二匹に、同じことを頼んで見比べる
AIに勝たなくていい
「この作業はこっちの子」という使い分けの勘が、遊びながら育ちます。
「使い分け」なんて、通の人がやることに聞こえますよね。でも、いちばん確実な使い分けの覚え方は、理屈ではなく「二匹に同じことを頼んで、返事を並べて眺める」という、ただの遊びです。
ごろは、二匹の得意が違うらしい、とうすうす感じていました。でも、どっちがどう違うのかは、言葉にできません。そこでごろは、いちばん手っ取り早い方法を選びます。同じお願いを、両方に投げて、返事を並べてみる。
一匹目は、要点をきちんと取捨選択して、意味の通ったまとめを返してきました。方向づけが上手なのです。二匹目は、機械的だけれど手早く、そつのないまとめを返してきました。速いのです。並べてみて、ごろははじめて、二匹の得意が自分の目で見えました。
ここでごろは、ちょっと欲張って失敗します。せっかく二つ良い答えがあるのだから、と、両方をまるごと合体させてしまったのです。すると、かえって長くごちゃごちゃした要約ができあがりました。ごろは頭をかいて気づきます。いいとこ取りは、混ぜることじゃなくて、選ぶことなんだ。ごろは合体をやめて、必要な数行だけを残しました。

選ばなきゃいけないのかな、とごろは二枚の紙を交互に見くらべます。でも、どちらを捨てる気にもなれません。こっちは考えるのが得意、こっちは手が速い。それぞれの島に住んでもらうだけ。勝ち負けじゃない、とごろはようやく気づきます。
勝ち負けをつける必要は、ありません。片方は方向づけが上手、片方は淡々と数をこなすのが上手、というだけ。合言葉のとおり、AIに勝たなくていい。二匹に乗り比べて、乗り心地の良いほうへ、そのつど乗ればいい。一度この地図ができれば、次からは考える仕事は一匹目、手数のいる仕事は二匹目、と迷わず振れます。
同じお願いを、一匹目と二匹目の両方に投げてみました。返ってきた二つの答えを見て、いちばん賢い使い方はどっち?
- A: どっちが「正解」か決めて、負けたほうのAIはもう使わない
- B: 二つを見比べて、良いところをいいとこ取りする。次からは、それぞれの得意な役に回す
ごろが、同じお願いを二匹に投げます。「この長いメモを、3行に要約して」。
一匹目は、意味の通った3行を返しました。二匹目は、手早くそつのない3行を返しました。ごろは二つを並べて、なるほど、まとめ方の判断は一匹目、量をさばくのは二匹目だな、と、頭のなかの地図に書き込みます。理屈ではなく、遊びで覚えました。
はじめの一歩- どこで: 次に要約や下書きを頼むとき、一匹目だけでなく二匹目にも同じお願いを出してみる
- どうやって: 二匹目を持っていなくても見比べはできる。いつものアプリで「新しい会話」(左上や「+」の印)をもう一つ開き、同じお願いを両方に投げて、返ってきた二つを上下に並べて読む。違いを一言メモする(「こっちは丁寧」「こっちは速い」で十分)
- きっかけ: 「どっちに頼めばいいか迷う」と感じた作業こそ、見比べ遊びの出番
はじめの一歩あせらず、ゴロゴロ。使い分けは、暗記するものではありません。二匹に乗り比べているうちに、いつのまにか体が覚えています。
ごろの手元に、町内会だよりが一枚あります。清掃、夏祭り、防災倉庫と、話題が三つ詰まった長めの文章。これを3行に要約したいのですが、どちらの相棒に頼むと良いのか、まだ分かりません。そこで、同じお願いを両方に投げて、返事を並べてみることにしました。まず、元の長さを見ておきます。
$ cat mikurabe_74/町内会だより.txt
今月の町内会からのお知らせです。まず、来週の日曜日に公園の清掃活動が
あります。朝9時に東屋前に集合してください。(…夏祭りの実行委員募集、
防災倉庫の点検と続いて、全部で5行…)同じお願いを、二匹に出します。
ごろが打った文(一匹目にも二匹目にも、同じ文を)この長いメモを、3行に要約して。
相棒一匹目の返答・来週日曜9時から公園清掃(雨なら翌週、道具は用意あり)/・夏祭りの実行委員を募集中(7月開始・月2回・会長へ連絡)/・今月末に防災倉庫の点検(倉庫前の駐車は控える)
相棒二匹目の返答・公園の清掃活動が来週日曜の朝9時にある/・夏祭りの実行委員を募集している/・防災倉庫の点検を今月末に行う
画面で見えること二つの3行が上下に並ぶ。一匹目は括弧で細かい条件まで拾い、二匹目はすっきり短い。
並べてみて、得意の違いが目で見えました。一匹目は「雨なら翌週」「駐車は控える」まで束ねる方向づけが上手。二匹目は、余計を落として手早くまとめるのが上手。ここでごろは、ちょっと欲張って失敗します。
ごろが打った文せっかく二つ良いから、両方まるごと合体させて。
相棒の返答両方を結合しました。ただ、同じ内容が二度ずつ出て、6行の長い要約になっています。(重複した6行を表示)
画面で見えることいいとこ取りのはずが、かえって長くごちゃごちゃした要約になっている。
ごろは頭をかいて、合体をやめました。いいとこ取りは、混ぜることではなく、選ぶこと。一匹目の丁寧さを土台に、二匹目の短い言い回しを一部だけ借りて、必要な3行に整えます。
$ cat mikurabe_74/要約_いいとこ取り.txt
・来週日曜9時から公園清掃(雨なら翌週、道具は用意あり)
・夏祭りの実行委員を募集中(7月開始・月2回)
・今月末に防災倉庫の点検(倉庫前の駐車は控える)これで、頭のなかに小さな地図ができました。まとめ方の判断は一匹目、量を手早くさばくのは二匹目。勝ち負けをつけず、得意な島に住んでもらうだけです。この日はこう返ってきました。どちらがどこまで細かく拾うかは、頼むたびに少し揺れます。
要約したい実物と、答えの形を決める
こうした方がいい「3行で」「一言で」と、答えの形をそろえておくと差が見える
ごろはこうしてみた町内会だよりを「3行に要約」と形を決めて頼んだ。
まったく同じお願いを、両方に投げる
こうした方がいい一字一句そろえる。お願いが違うと、得意の差でなく指示の差になる
ごろはこうしてみた一匹目にも二匹目にも、同じ「3行に要約して」を出した。
二つの返事を上下に並べて読む
こうした方がいいどちらが正解かでなく「どこが違うか」を一言メモする
ごろはこうしてみた「一匹目は条件まで拾う」「二匹目は短い」とメモした。
合体させず、必要なところだけ選んで残す
こうした方がいい混ぜると重複して長くなる。土台を一つ決めて、他はつまむ
ごろはこうしてみた一度は合体して6行に膨らんだので、やめて3行に選び直した。
気づいた得意を、頭の地図に書き込む
こうした方がいい地図は固定せず、たまに乗り比べて描き直す
ごろはこうしてみた「判断は一匹目・量は二匹目」と覚え、次の振り分けに使った。
二つの返事の違いを、自分の言葉で一言で言えれば、見比べは成功です。いいとこ取りは、行が増えていないか(混ぜて長くなっていないか)を見れば分かります。増えていたら、選び直すサインです。
作った本人に、レビューさせない
見比べる使い方には、もう一つ顔があります。「作る役」と「直す役」を分ける、という使い方です。
>ごろはある日、書いた文章を一匹目に「おかしいところを教えて」と頼みました。一匹目はこう返してきました。「とてもよくまとまっています。強いて言えば……」。強いて言えば、です。自分が書いたものを、自分で粗探しするのは、たいていどんな相棒でも難しい。褒めるほうへ、流れていきます。
そこでごろは、新しい会話を別に開いて、二匹目に頼んでみます。「良いところは要りません。直すべき場所だけ、全部挙げてください」。
二匹目は、一匹目が見逃した揺らぎや言い回しの重複を、素直に出してきました。事情を知らないぶん、遠慮もない。作った本人(同じ会話の相棒)は、自分の仕事に甘くなりがちです。粗探しは、別の一匹に任せる。それだけで、見つからなかった直しが出てきます。
二刀流でなくても、同じことができます。今の相棒との会話が長くなってきたら、新しい会話を開いて「直すべき所だけ挙げて」と同じ文章を渡してみる。それだけで、一匹でも粗探し係を呼べます。
答えタップして答え合わせ

B。二匹の答えに勝ち負けをつける必要はありません。
得意が違うだけ。見比べると、その違いが自分の目で見えてきます。見えたら、次からは得意な役に回せばいいのです。
あなたの番3分そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。
この長いメモを、3行に要約してください。(同じお願いを、一匹目と二匹目の両方に出して見比べる)
(粗探し係への頼み方・その一)この文章を読んでください。良いところは要りません。直すべき場所だけ、全部挙げてください。
増補もっと知りたい人へ (3)
なぜ、二匹の得意は違うのでしょうか。同じ「AI」とひとくくりにされても、育ち方や中身の作りが少しずつ違うので、返ってくる答えの手ざわりも変わってきます。片方は、要点を選び取って方向づけをするのが上手。もう片方は、細かいことを気にせず、手早く数をこなすのが上手。どちらが偉いという話ではなく、向きが違うだけです。この違いは、説明を読んで覚えるより、同じお願いを両方に投げて、返事を並べて眺めるほうが、ずっと早く腹に落ちます。自分の目で見た違いは、忘れません。ここでごろがやりかけた失敗が、いいヒントになります。二つとも良いからと、まるごと合体させたら、かえって長くごちゃごちゃになった。いいとこ取りとは、混ぜることではなく、選ぶことでした。二つの答えは、素材だと思ってください。並べて、必要なところだけつまむ。それを何度か繰り返すうちに、「この作業はこっちの子」という地図が、頭のなかにできてきます。地図ができれば、もう迷いません。考える仕事は方向づけの上手なほうへ、手数のいる仕事は速いほうへ、そのつど気楽に振ればいいのです。ちなみに、得意は将来変わることがあります。だから地図も、ときどき描き直すくらいの気持ちで、ゆるく持っておくのがよさそうです。
この長いメモを、3行に要約してください。(同じお願いを、一匹目と二匹目の両方に出して見比べる)
このニュース記事を、家族に一言で説明するとしたら? 両方に頼んで、分かりやすいほうを選ぶ。
この旅行プランの下書きに、抜けている観点を挙げてください。二匹の指摘を並べて、重なった分と、片方だけの分に分ける。
この趣味のレシピ、材料を半分にしたときの分量を計算して。両方に頼んで、数字が合っているほうを採用する。
(医療者向け・ダミーデータ前提)この学習用ダミー症例の要点を、3行でまとめてください。両方の要約を並べて、抜け落ちのないほうを土台にする。実データは使いません。
(粗探し係への頼み方・その一)この文章を読んでください。良いところは要りません。直すべき場所だけ、全部挙げてください。
(粗探し係への頼み方・その二)新しい会話として聞きます。この文章に、言い回しの揺らぎ、重複、読みにくい箇所があれば、指摘してください。褒め言葉は省いて構いません。
つまずき集- 症状: 二つの答えを合体させたら、かえって読みにくくなった。原因: 混ぜてしまった。一手: 合体をやめ、必要な数行だけを選んで残す。いいとこ取りは「選ぶこと」。
- 症状: 見比べても、違いがよく分からない。原因: お願いが漠然としていて、差が出にくい。一手: 「3行で」「一言で」と、答えの形を指定してから比べる。
- 症状: どっちが正解か決めたくなって、疲れる。原因: 勝ち負けで見ている。一手: 「得意が違うだけ」と割り切り、島を二つ描くつもりで眺める。
- 症状: 前は速かったほうが、今日は遅く感じる。原因: 得意はときどき変わります。一手: 地図を固定せず、たまに乗り比べて描き直す。
