コラムD ごろのデスク日記
D-4

マイクを立てたら、動画収録まで始めた

この日はこう返ってきました。同じ中身でも、「声に出して読む前提で」と一言添えるだけで、読める台本に変わります。一回目の書き言葉のままだと、いくら声がクリアでも固く聞こえてしまう。マイクで入口を整えるのと、台本を口語にするのは、両輪でした。毎回、口語の崩し方はすこし違います。

AIに手伝ってもらうと、発信の下ごしらえが、ずいぶんラクになりました。

だったら、少し声も乗せてみようか。軽い気持ちでした。それが運のつきです。気づいたら、机に立派なマイクが一本立っていて、動画の収録まで始めていました。もともとは、布団で寝ながら話しかけるのが好きだったはずの人間がです。

弁解します。スマホの録音でも、話は伝わります。でも、声がこもっていると、聞く人が最初の十秒で少し疲れる。逆に、声がクリアなだけで、同じ中身でも「ちゃんとしている」に聞こえるんです。中身より先に、入口のほうが整いました。使ったのは知られたマイクのひとつですが、ここでは名前より、声が変わったという体験のほうが本題です。

実益はひとつ。台本づくりや構成はごろに任せて、自分は「話す」だけに集中できます。下ごしらえはAI、声は自分。役割が分かれると、発信のハードルが、ぐっと下がりました。全部を自分でやろうとしていたときより、むしろ気楽になったのです。

……布団で寝ながら話しかけるのが好きだったはずが、今は背筋を伸ばして、マイクに向かって「どうも、こんにちは」と言っています。ゴロゴロから、いちばん遠い姿勢です。

少し背筋を伸ばして大きなマイクに向かうごろのしっぽの先が、足元の丸めた布団にまだ触れている
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あせらず、ゴロゴロ。

実録・やってみた

マイクを立てて、初めて動画用の一本を録ってみた日の話です。台本づくりはごろに任せることにして、まず骨組みを頼みました。手元にあるのは、テーマ一行と、真っさらな録音アプリだけです。

録る前に手元にあったもの:
- テーマ「AIに下ごしらえを任せる話」一行だけ
- 立てたばかりのマイク
- 台本=まだ何もない
ごろ
ごろが打った文「AIに下ごしらえを任せる話」で、3分くらいの動画の台本を作って。
相棒
相棒の返答はい。導入・本編・締めの3部で構成します。導入「今日は、AIに下ごしらえを任せる話をします。皆さんは日々の作業の中で、準備段階に多くの時間を費やしていることに気づいているでしょうか」本編では……(以下、本編2ブロックと締めが続く)

画面で見えること中身は悪くないのですが、声に出して読んでみたら、ぜんぶ「書き言葉」でした。「気づいているでしょうか」なんて、口ではまず言いません。読むと、どうしても朗読みたいに固くなる。ここで直しを入れます。

ごろ
ごろが打った文読んでみたら固い。声に出して読む前提で、しゃべり言葉にして。「です・ます」だけど、友達に話すくらいのゆるさで。短い文で。
相棒
相棒の返答直します。導入「今日はですね、AIに下ごしらえを任せる、っていう話をします。料理でいう、野菜を切っておいてもらう感じですね。準備がラクになると、本番だけに集中できるんです」……(以下、同じ調子で本編・締めが続く)

画面で見えること二回目は、そのままマイクに向かって読めました。息継ぎの場所が自然で、つっかえません。一回目と二回目の頼み方の差は、「声に出して読む前提で」の一言だけでした。仕上がった台本の頭は、こうなりました。

直した台本(冒頭):
今日はですね、AIに下ごしらえを任せる、っていう話をします。
料理でいう、野菜を切っておいてもらう感じですね。
準備がラクになると、本番だけに集中できるんです。

この日はこう返ってきました。同じ中身でも、「声に出して読む前提で」と一言添えるだけで、読める台本に変わります。一回目の書き言葉のままだと、いくら声がクリアでも固く聞こえてしまう。マイクで入口を整えるのと、台本を口語にするのは、両輪でした。毎回、口語の崩し方はすこし違います。

手順
  1. テーマ一行だけで、まず台本の骨組みを頼む

    こうした方がいい

    完成形をいきなり求めず、導入・本編・締めの3部でざっくり出させる

    ごろはこうしてみた

    テーマ一行を渡したら、3部構成の下書きがすぐ返ってきた。

  2. 出てきた台本を、必ず一度「声に出して」読む

    こうした方がいい

    目で読んで判断せず、口に出して固い所を探す

    ごろはこうしてみた

    黙読では気づかなかった「でしょうか」が、声にすると急に固く感じた。

  3. 「声に出す前提で、短い文で」と頼み直す

    こうした方がいい

    書き言葉を口語に直す指示は、具体的な条件を添える(短く・ゆるく)

    ごろはこうしてみた

    「友達に話すくらい」と足したら、息継ぎが自然な文になった。

  4. マイクと口の距離を、握りこぶし一個ぶんに保つ

    こうした方がいい

    距離が変わると音量がばらつくので、アームで固定して一定にする

    ごろはこうしてみた

    近づきすぎた所だけ音が割れていたので、こぶし一個ぶんを守ったら安定した。

  5. 背後に布か毛布を置いてから録る

    こうした方がいい

    専用の防音がなくても、布があれば反響を減らせる

    ごろはこうしてみた

    もともと足元にあった布団を背後に寄せただけで、声の響きが減った。

うまくいったかの確かめ方

直した台本を通して読んだとき、つっかえずに最後まで言えるか。息継ぎの場所で自然に区切れて、朗読っぽさが消えていれば、口語に直せています。

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

声の「入口」が整うと、中身への信頼感が変わります。これは感覚的な話ではなく、聞く人の処理の問題です。音がこもっていると、脳はまず「何と言ったか」を聞き取ることにエネルギーを使います。クリアな音ならその処理がほぼゼロになり、内容だけに集中できる。同じ言葉でも「聞きやすい声」のほうが、情報として届きやすいのです。発信においてマイクは話し方より先に整えるべき要素かもしれません。話し方のトレーニングに時間をかける前に、まず音の入口を直すほうが、投資対効果は高いことが多いです。なお、マイクの種類は大きく二種類あります。コンデンサー型は繊細な音を拾いますが、部屋の反響も拾うので静かな環境向き。ダイナミック型は周囲の音を拾いにくく、家で使いやすいです。どちらが合うかは、部屋の静かさによって変わります。

例をもっと

AIに頼んで台本の骨格をつくってもらい、それをそのままマイクに向かって読む。準備時間が半分以下になった。

動画のタイトル案と説明文もAIに出してもらい、自分は「話す」だけに集中する。編集前の作業がほぼない。

趣味のポッドキャストで、話したいテーマの構成と質問リストをAIに組んでもらう。対話の中身に集中できる。

勉強会の振り返りコメントを録音して、AIに文字起こしと要点整理を頼む。音声が資料になる。

(医療者向け・ダミーデータ前提)学会発表の練習を録音して、AIに「言いよどんだ箇所」と「言葉が重なった箇所」を抽出してもらう。自分では気づきにくい癖が見える。

ごろつまずき集

症状: マイクを買ったのに、録音した声が変に響く。原因: 部屋の反響が音に乗っている。一手: 壁から少し離れた場所で、布団や毛布を背後に置くだけで響きが減ります。防音グッズがなくても、布があれば代用できます。

症状: AIに台本を出してもらったが、読むと不自然だった。原因: 書き言葉の台本をそのまま読んでいる。一手: AIに「声に出して読む前提で、短い文で書いて」と頼むと、読みやすい口語に近い台本になります。

症状: 収録した動画の音量がばらばらで、聞きにくかった。原因: マイクとの距離が一定でなかった。一手: マイクから口まで握りこぶし一個分の距離を保つと、音量が安定しやすいです。アームで固定すると距離をキープしやすくなります。

あせらず、ゴロゴロ。
読んだ