22章 フォルダ会社編
22-1

フォルダが、会社になる

分ける軸を、時期や気分ではなく『やること』にする。それが、この一話のすべて
この話を読むと

デスクトップのフォルダを「部署」に見立てて、SaaSを買わなくても身のまわりを会社みたいに回せるようになります。

「会社」なんて言葉が出てくると、急にかしこまりますよね。組織図とか、稟議とか、そういう難しいものを想像してしまう。でも、ここでやるのは、フォルダに札を貼るだけの、幼稚園のお店やさんくらいのことです。

外の仕事が増えたごろのデスクは、一つの机の上に、何もかもが積み上がっていました。発信のネタも、勉強の資料も、レシートも、旅行の下調べも、ぜんぶ一緒。ごろは何かを探すたびに、山を崩し、また積み直していました。めんどくさがりのごろにとって、この「探す時間」は、一日でいちばんの敵です。

ごろは、SaaSの広告を思い出しました。世の中には、発信を管理するアプリ、家計を管理するアプリ、勉強を管理するアプリが、それぞれ売られています。全部そろえたら、月々のお金もばかになりません。それに、アプリが増えるほど、どこに何を入れたか、また分からなくなる。ごろは、ため息をつきました。

そのとき、ふっと気づきます。分けたいのは、アプリじゃなくて、中身の置き場だ。だったら、フォルダでいい。ごろは、デスクトップに「ごろ商店」という親フォルダを一つ作り、その中に「発信部」「学び部」「家計部」「おでかけ部」と、やること別の子フォルダを並べました。SaaSは、一つも買っていません。もちろん、専用のアプリが手になじむ人は、それを使うのがいちばんです。これは、あれこれそろえるのが苦手なごろが、フォルダといういちばん素朴な置き場に戻った、というだけの話です。

大箱の混在物を相棒が『発信/学び/家計/おでかけ』へ分け、ごろが家計の箱だけを指す

自分でやると大変かな、とごろは山を見上げます。でも、仕分けそのものは、相棒に任せられます。ごろは「これは発信、これは家計」と方向だけ指させばいい。手を動かすのはAI。散らかった山が、相棒の手で、するすると四つの部署に収まっていきました。

一つだけ、コツがあります。フォルダは「やること別」に分けると、あとで効きます。「2026年」や「大事なもの」のような、時期や気分の分け方だと、しばらくすると「あれ、これどこに入れたっけ」がまた始まる。でも「発信部」「家計部」なら、迷いません。やりたいことから、まっすぐ探せるからです。会社が部署で分かれているのと、同じ理屈です。

開きのクイズ

散らかったデスクを、AIと一緒に片づけたい。次のうち、あとで自分がラクになるのはどっち?

  • A: 「発信部」「学び部」「家計部」のように、やること別にフォルダを分ける
  • B: 「2026年」「大事なもの」のように、時期や気分でフォルダを分ける

あせらず、ゴロゴロ。会社をつくるのに、登記も資本金も要りません。フォルダに札を一枚、貼るだけです。

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実録・やってみた

ごろのデスクトップは、正直に言って、ひどい有り様でした。外の仕事が増えてから、名前のバラバラなファイルが、ただ平らに散らばっています。まず、その散らかりようを見てみます。

ごろは、はじめこう頼みました。

ごろ
ごろが打った文この机の上を、いい感じに会社っぽく整理して。
相棒
相棒の返答「会社っぽく」の解釈が複数あります。年度別(2026)でしょうか、それとも重要度別でしょうか。とりあえず「2026」というフォルダを作って全部入れておきますか?(このあと、全部を一つのフォルダに移そうとします)

画面で見えること散らかりが、別の名前の一つの箱に移るだけで、中身は相変わらずごちゃ混ぜ。

「いい感じに」だけでは、いい感じになりませんでした。第1篇でごろが学んだ、あの教訓そのものです。ごろは、方向をはっきり渡し直します。

ごろ
ごろが打った文いったん止めて。「やること別」に四つの部署に分けて。発信部・学び部・家計部・おでかけ部。レシートや電気代の画像は家計部、ブログや講演のものは発信部、というふうに。どこに入れるか迷うものは、動かす前に私に聞いて。
相棒
相棒の返答承知しました。やること別に四部署へ振り分けます。レシート4月・電気代→家計部、ブログ下書き・講演メモ→発信部、京都いきたい→おでかけ部、勉強_英語メモ→学び部。1点、IMG_0412.jpg は中身が講演の写真のようですが、発信部でよろしいですか?

画面で見えることどのファイルがどの部署に行くかの割り振り表が、動かす前に一覧で出ている。

ごろは「その写真は発信部でいい」と答えました。仕上がった部署が、これです。

「いい感じに」を「やること別に四部署へ」と言い換えただけで、机が会社になりました。分ける軸を、時期や気分ではなく『やること』にする。それが、この一話のすべてです。この日はこう分かれました。どの写真をどの部署にするかは、そのつど少し迷いが出るので、迷ったら聞いてもらう約束にしておきます。

画面の記録(フォルダの中身・前後)
$ ls goro_shouten/散らかり机/
IMG_0412.jpg
講演メモ.txt
レシート4月.jpg
京都いきたい.txt
ブログ下書き.txt
電気代.jpg
勉強_英語メモ.txt
名刺デザイン案.png
(…このあと、全部で12個ほど平らに並ぶ…)
$ ls goro_shouten/
発信部/
学び部/
家計部/
おでかけ部/

$ ls goro_shouten/家計部/
レシート4月.jpg
電気代.jpg

$ ls goro_shouten/発信部/
ブログ下書き.txt
講演メモ.txt
名刺デザイン案.png
IMG_0412.jpg
手順
  1. まず、散らかったデスクトップを、そのまま眺める

    こうした方がいい

    いきなり片づけず、どんな種類のファイルが混ざっているかを自分の目で見ておく

  2. 親フォルダを一つ作り、楽しい名前をつける

    こうした方がいい

    「商店」「株式会社」など、開くたびに少しうれしくなる名前にする

  3. やること別に、部署の子フォルダを三つか四つ作る

    こうした方がいい

    多くしすぎない。三つか四つで、たいていの用事は収まる

  4. 相棒に「やること別に振り分けて、迷うものは聞いて」と頼む

    こうした方がいい

    動かす前に割り振り表を出してもらう。いきなり動かさせない

  5. 分け終わったら、一つの部署を開いて中身を確かめる

    こうした方がいい

    意図しないものが混ざっていないか、一部署だけでも目で見る

うまくいったかの確かめ方

何かを探すとき「これは発信のことだから発信部」と、迷わずたどれれば成功です。もし「あれ、どこだっけ」がまた始まったら、分ける軸が「やること」からずれているサインだと思ってください。

答えタップして答え合わせ
ごろ

A。やること別に分けると、次に探すとき「発信のことだから発信部」と、まっすぐたどれます。

時期や気分で分けると、しばらくして必ず「これ、どこに入れたっけ」が始まる。会社が部署で分かれているのは、探しやすさのためでもあるのです。

ごろあなたの番3分

そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。

このデスクトップのファイルを、やること別に「発信部・学び部・家計部・おでかけ部」の四つに分けてください。どれに入れるか迷うものは、動かす前に私に確認してください。

「わたし株式会社」という親フォルダを作って、その下に「しごと部」「くらし部」「しゅみ部」の三つを作ってください。いまデスクトップにあるものを、この三部署に振り分ける案を、まず一覧で見せてください。

増補もっと知りたい人へ (3)
あなたのフォルダでは

草案(著者確認前・増補レベル感の見本)

「やること別」の正体は、探すときの意図と、しまうときの軸を一致させる設計です。

ファイルを探す瞬間、頭に浮かぶのは「2026年の何か」ではなく「請求書を送る」「記事を書く」という用事のほうです。軸が用事とずれていると、探すたびに頭の中で翻訳が要ります。この摩擦が「探す時間」の正体です。

実務での最小構成は、三つだけです。

  • 部署フォルダを3〜4 ── 増やすのは、溢れてからで構いません
  • inboxを1つ ── 迷ったものの一時置き場。これがないと平置きが再発します
  • 「迷ったらこう分ける」の1行ルール ── のちの判断木の種になります

フォルダの数を増やすより、この三点を守るほうが効きます。

人間の場合 ── 著者の実運用

著者の仕事場は、「ごろ商店」をそのまま拡張した部署制で動いています。

ルートに会社フォルダ。その下に「経営」「開発」「メディア」「教育」「研究」「経理」。ルート直下に置き手紙(CLAUDE.md)を1枚置き、保存先の表と、迷ったときの判断木を書いてあります。

AIはセッションの最初にこれを読みます。だから「スライドは素材庫へ」「一時ログは裏方へ」を、毎回説明し直さずに済みます。

運用して分かった要点は、二つです。

  • 正本(ストック)と一時物(フロー)を分ける ── 完成原稿と作業ログが同じ場所にあると、AIも人も、どちらを信じるか迷います
  • 迷い物はinboxへ、定期的に空にする ── 振り分けルールを置き手紙に書いておきます

この二つを書いてから、「どこに置くか」の判断そのものをAIに任せられるようになりました。

もう一つ、隠れた効きめがあります。フォルダ名は、AIへの指示の「範囲指定」になるのです。「家計部を集計して」の一言で、対象も意図も出力先も同時に伝わる。散らかった一つの机だと「どのファイルのこと?」から始まる会話が、部署に分かれていればその手間ごと消えます。

ごろつまずき集
  • 症状: 部署を作りすぎて、かえってどこに入れるか迷う。原因: 細かく分けすぎている。一手: 部署は三つか四つに絞る。細かい分類は、部署の中のサブフォルダで、あとから足す。
  • 症状: 一つのファイルが、二つの部署に入りそうで決められない。原因: 用途が重なっている。一手: 「主にどの用事で使うか」で決める。完璧な分類より、迷わず放り込めることを優先する。
  • 症状: 相棒に頼んだら、大事なファイルまで動いていた。原因: 動かす前の確認を飛ばした。一手: 必ず「動かす前に割り振り表を見せて」と頼み、目で確認してから実行させる。
  • 症状: しばらくすると、また机の上に散らかりが戻る。原因: 新しいファイルを、いったんデスクトップに置く癖が残っている。一手: 「撮ったレシートは、その場で家計部へ」のように、放り込む先を一つ決めておく。
あせらず、ゴロゴロ。
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