うまく頼むコツ、5つだけ
どれか1つ足すだけで、答えは変わる。
頼み方のコツが、5つだけ手に入ります。
ここまでで、あなたはもう、けっこう上手に頼めています。あとは、仕上げのコツを少しだけ。難しくはしません。コツは、たったの5つ。しかも、全部覚える必要はありません。
- コツ① 役割を渡す:「あなたは栄養士です」「小学校の先生として」。立場を決めると、答えの目線が定まります。
- コツ② 前提を渡す:「相手は初めての人」「予算は5千円」。条件を先に言うと、外しません。
- コツ③ 例を見せる:「こんな感じで、を1つ見せる」。言葉で説明しにくい好みは、例が最短です。
- コツ④ 分量を決める:「3行で」「箇条書きで5つ」「表にして」。長さと形を指定すると、読みやすくなります。
- コツ⑤ 言い直す:一発で決めない。「もっと短く」「もっとやさしく」で近づけます。往復が前提です。
ごろは、ここでいつもの癖を出しました。5枚のカードを、全部いっぺんに持とうとして、手がいっぱいになったのです。欲張ると転ぶ、ごろの弱点がまた顔を出しました。でも、次の瞬間には気づきます。5つ全部を、毎回背負う必要はない。どれか1つ足すだけで、答えは変わる。 ごろは1枚だけ選んで、あとは布団に置きました。「1枚でいいんだ」の、安心した顔で。

同じ質問なのに、答えの質を上げる一言を足すなら、どっちでしょう。
- A「あなたはプロの編集者です。その視点で直して」
- B「がんばって直して」
答えは、下にあります。
打つ言葉:「あなたは料理初心者向けのレシピ本の編集者です。さっきの唐揚げレシピを、料理をしたことがない人でも失敗しないように、5工程の箇条書きで書き直して」 → 役割・前提・分量の3つを足しただけで、格段に親切な手順に変わります。
- どこで: これまで使ってきた、どの相談でも
- どうやって: 次の質問に、5つのうち1つだけ足してみる
- きっかけ: 「なんか答えが物足りない」と思ったとき。その一言を足すだけ
あせらず、ゴロゴロ。
場面設定。ごろは前に、唐揚げのレシピを相棒に出してもらいました。でも、料理をほとんどしたことがない自分には、少し説明が足りなく感じます。ここで、5つのコツを一気に全部は使いません。まず「役割」の取っ手だけ、一つ握ってみます。
画面で見えること役割を渡しただけで、初心者向けの親切な注釈が増えます。ただ、文章がやや長く、手順の区切りが分かりにくいままです。
ごろは、もう一つだけ取っ手を足します。今度は「分量(形)」です。
画面で見えること5つの番号つきになって、どこまでやったか一目で分かる手順に変わります。
いい流れに気をよくしたごろは、ここで欲張りました。残りの取っ手も全部いっぺんに握ろうとしたのです。
画面で見えること注文を盛りすぎて、かえって答えがぼやけ、相棒に聞き返されます。
欲張ると転ぶ。ごろは苦笑いして、取っ手を2枚だけに戻しました。
5枚のカードを全部持たなくていい。役割と分量、取っ手を2つ握っただけで、ここまで親切になりました。 ごろが握った取っ手を並べると、こうです。
握った取っ手: 役割(初心者向け編集者)+ 分量(5工程の箇条書き)
握らなかった取っ手: 前提 ・ 例 ・ 言い直し(今回は不要だった)物足りなければ、握っていない取っ手をもう一つ足す。それだけで階段状に良くなります。この日はこう返ってきました。工程の分け方は毎回すこし違うので、細かすぎたら「3工程にまとめて」と言い直せば整います。
今ある物足りない答えを、一つ手元に置く → [こうしたほうがいい] ゼロから作らず、既にある答えを叩き台にすると変化が見える
ごろはこうしてみた前に出してもらった唐揚げレシピをそのまま使った
5つのうち、まず1つだけ取っ手を選ぶ → [こうしたほうがいい] 全部いっぺんに背負わない。1つでも答えは目に見えて変わる
ごろはこうしてみた「役割(初心者向け編集者)」を1枚だけ選んだ
その取っ手を足して打ち直す → [こうしたほうがいい] 役割・前提・例・分量のどれかを、具体的な言葉で渡す
ごろはこうしてみた役割を渡したら、初心者向けの注釈が増えた
まだ物足りなければ、取っ手をもう1つだけ足す → [こうしたほうがいい] 一度に増やさず、1つずつ足すと、どれが効いたか分かる
ごろはこうしてみた「5工程の箇条書き」を足したら、一気に読みやすくなった
方向を変えたいときは「言い直す」で近づける → [こうしたほうがいい] 「もっと短く」「もっとやさしく」と、動かす方向を1つに絞る
ごろはこうしてみた工程が細かすぎたので「まとめて」と言い直した
うまくいったかの確かめ方。取っ手を1つ足す前と後の答えを見比べて、後のほうが「自分の欲しい形に近い」と感じられれば成功です。5つ全部を毎回使う必要はありません。
幕間C1 まちがえるAIとのつきあい方
これは、少しだけ大事な話です。クイズはありません。ゴロゴロしたまま、聞いてください。
AIは、自信たっぷりに間違えます。知らないことも、もっともらしく言い切ってしまう。ごろも一度、やられました。「この近くの、おすすめのお店は?」と聞いたら、AIは胸を張って、一軒のお店を教えてくれたのです。名前も、雰囲気も、いかにも本当らしい。ところが、そのお店は、どこにも存在しませんでした。

大事なのは、ここで驚かないことです。これは故障ではなく、AIの性質です。だから、どこを信じて、どこを疑うかの線を、先に引いておきます。文章の下書き、要約、アイデア出し。ここはとても強い。でも、日付・数字・固有名詞・法律・お金・健康。ここだけは、必ず自分で裏を取る。 これを覚えておけば、間違いに振り回されません。
裏の取り方は、簡単です。大事な事実を一つ、いつもの検索や公式サイトで確かめる。それだけです。もっと簡単な手もあります。AI自身に「確かでなければ、そう言って」と一言添える。すると、無理な断定が減って、「ここは要確認です」と自分から白状してくれることがあります。
あせらず、ゴロゴロ。

打つ言葉:「この内容で、確実でない部分があれば正直に教えて。曖昧なところは『わからない』と言って」 → AIが「ここは確実ですが、この数字は要確認です」と、自分の不確かさを申告してくれます。丸ごと信じるのを防ぐ、一言の効果です。
あせらず、ゴロゴロ。

- どこで: あらゆる相談の、最後のひと確認として
- どうやって: 大事な事実が1つでも混じっていたら、それだけ自分で裏を取る
- きっかけ: 数字・日付・お金・健康の話が出てきたとき。そこだけ立ち止まる
つきあい方の合言葉は、これです。決めるのは自分、下書きはAI。この線を引いておけば大丈夫。序章の「乗ればいい」の裏側に、そっと張ってある安全網です。
>あせらず、ゴロゴロ。
場面設定。ごろは、散歩のついでに近所でお茶でもしようと、おすすめの店を聞いてみました。相手はかしこいから、いい店を知っているだろう、という軽い気持ちです。
画面で見えることいかにも本当らしい店の名前と、雰囲気の説明まで、すらすら返ってきます。
ごろは、わくわくして出かけようとして、はたと気づきます。そんな店、聞いたことがない。半信半疑のまま、確かめる一言を打ってみます。
画面で見えることさっきの自信が引っこんで、「確実ではない」と自分から白状します。
ごろは、もう一歩ためしてみます。「じゃあ、その情報はどこから?」と、出典を聞いてみたのです。
画面で見えること出典まで作ってしまいかねない、と相棒のほうから注意してくれます。
裏取りの相手は、AIの中ではなく、外にあります。出典の名前を教わったら、その名前も、いつもの検索で実在するか確かめる。ここまでやって、はじめて安心です。
一往復目は、存在しない店を胸を張ってすすめてきました。でも、「自信がなければ正直に言って」の一言で、なめらかな作り話が引っこみます。 ごろが引いた線は、これです。
[強い・そのまま使える]
文章の下書き / 要約 / アイデア出し
[必ず自分で裏を取る]
日付 / 数字 / 固有名詞(店名・人名) / 法律 / お金 / 健康喫茶店の名前は、右側の「固有名詞」でした。だから、鵜呑みにせず地図アプリで確かめる。この日はこう返ってきました。同じ質問でも、確かめる一言を添えるかどうかで、返事の慎重さは毎回変わります。
返ってきた答えを、まず一度受け止める → [こうしたほうがいい] 最初から疑いすぎて全部を確かめると疲れる。まず読む
ごろはこうしてみたおすすめの店を、いったんそのまま受け取った
中に「事実」が混じっているか見る → [こうしたほうがいい] 日付・数字・固有名詞・お金・健康の言葉が出たら、そこに印をつける
ごろはこうしてみた「店名」という固有名詞が出ていることに気づいた
その事実を1つだけ選んで、裏を取る → [こうしたほうがいい] 全部でなく、外せない1つだけを、いつもの検索や公式サイトで確かめる
ごろはこうしてみた店名を地図アプリで調べたら、見つからなかった
迷ったら、AI自身に不確かさを白状させる → [こうしたほうがいい] 「確かでなければそう言って」と先に許可を出すと、断定が減る
ごろはこうしてみた一言添えたら「確実ではない」と正直に返ってきた
出典を聞いたら、その出典も確かめる → [こうしたほうがいい] 出典名まで作られることがあるので、名前が実在するかを検索する
ごろはこうしてみた挙げられた出典を検索して、実在するものだけ信じることにした
うまくいったかの確かめ方。日付・数字・固有名詞・お金・健康のうち、外せない事実が1つでも自分の目で確かめられていれば大丈夫です。全部を疑う必要はありません。
第1部の締め
ごろは何度か転びました。丸投げで塩対応をくらい、ないお店をすすめられ、コツを持ちすぎて手をいっぱいにした。でもそのたびに、笑って一枚だけ拾い直しています。

「一人でやる」が「いっしょにやる」に変わりました。称号は「ただのゴロニャン」から「しゃべるゴロニャン」へ。次の章で、ごろはこの話し相手を、いつも隣にいる相棒として連れ歩きはじめます。
あせらず、ゴロゴロ。
答えタップして答え合わせ

A。「あなたは〇〇です」と役割を渡すと、AIはその立場で考えてくれます。
「がんばって」は気合いの問題ではないので、答えは変わりません。コツは根性でなく、渡し方です。
あなたの番3分そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。
(前提)相手はスマホが苦手な80代です。LINEの送り方を、その前提で、絵文字なしで説明して
(言い直す)さっきの旅行プラン、もっとのんびりに。1日の予定を半分に減らして
増補もっと知りたい人へ (6)
5つのコツは、ばらばらの小技に見えて、根っこは一つです。どれも「AIが選ぶ範囲を、あなたの望むほうへ絞る」ための手がかりです。1-2で見たとおり、AIは手がかりが少ないと、まん中あたりの無難な答えに寄ります。役割(あなたは栄養士です)を渡せば栄養の目線に、前提(予算は5千円)を渡せば現実的な範囲に、例を見せれば好みの形に、分量を決めれば読みやすい長さに、答えが寄っていく。どれも「絞り込みの取っ手」で、増やすほど的が小さくなります。
だからこそ、全部いっぺんに背負う必要はありません。取っ手は一つ握るだけで、答えは目に見えて変わります。物足りないと感じたら、いま握っていない取っ手をもう一つ足す。この足し算の順番で十分です。5つ目の「言い直す」だけは少し性格が違って、往復そのものを前提にしています。一回で決めきろうとせず、返事を見て「もっと短く」「もっとやさしく」と近づける。これは技というより、AIとのつきあい方の基本姿勢です。
コツを1つだけ足す、を場面ごとに。仕事・くらし・趣味・学びから。
(役割)あなたは新人研修の講師です。名刺交換の手順を、初日の新入社員向けに5つ
(前提)相手はスマホが苦手な80代です。LINEの送り方を、その前提で、絵文字なしで説明して
(例)こんな雰囲気の自己紹介がいいです。「猫と映画が好きな会社員です」。この調子で3文
(分量)確定申告の流れを、はじめての人向けに、箇条書きで7ステップに
(言い直す)さっきの旅行プラン、もっとのんびりに。1日の予定を半分に減らして
(医療者向け・ダミー可)あなたは患者説明が上手な指導医です。「造影剤検査の前の注意」を、架空の設定で、不安をあおらず3点に
つまずき集- 症状: コツを足したのに変わらない → 原因: 「がんばって」など中身のない言葉を足した → 一手: 役割・前提・例・分量のどれか、具体的な取っ手に替える
- 症状: 5つ全部入れたら、かえって窮屈な答えに → 原因: 注文が多すぎて優先順位が消えた → 一手: まず1つに戻す。物足りなければ1つずつ足す
- 症状: 役割を渡しても専門的すぎる → 原因: 相手(読み手)の前提を渡していない → 一手: 「相手は初めての人」と読み手も一緒に指定する
- 症状: 例を見せたのに反映されない → 原因: 例が抽象的で、まねる手がかりが薄い → 一手: 具体的な一文を丸ごと見せる
- 症状: 何度直しても近づかない → 原因: 直す方向があいまい → 一手: 「短く」「やさしく」など、動かす方向を1つに絞って言う
なぜAIは、自信たっぷりに間違えるのでしょう。1-2でふれたように、AIは「次に来そうな、もっともらしい言葉」を選んでつないでいます。この仕組みは、事実かどうかを確かめる作業とは別物です。だから、本当のことも、それらしいだけの作り話も、同じくらいなめらかに、自信ありげに出てきてしまう。存在しないお店を胸を張ってすすめるのは、うそをつこうとしているのではなく、「それらしい形」をなめらかに作れてしまう性質の裏返しなのです。これは故障ではなく、性質。だから驚かず、扱い方を覚えるほうが早い。
線引きは単純です。強い場所と、裏を取る場所を分けます。文章の下書き、要約、アイデア出し。ここは形を作る仕事なので、とても強い。いっぽう、日付・数字・固有名詞・法律・お金・健康。ここは事実そのものなので、必ず自分で裏を取る。裏取りは重くありません。大事な一つを、いつもの検索か公式サイトで確かめるだけ。「確かでなければ、そう言って」と一言添えて、AI自身に不確かさを白状させる手もあります。丸ごと信じない、でも突き放しもしない。ほどよい距離が、いちばん長く付き合えます。
裏を取る・言わせる、を場面ごとに。くらし・仕事・学びから。
この内容で、確実でない部分があれば正直に。曖昧なところは「わからない」と言って
さっきの説明、日付と数字だけ抜き出して。あとで自分で確かめます
このお店の情報、実在するか自信がなければ、そう教えて。断定しないで
法律にかかわる話なので、一般論として説明しつつ、必ず専門家に確認すべき点を挙げて
この健康の話、ネットの一般論として答えて。心配なら受診、という前提も添えて
(医療者向け・ダミー可)この文献要約、原著にあたるべき数値を挙げて。要約を鵜呑みにしない前提で
つまずき集- 症状: もっともらしいので、つい信じた → 原因: なめらかさと正しさを混同した → 一手: 日付・数字・固有名詞・お金・健康が出たら、そこだけ立ち止まる
- 症状: 何を確かめればいいか分からない → 原因: 全部を疑って疲れている → 一手: 外せない事実を1つだけ選び、そこだけ裏を取る
- 症状: 「わからない」と言ってくれない → 原因: 断定を許す聞き方になっている → 一手: 「確かでなければそう言って」と先に許可を出す
- 症状: 出典を聞いたら、それも怪しい → 原因: 出典まで作られることがある → 一手: 出典名を、いつもの検索で実在するか確かめる
