12b章 つくりこむ編
12b-3

読まずに、まるごと貼る ―「思ってたのと違う」からの立て直し

読まずに、まるごと貼る。

道具づくりをしていると、たいてい、これが起きます。うまくいっていたはずの画面が、とつぜん赤い文字だらけになる。この節は、その瞬間の話です。ごろが先に、盛大にやらかしてくれます。

ごろは、12b-1の献立ボードに、色をつけたくなりました。「このボードの、土曜と日曜のますだけ、休みっぽい色に変えて」。かんたんな頼みのつもりでした。

ところが、相棒が直そうとしたそのとき、画面に赤い英語の文字がずらっと出て、ボードが真っ白に消えました。さっきまで七日ぶん並んでいた枠が、ぜんぶ、ない。

ごろの、しっぽが膨らみます。こわした。ぜんぶ消えた。指が、あちこちに伸びかけます。……ここが、分かれ道です。

赤い文字がどっと出ると、責められた気がします。でも、あれは「しかられている」のではありません。読まずに、まるごと貼る。 これが、この節のたったひとつのコツです。赤い英語(エラーと呼びます)は、「こわれた」の宣告ではなく、「この行でつまずいたよ」という道案内のメモです。しかも、ごろがその英語を読んで意味を取る必要は、まったくありません。読める人に読ませればいい。その読める人が、目の前にいます。相棒です。

さらに言えば、12章のセーブがあります。最悪でも、昨日の動いていたボードに帰れます。だから、こわがらずに貼れるのです。手すりを握ったまま、つまずける。

ここで、大事な現実をひとつ。貼って渡せば「たいてい」直ります。ただし、いつも一発で、とはかぎりません。一回直してもらって、まだ違ったら、また言う。二往復、三往復は、ふつうです。往復の回数は、下手さではありません。詰めている証拠です。

板を覆ったエラー紙を一枚まるごとはがして相棒へ渡し、背後の保存ランタンを支えに原因を共有するごろ

やってみます。

ごろは、青ざめた手を止めました。閉じるボタンにも、電源にも、触りません。かわりに、赤い文字を最初から最後までコピーします。読みません。ただ、まるごとつかんで、相棒に渡します。

紙面に、その赤い文字を、少しだけお見せします。ぜんぶは載せません。ぜんぶ読む必要が、ないからです。こんな見た目のものです。

Uncaught SyntaxError: Unexpected token '<'
    at renderWeekBoard (board.html:42)
    ...
  (このあいだに、ながい英語がずらずら続く)
    ...
    at HTMLDocument.<anonymous> (board.html:7)

冒頭の三行と、末尾の一行。あいだは、点々で省いてあります。ごろは、この点々の中を一文字も読んでいません。それでいいのです。ごろがやるのは、この塊をまるごとコピーして、「これが出た。ボードも消えた。直して」と貼ることだけ。

相棒が受け取って、こう返します。「一か所、書き方がずれていました。直します」。そして、直します。

ボードが、戻ってきました。……と言いたいところですが、正直に書きます。一回目は、色が土曜だけについて、日曜には反映されませんでした。ごろの頼んだのは、土曜と日曜の両方です。ごろは、もう一度言います。「日曜も同じ色にして」。二回目で、土曜も日曜も、ちゃんと休みの色になりました。

一発では、直りませんでした。でも、それでよかったのです。ごろは、赤い文字が出た瞬間に画面を閉じなくてよかった、と思いました。閉じずに、まるごと貼る。それだけで、こわしたはずのつまずきが、ただの二往復になったのです。

もし、どうにも散らかって、往復しても抜け出せなくなったら。そのときは、深追いしません。「さっきのセーブに戻して」と言えばいい。まっさらからではなく、動いていたところから、やり直せます。セーブが複数あるなら、「土曜の色をつける前のセーブに戻して」と、どこに戻るかも言葉で選べます。立て直しは、いつでも一言で始められます。

開きのクイズ

12b-1でつくった献立ボードに「土曜を休みの色にして」と頼んだら、画面が赤い英語の文字だらけになって、ボードが消えました。どっちのごろが正しいでしょう。

  • A 「こわした、もうだめだ」と青ざめて、手であちこち触って元に戻そうとするごろ
  • B その赤い英語の文字を、まるごとコピーして相棒に貼り、「これ出た。直して」と渡すごろ
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BOX(この章の実話)

私も、思った通りに一発で動くことは、めったにありません。仕事でも、うまくいかない結果が出たときにいちばん大事なのは、それを隠さず、まるごと机に出して一緒に見ることです。恥ずかしがって手元で握り込むと、原因が見えなくなる。出たものを、そのまま出す。人に相談するときも、AIに直してもらうときも、この「隠さず、まるごと見せる」が、いちばんの近道でした。

はじめの一歩

  • どこで: 12b-1でつくりかけたボードの、その続きの画面で
  • どうやって: 何か赤い文字が出たら、読まずにまるごとコピーして「これ出た、直して」と貼る
  • きっかけ: わざと少しむずかしい直しを一つ頼んで、つまずきと立て直しを一回、体で通してみる

あせらず、ゴロゴロ。

実録・やってみた

ごろの手元にあるのは、12b-1でつくった、横に七日ぶん並んで動いている献立ボードです。

今週の献立ボード/
  board.html          ← 開くと [月][火][水][木][金][土][日] が横に並んで動いている
ごろ
ごろが打った文このボードの、土曜と日曜のますだけ、休みっぽい色に変えて。
相棒
相棒の返答色をつけます。土曜と日曜のますに背景色を入れました。

画面で見えることそのとたん、画面に赤い英語の文字がずらっと出て、ボードが真っ白に消えた。七日ぶんの枠が、ぜんぶ、ない。

ごろのしっぽが膨らみます。でも、閉じるボタンにも電源にも触りません。ごろがやったのは、その赤い文字をまるごとコピーして、読まずに貼ることだけです。

ごろ
ごろが打った文これが出た。ボードも消えた。読まずに貼ったので、どこでつまずいたか見て直して。(このあと、赤い英語の塊をまるごと貼りつけた)
相棒
相棒の返答一か所、書き方がずれていました。色の指定を囲む記号が閉じていませんでした。直します。

画面で見えることボードが戻ってきた。……が、色は土曜だけについて、日曜は素のまま。ごろが頼んだのは、土曜と日曜の両方です。一発では直りませんでした。

ごろ
ごろが打った文直してもらったけど、まだ土曜だけで日曜に色が付いていない。日曜も同じ色にして。
相棒
相棒の返答失礼しました。日曜のますにも同じ色を入れました。

画面で見えること今度は、土曜も日曜も、そろって休みの色になっている。

board.html(after)   ← [月][火][水][木][金][🩷土][🩷日] 土日そろって色がついた

赤い文字が出た瞬間に閉じなくてよかった、とごろは思いました。閉じずにまるごと貼っただけで、こわしたはずのつまずきが、ただの二往復になったのです。この日は二往復でした。一発で両方に色がつくこともあれば、三往復かかることもあります。毎回すこし違います。

見るポイント 「土曜だけ色がついて日曜が抜けた」という一発目の不完全な直りに注目してください。相棒は「土日」と受け取れる部分のみを処理しました。ここで「まだ違う」を言えるかどうかが実力の差です。貼った後に何も返ってこないより、「惜しい直り」が返ってくるほうが、次の一手が出しやすい。

危険信号 赤い文字が出た瞬間に「こわした」と判断して画面を閉じると、貼るべきメモが消えます。実録でごろが最初にしっぽを膨らませた理由はここです。閉じる前に一拍おいてコピーする、を身体で覚えてください。

次の一手 12b-1でセーブを打っておいたので、「土曜の色をつける前のセーブに戻して」と言葉で地点を選べます。二往復以上かかってもどうにもならなくなったら、深追いせずセーブに帰る。この選択肢があると、貼る勇気が出ます。

手順
  1. 赤い文字が出ても、閉じるボタンにも電源にも触らない → [こうしたほうがいい] 反射で閉じると、貼るべきメモが消えてしまう。まず手を止める

    ごろはこうしてみた

    しっぽは膨らんだが、閉じずにこらえた。

  2. 赤い文字を、最初から最後まで丸ごとコピーする → [こうしたほうがいい] 途中を省かず、頭からお尻まで全部。冒頭の数行に手がかりが入っていることが多い

    ごろはこうしてみた

    一文字も読まずに、塊ごとつかんだ。

  3. 「これが出た、直して」と貼って渡す → [こうしたほうがいい] 何をしていて何が起きたか(色をつけようとしたら消えた)を一言そえる

    ごろはこうしてみた

    「土日に色をつけようとしたら消えた」と添えて貼った。

  4. 直っても違ったら、違いだけをもう一度言う → [こうしたほうがいい] 一発で直ると期待しない。ずれた一点(日曜が抜けている)だけを渡す

    ごろはこうしてみた

    「日曜も同じ色に」で二往復目に進んだ。

  5. どうにも散らかったら、深追いせずセーブに戻る → [こうしたほうがいい] 「色をつける前のセーブに戻して」と、どこへ帰るかも言葉で選べる

    ごろはこうしてみた

    今回は二往復で片づいたので、戻らずに済んだ。

うまくいったかの確かめ方

赤い文字が消えて、ボードがまた開いて見えれば、ひとまず立て直せています。頼んだ通りの色(土曜と日曜の両方)になっているかまで、目で確かめて成功です。

答えタップして答え合わせ
ごろ

B。赤い英語(エラー)は「こわれた」の宣告ではなく、「ここでつまずいた」というメモです。

読んで意味を取る必要はありません。まるごと貼って渡せば、相棒がどこでつまずいたかを読んで直してくれます。しかも12章のセーブがあるので、最悪でも昨日のボードに帰れます。

ごろあなたの番3分

そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。

(赤い文字を丸ごと貼ったあとで)これが出て、画面も真っ白になった。読まずに貼ったので、どこでつまずいたか見て直して。

直してもらったけど、まだ土曜だけで日曜に色が付いていない。日曜も同じ色にして。

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

赤い英語は、なぜ「読まなくていい」のでしょうか。あれは、人間に向けた叱りの言葉ではなく、機械が「この行でつまずいた」と自分の足元を報告しているメモだからです。だから、大事なのは意味を解読することではなく、そのメモを丸ごと、読める相手にそのまま渡すことです。冒頭の数行に、どこで止まったかの手がかりが入っていることが多く、相棒はそこを読んで見当をつけます。途中の長い部分は、こちらが一文字も読まなくてかまいません。省かずに、丸ごと渡すのがいちばん速い道です。

ただ、正直に書いておきます。貼って渡せば、たいてい直ります。でも、いつも一発で、とはかぎりません。一回直してもらって、まだ違ったら、また言う。二往復、三往復は、ふつうに起きます。往復の回数は、下手さではなく、詰めている証拠です。著者自身も、思った通りに一発で動くことは、めったにないと言っています。そして、もし往復してもどうにも散らかってしまったら、深追いはしません。12章のセーブがあるので、「さっきのセーブに戻して」の一言で、動いていたところからやり直せます。セーブが複数あるなら、「土曜の色をつける前のセーブに戻して」と、どこへ帰るかも言葉で選べます。手すりを握ったまま、こわがらずにつまずける。これが、この節のいちばんの安心です。

例をもっと

(赤い文字を丸ごと貼ったあとで)これが出て、画面も真っ白になった。読まずに貼ったので、どこでつまずいたか見て直して。

さっき色を付ける前は動いていた。あのときのセーブに戻して。そこからやり直したい。

直してもらったけど、まだ土曜だけで日曜に色が付いていない。日曜も同じ色にして。

エラーは消えたけど、今度は文字が全部真ん中に寄ってしまった。前の左揃えに戻して。

(医療者向け・ダミーデータ前提)投与量の練習用ツールで赤い文字が出た。中身はダミーの数字だけ。エラーを丸ごと貼るので、どこで止まったか見て直して。

ごろつまずき集
  • 症状: 赤い文字が出た瞬間に、画面を閉じたくなる。原因: 叱られた気がして反射的に逃げる。一手: 閉じずに、まず赤い文字を最初から最後まで丸ごとコピーして貼ります。
  • 症状: 英語を自分で読んで意味を取ろうとして、手が止まる。原因: 自分が理解しないと直せないと思い込んでいる。一手: 読むのは相棒の仕事です。こちらは丸ごと渡すことだけに集中します。
  • 症状: 一回直してもらったのに、まだ違う。原因: 一発で直ると期待している。一手: 違いだけを一言で伝えて、二往復目に進みます。回数は詰めている証拠です。
  • 症状: 往復してもどんどん散らかっていく。原因: 深追いして戻り所を見失っている。一手: 「さっきのセーブに戻して」で、動いていた地点からやり直します。
あせらず、ゴロゴロ。
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