18章 デザイン編
18-2

白紙のこわさを、消す

「脳の比較モードをオンにする」

真っ白なところに、最初の一筆を入れてくれる道具です。人がいちばん固まるのは、何も無いところから始めるときです。最初の一筆さえ入っていれば、あとは「直す」だけになります。ゼロから作るより、直すほうがずっと気楽です。

「何から手をつけていいか分からない」で止まってしまう人のための道具です。もう完成イメージが頭にある人は、それをそのまま伝えるところから始めれば十分です。下地は、迷っている人のための踏み台です。

ごろが「町内会のお知らせを1枚。日時と場所が目立つように」と話します。すると、それらしい下地が1枚、出てきます。完璧ではありません。でも、真っ白ではありません。ごろは下地を見て、「日付の文字だけ大きく」とだけ頼みます。それで、もう「伝わる1枚」の顔になっています。ごろは満足して、また丸くなります。難しいことは、何ひとつしていません。

真っ白な紙と完成一歩手前の下地が並び、ごろが下地の方だけをそっと指す
  • どこで: デザインの相談ができる画面、またはお知らせを話しかけたその場
  • どうやって: 「〇〇を1枚。△△を目立たせて」と、用途と主役を言う
  • きっかけ: 紙1枚を配りたい・貼りたいとき
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ごろが『お知らせ』の紙の一点を前足で指し、その箇所だけが大きく強調される

あせらず、ゴロゴロ。

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

「白紙から始めないといけない」という思い込みは、デザインだけに限りません。企画書、自己紹介文、議事録のひな型。何かを作る場面のほとんどで、最初の一筆が最大の壁になります。なぜかというと、完成形が見えないまま動き始めるのは、脳への負荷がとても大きいからです。下地が1枚あると、脳の仕事が「ゼロから作る」から「直す」に切り替わります。直すほうが楽なのは、比べる基準ができるからです。「ここが違う」「あっちのほうがいい」という判断は、何かを見ながらするほうが圧倒的に速い。下地を頼む行為は、「脳の比較モードをオンにする」操作です。ごろが下地を見てすぐ「日付だけ大きく」と言えたのも、見る対象があったからです。白紙のままなら、そのひとことは出てこなかったかもしれません。

例をもっと

「PTAの活動紹介を載せる、A4縦のチラシの下地を1枚。文字は少なめで、写真を入れる余白を広くとってください」

「フリーランスで翻訳をしています。新規の相談をもらうための一枚紹介資料の下地がほしいです。堅すぎず親しみやすいイメージ」

「社会人バレーボールのチームメンバー募集のチラシを1枚。スポーツらしい元気な感じで」

「読書サークルの月例会のご案内はがき。落ち着いた、図書館のようなイメージで」

「(医療者向け・ダミーデータ前提)クリニックの患者さん向け禁煙外来の案内リーフレットの下地。励ますトーンで、押しつけがましくなく」

ごろつまずき集

「下地が自分のイメージと全然違うものが出てきた」: 用途と主役が抜けている可能性があります。「チラシ」だけでなく「〇〇向けに」「△△を伝える」まで添えると、ずっと近いものが出ます。

「下地を出してもらったのに保存できない」: 書き出しと保存の手順は画面によって異なります。細かい手順はオンライン追補で確認してください。「保存できますか?」と話しかけて確かめる手もあります。

「下地を直そうとしたら全部変わってしまった」: 「全体のバランスを良くして」のような大きな指示は、全部作り直しになることがあります。「日付の文字サイズだけ大きく」のように、1箇所を絞ると変わりすぎを防げます。

あせらず、ゴロゴロ。
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