、外に出ても変わりませんでした。だから、新しいやり方を覚え直す必要はありません。増えるのは、載せる中身だけです。

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

なぜ、外の仕事まで、家の中と同じ四つの箱に載るのでしょうか。この四つが「仕事の種類」ではなく「仕事の進め方」を分けているからです。下見・段取り・任せる・確かめる、は、料理でも、登壇でも、会の運営でも、順番が変わりません。中身がどれだけ違っても、進め方の骨は同じ。だから、新しい種類の仕事が増えても、覚え直すことはありませんでした。

そして、外の仕事でとくに効くのが、いちばん最初の「下見」です。家の中の仕事は、相手がたいてい自分ひとりなので、下見を飛ばしても、そんなに大きくはズレません。でも、外の仕事は相手がいます。聞き手、参加者、頼んできた人。この相手を取り違えると、あとの段取りも、任せ方も、確かめ方も、まとめてズレます。ごろが登壇の骨組みでつまずいたのも、下見の段でした。外に出たら、最初の下見に、いつもより少しだけ時間をかける。それだけで、あとの三つがぐっと楽になります。

例をもっと

来月、地域の集まりで15分のミニ講座を頼まれました。聞き手はスマホは使えるけれどAIは未経験の年配の方が中心です。まず、話す順番の骨組みだけ作ってください。中身は自分で入れます。

小さなオンライン勉強会を主催します。参加は10人くらいの見込みです。当日の流れ(受付・本編・質疑・振り返り)の段取りの下書きを、時間配分つきで作ってください。案内文はあとで別に頼みます。

自分のフォルダの会社に「広報部」を新しく作ろうと思います。何を置く部署にするか、どんな頼み方をする部署にするか、下見のための問いを5つ、先に出してください。決めるのは自分です。

取材を受けることになりました。話す内容の下見として、想定される質問を10個、やさしい順に並べてください。答えは自分で考えます。

(医療者向け・ダミーデータ前提)院内の勉強会で若手にAIの使い方を紹介します。話す順番の骨組みだけ作ってください。事例はすべて仮のダミーで、患者情報は一切扱いません。

ごろつまずき集
  • 症状: 外の仕事を前に、新しいやり方を覚えなきゃと身構えて動けない。原因: 外の仕事を特別扱いしている。一手: いつもの「下見・段取り・任せる・確かめる」の四つに、まず分けてみます。たいてい、そのまま載ります。
  • 症状: 準備したのに、当日ぜんぶが噛み合わなかった。原因: 下見を飛ばして、相手を取り違えた。一手: 外の仕事は最初の下見に時間をかけます。相手が誰かを、先にきちんと見ます。
  • 症状: 相棒に任せた下書きが、なんだか自分の言葉に思えない。原因: 確かめの段を飛ばした。一手: できたものを声に出して読み、遠い言葉や自分らしくない言い回しを、自分の手で直します。
  • 症状: 外の仕事が増えて、覚えることが多すぎて疲れた。原因: 中身を覚えようとしている。一手: 覚えるのは四つの箱だけ、と割り切ります。増えるのは中身で、やり方は増えません。
あせらず、ゴロゴロ。
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