21章 場をひらく編
21-4

振り返りと、次の会

教えることが、一番の復習になる。

会が終わったあと、次につながる振り返りは、どっちでしょう。

  • A. 「よかったですか?」と、満足度を点数で集める
  • B. 「一つだけ、次に変えるところ」を決めて、次の会の日付を置く

答えは、この話のいちばん下にあります。

この話を読むと

感想の集め方・改善メモの作り方・「また来たくなる」次の会の設計まで、相棒と一緒に整えられるようになります。そして、教えることが一番の復習になる、という手ごたえを持って帰れます。

会は、終わったときが、いちばん熱いです。でも、その熱は放っておくと、次の日には冷めます。「楽しかったな」で終わってしまうと、次の会は、また一からになる。だから、熱いうちに、小さな振り返りを一つだけ残します。ここでも、大げさな反省会はいりません。ごろも、はじめての会のあと、うれしくて、ただ余韻にひたって終わりかけました。

会後の座布団の輪で、ごろが感想紙を『つぎへ』の箱へ拾い、ちゃぶ台の一つの丸と次回花丸を残す

振り返りは、三つだけです。ひとつ、感想の集め方。ここでも、聞くのは軽く。「今日、一回できましたか」「また来たいですか」の二つで十分です。点数でなく、来た人の一言があれば、それがいちばんの宝物になります。ふたつ、改善メモ。相棒に頼むのは、「次の会で、一つだけ変えるところ」。全部を直そうとすると、次が重くなって、ひらけなくなります。一つだけ。みっつ、次の会。「また来たくなる」いちばんの仕掛けは、終わったその場で、次の日付を置くことです。

そして、この編を締める気づきを、太字にします。教えることが、一番の復習になる。 会をひらくのは、人のためです。でも、いちばん学ぶのは、じつは教えたあなた自身です。人に伝えようとして、自分の分かっていなかったところが見え、うまく説明できたところは、自分の身に定着します。だから、次の会をひらくたびに、いちばん上手になっているのは、主催のあなたです。

会が終わって、ごろはまた布団に帰ります。でも、その布団は、前とは少しちがいます。外に、一緒にゴロゴロできる仲間が、増えたのです。

実演

ごろは、こう頼みました。

「会が終わりました。感想の集め方(軽く二つだけ)、次の会で一つだけ変えるところ、次の会の案内の下書きを、まとめて用意してください。反省会にはしたくないです。次も、また来たくなる感じで。」

まとめが、すっと出てきました。ごろは満足しかけて、改善メモを見て手が止まります。相棒が、直すところを七つも並べていました。ごろは思います。「七つは、多い。次がしんどくなる」。いちばん効く一つだけを残して、あとは箱にしまいました。

全部直そうとしない。一つだけ。ごろは、会を続けるいちばんのコツを、最後の勝負で覚えました。

ごろはじめの一歩
  • どこで: チャット画面で。会が終わって、余韻が熱いうちに。
  • どうやって: 「感想は軽く二つ・改善は一つだけ・次の会の案内も」と、まとめて頼む。
  • きっかけ: 会が終わった、その日のうちに。冷める前の一回が、次につながります。
ごろはじめの一歩

あせらず、ゴロゴロ。

実録・やってみた

会が終わりました。座布団の輪はまだそのまま。参加者は「楽しかった」「はじめて一人でできた」と言って帰っていきました。ごろは、うれしさの余韻の中にいます。手元には、こぼれた感想の紙きれと、会の最中に気づいた「次はこうしたい」のメモが、いくつか。

会が終わった手元
・参加者の一言(「はじめてできた」「また来たい」)
・自分が気づいた「次はこうしたい」メモ(いくつか)
やりたいこと
・感想を、軽くまとめる  ・改善を一つだけ決める  ・次の会を置く
ごろ
ごろが打った文「会が終わりました。感想の集め方(軽く二つだけ)、次の会で一つだけ変えるところ、次の会の案内の下書きを、まとめて用意してください。反省会にはしたくないです。次も、また来たくなる感じで。」
相棒
相棒の返答「まとめました。
〈感想の集め方(軽く)〉
・今日、一回できましたか?(はい / もう少し)
・また来たいですか?(はい / いつか)
 ※一言あれば、それがいちばんの宝物です

〈次の会で変えるところ〉
1. 実演の時間をもう少し長く
2. 座布団の配置を変える
3. 飲み物を用意する
4. 開始時刻を遅らせる
5. 資料を配る
6. 休憩を入れる
7. 人数を増やす

〈次の会の案内(下書き)〉
「この前の会、楽しかったです。また、次をひらきます。
 来た人も、今回はじめての人も、大歓迎です。」

画面で見えること感想と案内はいい感じ。でも「変えるところ」が、七つもずらりと並んでいます。

ごろは、感想の集め方と次の案内には満足しました。でも、改善メモを見て、ため息が出ます。七つも直そうとしたら、次の会が、いまより重くなってしまう。

ごろ
ごろが打った文「変えるところ、七つは多すぎます。次がしんどくなる。今回いちばん効きそうな一つだけに絞ってください。残りは、また今度で。」
相棒
相棒の返答「一つに絞りました。残りは『また今度』の箱にしまってあります。
〈次の会で変えるところ(一つだけ)〉
・実演のあと、『一緒に見て回る』時間をもう少し長く。
 (詰まった人を、もっとゆっくり見られるように)

〈また今度の箱〉
配置・飲み物・時刻・資料・休憩・人数 … 効きそうな順に、今度ひとつずつ。

画面で見えること改善が一つだけになり、残りは「また今度の箱」に静かにしまわれました。次の会が、重くなりません。

最後に、次の会の日を、カレンダーに置きました。

次の会: 三週間後の日曜、同じ時間、同じ部屋
変えるところ: 一つだけ(見て回る時間を長く)
来る人: 今回の人 + はじめての人

教えることが、一番の復習になる。 ごろは、七つの改善を一つに絞り、次の日付を置くことで、この会が「続く会」になる形を作りました。会が終わって布団に帰ったごろの外には、一緒にゴロゴロできる仲間が、増えていました。

この日はこう返ってきました。挙がる改善点や、次の案内の温度は、頼むたびにすこし変わります。

手順
  1. 感想は、軽く二つだけ集める

    こうした方がいい

    「一回できたか・また来たいか」で十分。点数はいらない

    ごろはこうしてみた

    二つの質問と、一言の欄だけにした。

  2. 改善は、相棒に「一つだけ」と頼む

    こうした方がいい

    全部直そうとすると、次が重くなる

    ごろはこうしてみた

    七つから一つに絞った。

  3. 残りは「また今度の箱」にしまう

    こうした方がいい

    捨てるのでなく、効く順に今度ひとつずつ

    ごろはこうしてみた

    六つを箱に残した。

  4. 次の会の日付を、その場で置く

    こうした方がいい

    「また来たくなる」いちばんの仕掛けは、次の日付

    ごろはこうしてみた

    三週間後を、カレンダーに書いた。

  5. 次の案内を、熱いうちに下書きする

    こうした方がいい

    余韻が冷める前に、次の呼びかけまで作る

    ごろはこうしてみた

    会の当日のうちに案内を用意した。

  6. 「教えて分かったこと」を、自分用に一行残す

    こうした方がいい

    教えることは、いちばんの復習。気づきを書き留める

    ごろはこうしてみた

    「初めての人には、ここが見えないんだ」と一行メモした。

うまくいったかの確かめ方

改善メモが「一つだけ」に絞れていて、カレンダーに次の会の日付が置けていれば成功です。感想の中に、来た人の一言が一つでもあれば、それがこの会の続く理由になります。

この章を出るときに、できること

戸を開けた部屋で、ごろが湯呑みを持ち三匹の仲間と同じ画面を見る。外のSNS光には引かれない
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この章で、ごろは「まねくゴロニャン」になりました。しゃべる側から、場をひらく側へ。配られる側から、配る側へ。舞台の拍手より、となりの座布団の「できた」を選べるようになりました。

章を出るときに、できることは三つです。

  • 「今日のゴール」を一行で決めて、小さな会の計画を一枚に落とせる
  • 案内・受付・リマインドを下ごしらえしながら、聞く情報を最小限にとどめられる
  • 詰まった人に答えを言わず、一緒に画面を見て、本人の指で解いてもらえる

そして、この章がくれた、いちばん静かな気づきが一つ。教えることは、施しではなく、いちばん濃い復習だということ。人のためにひらいた場が、めぐって、あなた自身をいちばん育てます。会が終わって布団に帰るとき、外には、一緒にゴロゴロできる仲間が増えていて、あなたも、また少し上手になっています。

次の章では、ごろはついに、フォルダを会社に見立て、部下に名前をつけて、社長の座布団に座ります。招いた仲間との場が、こんどは自分の中の「組織」になっていく話です。

あせらず、ゴロゴロ。

答えタップして答え合わせ
ごろ

B。 満足度の点数は、集めても次に変えにくいものです。

「一つだけ、次に変えるところ」を決めて、「次の会の日付」を置く。この二つがあれば、会は続きます。振り返りは、反省会ではなく、次の会への橋です。一つだけ直して、次の日を置く。それで十分です。

ごろあなたの番3分

そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。

読書会が終わりました。感想を軽く二つだけ集める形と、次回一つだけ変えるところ、次回の案内を。参加者の「印象に残った一言」を書ける欄も、ひとつ添えて。

オンライン勉強会のあとの振り返りを。「つなぎ方」で詰まった人が多かったので、そこだけ次回どう変えるか、一つの改善案として。反省会にはしないでください。

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

なぜ、改善は一つだけがいいのでしょうか。会が終わった直後は、気づきがたくさん出ます。あれもこうしたい、これも直したい、と七つも八つも浮かぶ。でも、それを全部やろうとすると、次の会は「宿題の山」になって、ひらくのが億劫になります。ひらくのが億劫になった会は、続きません。一つだけに絞るのは、手を抜くことではなく、次の会を軽く保つことです。残りは消えたわけではありません。「また今度の箱」に入れて、次の次、その次と、ひとつずつ出していけばいい。会は、一回で完成させるものではなく、少しずつ良くしていくものです。

もう一つ、残しておくと効くものがあります。自分がつまずいた場所の、しくじり帖です。「ここで、みんなの手が止まった」「この一言が、こわがらせてしまった」。会をひらくたびに気づいたそういうしくじりを、一言メモにして、次の会で一緒に手伝ってくれる人に配っておく。すると、その人は、ごろが前に転んだのと同じ石に、つまずかずに済みます。自分の転んだあとを地図にして渡す、というだけのことですが、これがあると、二人目、三人目の主催が、ぐっと楽になります。

そして、この編の締めくくりの気づきが「教えることが、一番の復習になる」です。会をひらく動機は、人のためだったはずです。ラクになる人を増やしたい、こわがっている人の背中を押したい。ところが、いざ教えてみると、いちばん学んでいるのが自分だと気づきます。人に説明しようとすると、自分が「なんとなく分かったつもり」だったところが、うまく言葉にならず、そこで初めて「分かっていなかった」と気づく。逆に、すらすら説明できたところは、教えた瞬間に、自分の身にしっかり定着します。ごろも、そうでした。教えてみたら、いちばん復習になっていたのは自分だった。それだけの話なのですが、これが、会をひらくいちばんの拾いものです。会が終わって布団に帰るとき、あなたの外には、一緒にゴロゴロできる仲間が増えていて、あなた自身も、静かに一段上手になっている。この静かな手ごたえが、次の会をひらく力になります。

例をもっと

読書会が終わりました。感想を軽く二つだけ集める形と、次回一つだけ変えるところ、次回の案内を。参加者の「印象に残った一言」を書ける欄も、ひとつ添えて。

オンライン勉強会のあとの振り返りを。「つなぎ方」で詰まった人が多かったので、そこだけ次回どう変えるか、一つの改善案として。反省会にはしないでください。

続けている会が、少しマンネリしてきました。「また来たくなる」ための小さな変化を、一つだけ提案してください。大がかりにしないのがいいです。

会に来てくれた人が、今度は自分でも小さな会をひらいてみたい、と言い出しました。その人に渡す「はじめの一歩メモ」を、この章の内容から一枚にまとめてください。

(医療者向け・ダミーデータ前提)院内勉強会の振り返りを。感想は軽く、改善は一つだけ。次回の案内も。扱った題材はすべて仮のダミーだった、と改めて一言そえる形で。

ごろつまずき集
  • 症状: 振り返りが、重い反省会になる。原因: 直すところを全部あげている。一手: 改善は「一つだけ」に絞ります。ごろが七つを一つにしたのが、これです。残りは、また今度で。
  • 症状: 「楽しかった」で終わって、次が続かない。原因: 次の日付を置いていない。一手: 会が終わったその場で、次の会の日をカレンダーに置きます。それが、いちばんの仕掛けです。
  • 症状: 感想を集めるのが、大がかりになる。原因: 点数や項目を増やしている。一手: 「できたか・また来たいか」の二つと、一言の欄で十分です。集めすぎない、はここでも同じです。
  • 症状: 会を重ねても、自分が成長している気がしない。原因: 「教えて分かったこと」を残していない。一手: 会ごとに、気づいたことを一行だけ書き留めます。教えることは、いちばんの復習です。
あせらず、ゴロゴロ。
読んだ