読まずに、まるごと貼る ―「思ってたのと違う」からの立て直し
読まずに、まるごと貼る。
道具づくりをしていると、たいてい、これが起きます。うまくいっていたはずの画面が、とつぜん赤い文字だらけになる。この節は、その瞬間の話です。ごろが先に、盛大にやらかしてくれます。
ごろは、12b-1の献立ボードに、色をつけたくなりました。「このボードの、土曜と日曜のますだけ、休みっぽい色に変えて」。かんたんな頼みのつもりでした。
ところが、相棒が直そうとしたそのとき、画面に赤い英語の文字がずらっと出て、ボードが真っ白に消えました。さっきまで七日ぶん並んでいた枠が、ぜんぶ、ない。
ごろの、しっぽが膨らみます。こわした。ぜんぶ消えた。指が、あちこちに伸びかけます。……ここが、分かれ道です。
赤い文字がどっと出ると、責められた気がします。でも、あれは「しかられている」のではありません。読まずに、まるごと貼る。 これが、この節のたったひとつのコツです。赤い英語(エラーと呼びます)は、「こわれた」の宣告ではなく、「この行でつまずいたよ」という道案内のメモです。しかも、ごろがその英語を読んで意味を取る必要は、まったくありません。読める人に読ませればいい。その読める人が、目の前にいます。相棒です。
さらに言えば、12章のセーブがあります。最悪でも、昨日の動いていたボードに帰れます。だから、こわがらずに貼れるのです。手すりを握ったまま、つまずける。
ここで、大事な現実をひとつ。貼って渡せば「たいてい」直ります。ただし、いつも一発で、とはかぎりません。一回直してもらって、まだ違ったら、また言う。二往復、三往復は、ふつうです。往復の回数は、下手さではありません。詰めている証拠です。

やってみます。
ごろは、青ざめた手を止めました。閉じるボタンにも、電源にも、触りません。かわりに、赤い文字を最初から最後までコピーします。読みません。ただ、まるごとつかんで、相棒に渡します。
紙面に、その赤い文字を、少しだけお見せします。ぜんぶは載せません。ぜんぶ読む必要が、ないからです。こんな見た目のものです。
Uncaught SyntaxError: Unexpected token '<'
at renderWeekBoard (board.html:42)
...
(このあいだに、ながい英語がずらずら続く)
...
at HTMLDocument.<anonymous> (board.html:7)冒頭の三行と、末尾の一行。あいだは、点々で省いてあります。ごろは、この点々の中を一文字も読んでいません。それでいいのです。ごろがやるのは、この塊をまるごとコピーして、「これが出た。ボードも消えた。直して」と貼ることだけ。
相棒が受け取って、こう返します。「一か所、書き方がずれていました。直します」。そして、直します。
ボードが、戻ってきました。……と言いたいところですが、正直に書きます。一回目は、色が土曜だけについて、日曜には反映されませんでした。ごろの頼んだのは、土曜と日曜の両方です。ごろは、もう一度言います。「日曜も同じ色にして」。二回目で、土曜も日曜も、ちゃんと休みの色になりました。
一発では、直りませんでした。でも、それでよかったのです。ごろは、赤い文字が出た瞬間に画面を閉じなくてよかった、と思いました。閉じずに、まるごと貼る。それだけで、こわしたはずのつまずきが、ただの二往復になったのです。
もし、どうにも散らかって、往復しても抜け出せなくなったら。そのときは、深追いしません。「さっきのセーブに戻して」と言えばいい。まっさらからではなく、動いていたところから、やり直せます。セーブが複数あるなら、「土曜の色をつける前のセーブに戻して」と、どこに戻るかも言葉で選べます。立て直しは、いつでも一言で始められます。
12b-1でつくった献立ボードに「土曜を休みの色にして」と頼んだら、画面が赤い英語の文字だらけになって、ボードが消えました。どっちのごろが正しいでしょう。
- A 「こわした、もうだめだ」と青ざめて、手であちこち触って元に戻そうとするごろ
- B その赤い英語の文字を、まるごとコピーして相棒に貼り、「これ出た。直して」と渡すごろ
BOX(この章の実話)
私も、思った通りに一発で動くことは、めったにありません。仕事でも、うまくいかない結果が出たときにいちばん大事なのは、それを隠さず、まるごと机に出して一緒に見ることです。恥ずかしがって手元で握り込むと、原因が見えなくなる。出たものを、そのまま出す。人に相談するときも、AIに直してもらうときも、この「隠さず、まるごと見せる」が、いちばんの近道でした。
はじめの一歩
- どこで: 12b-1でつくりかけたボードの、その続きの画面で
- どうやって: 何か赤い文字が出たら、読まずにまるごとコピーして「これ出た、直して」と貼る
- きっかけ: わざと少しむずかしい直しを一つ頼んで、つまずきと立て直しを一回、体で通してみる
あせらず、ゴロゴロ。
ごろの手元にあるのは、12b-1でつくった、横に七日ぶん並んで動いている献立ボードです。
今週の献立ボード/
board.html ← 開くと [月][火][水][木][金][土][日] が横に並んで動いている画面で見えることそのとたん、画面に赤い英語の文字がずらっと出て、ボードが真っ白に消えた。七日ぶんの枠が、ぜんぶ、ない。
ごろのしっぽが膨らみます。でも、閉じるボタンにも電源にも触りません。ごろがやったのは、その赤い文字をまるごとコピーして、読まずに貼ることだけです。
画面で見えることボードが戻ってきた。……が、色は土曜だけについて、日曜は素のまま。ごろが頼んだのは、土曜と日曜の両方です。一発では直りませんでした。
画面で見えること今度は、土曜も日曜も、そろって休みの色になっている。
board.html(after) ← [月][火][水][木][金][🩷土][🩷日] 土日そろって色がついた赤い文字が出た瞬間に閉じなくてよかった、とごろは思いました。閉じずにまるごと貼っただけで、こわしたはずのつまずきが、ただの二往復になったのです。この日は二往復でした。一発で両方に色がつくこともあれば、三往復かかることもあります。毎回すこし違います。
見るポイント 「土曜だけ色がついて日曜が抜けた」という一発目の不完全な直りに注目してください。相棒は「土日」と受け取れる部分のみを処理しました。ここで「まだ違う」を言えるかどうかが実力の差です。貼った後に何も返ってこないより、「惜しい直り」が返ってくるほうが、次の一手が出しやすい。
危険信号 赤い文字が出た瞬間に「こわした」と判断して画面を閉じると、貼るべきメモが消えます。実録でごろが最初にしっぽを膨らませた理由はここです。閉じる前に一拍おいてコピーする、を身体で覚えてください。
次の一手 12b-1でセーブを打っておいたので、「土曜の色をつける前のセーブに戻して」と言葉で地点を選べます。二往復以上かかってもどうにもならなくなったら、深追いせずセーブに帰る。この選択肢があると、貼る勇気が出ます。
赤い文字が出ても、閉じるボタンにも電源にも触らない → [こうしたほうがいい] 反射で閉じると、貼るべきメモが消えてしまう。まず手を止める
ごろはこうしてみたしっぽは膨らんだが、閉じずにこらえた。
赤い文字を、最初から最後まで丸ごとコピーする → [こうしたほうがいい] 途中を省かず、頭からお尻まで全部。冒頭の数行に手がかりが入っていることが多い
ごろはこうしてみた一文字も読まずに、塊ごとつかんだ。
「これが出た、直して」と貼って渡す → [こうしたほうがいい] 何をしていて何が起きたか(色をつけようとしたら消えた)を一言そえる
ごろはこうしてみた「土日に色をつけようとしたら消えた」と添えて貼った。
直っても違ったら、違いだけをもう一度言う → [こうしたほうがいい] 一発で直ると期待しない。ずれた一点(日曜が抜けている)だけを渡す
ごろはこうしてみた「日曜も同じ色に」で二往復目に進んだ。
どうにも散らかったら、深追いせずセーブに戻る → [こうしたほうがいい] 「色をつける前のセーブに戻して」と、どこへ帰るかも言葉で選べる
ごろはこうしてみた今回は二往復で片づいたので、戻らずに済んだ。
赤い文字が消えて、ボードがまた開いて見えれば、ひとまず立て直せています。頼んだ通りの色(土曜と日曜の両方)になっているかまで、目で確かめて成功です。
答えタップして答え合わせ

B。赤い英語(エラー)は「こわれた」の宣告ではなく、「ここでつまずいた」というメモです。
読んで意味を取る必要はありません。まるごと貼って渡せば、相棒がどこでつまずいたかを読んで直してくれます。しかも12章のセーブがあるので、最悪でも昨日のボードに帰れます。
あなたの番3分そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。
(赤い文字を丸ごと貼ったあとで)これが出て、画面も真っ白になった。読まずに貼ったので、どこでつまずいたか見て直して。
直してもらったけど、まだ土曜だけで日曜に色が付いていない。日曜も同じ色にして。
増補もっと知りたい人へ (3)
赤い英語は、なぜ「読まなくていい」のでしょうか。あれは、人間に向けた叱りの言葉ではなく、機械が「この行でつまずいた」と自分の足元を報告しているメモだからです。だから、大事なのは意味を解読することではなく、そのメモを丸ごと、読める相手にそのまま渡すことです。冒頭の数行に、どこで止まったかの手がかりが入っていることが多く、相棒はそこを読んで見当をつけます。途中の長い部分は、こちらが一文字も読まなくてかまいません。省かずに、丸ごと渡すのがいちばん速い道です。
ただ、正直に書いておきます。貼って渡せば、たいてい直ります。でも、いつも一発で、とはかぎりません。一回直してもらって、まだ違ったら、また言う。二往復、三往復は、ふつうに起きます。往復の回数は、下手さではなく、詰めている証拠です。著者自身も、思った通りに一発で動くことは、めったにないと言っています。そして、もし往復してもどうにも散らかってしまったら、深追いはしません。12章のセーブがあるので、「さっきのセーブに戻して」の一言で、動いていたところからやり直せます。セーブが複数あるなら、「土曜の色をつける前のセーブに戻して」と、どこへ帰るかも言葉で選べます。手すりを握ったまま、こわがらずにつまずける。これが、この節のいちばんの安心です。
(赤い文字を丸ごと貼ったあとで)これが出て、画面も真っ白になった。読まずに貼ったので、どこでつまずいたか見て直して。
さっき色を付ける前は動いていた。あのときのセーブに戻して。そこからやり直したい。
直してもらったけど、まだ土曜だけで日曜に色が付いていない。日曜も同じ色にして。
エラーは消えたけど、今度は文字が全部真ん中に寄ってしまった。前の左揃えに戻して。
(医療者向け・ダミーデータ前提)投与量の練習用ツールで赤い文字が出た。中身はダミーの数字だけ。エラーを丸ごと貼るので、どこで止まったか見て直して。
つまずき集- 症状: 赤い文字が出た瞬間に、画面を閉じたくなる。原因: 叱られた気がして反射的に逃げる。一手: 閉じずに、まず赤い文字を最初から最後まで丸ごとコピーして貼ります。
- 症状: 英語を自分で読んで意味を取ろうとして、手が止まる。原因: 自分が理解しないと直せないと思い込んでいる。一手: 読むのは相棒の仕事です。こちらは丸ごと渡すことだけに集中します。
- 症状: 一回直してもらったのに、まだ違う。原因: 一発で直ると期待している。一手: 違いだけを一言で伝えて、二往復目に進みます。回数は詰めている証拠です。
- 症状: 往復してもどんどん散らかっていく。原因: 深追いして戻り所を見失っている。一手: 「さっきのセーブに戻して」で、動いていた地点からやり直します。
