第3部 ファイルとくらしを任せる
3-1

散らかった写真を整理させる

ごろが自分で分かることから頼む。

この節は、相棒(第2部で迎えたClaude Code)が要ります。まだ迎えていない人は、第2部から戻ってきてください。

この話を読むと

写真の山を、相棒に任せて片づけられるようになります。

さて、AだとどうしてダメなのかというとBはなんだか呪文みたいに長いですよね。長いほうが正解だなんて、拍子抜けするかもしれません。でも、種明かしをすると理由は単純です。

ごろは、写真を見ても「これが運動会だ」とは分かりません。当たり前ですが、相棒も同じです。ところが、写真には「撮った日」だけは、こっそり書き込まれています。カメラが撮った瞬間に、日付と時刻を写真の中にメモしてくれているのです。難しい名前がついていますが、名前は覚えなくていい。「撮った日で分けて」と言えば伝わる、それだけ知っておけば十分です。

だから、頼み方のコツは一つ。ごろが自分で分かることから頼む。 日付は写真に書いてある。運動会かどうかは書いていない。この差が、上手い下手の分かれ目です。まず日付で分けさせて、それから「10月のフォルダの中、運動会っぽいのだけ別に」と、二段で頼めばいい。一発で完璧を狙わないのが、めんどくさがりの正しい生き方です。

写真の山をごろが三つの月箱へ配り、一枚だけ迷って首をかしげる

ひとつ、正直に言っておきます。スマホの画面を保存した写真や、誰かから受け取った画像には、この「撮った日」が入っていないことがあります。そういう子は、日付では分けられません。でも心配いりません。相棒は分けられなかった写真を捨てたりせず、「日付不明」の箱にちゃんとよけておいてくれます。取りこぼしはあとから拾えばいい。

もうひとつ、この節からずっと出てくる合言葉があります。「コピーで」です。元の写真はそのままにして、整理したものは別の場所にコピーで作らせる。こうしておけば、失敗しても元は無傷です。なぜこれが効くのかは、この部の3-5でゆっくりお話しします。今は「コピーでと言っておくと安心らしい」とだけ、頭のすみに置いてください。

◆ 実演

ごろが実際に打ったのは、こんな一言でした。

「デスクトップの『写真バックアップ』フォルダを見て。中の写真を、撮影した年月ごとのフォルダに分けたコピーを『整理後』フォルダに作って。元は消さないで」

すると相棒は、いきなり動き出したりしません。まずフォルダの中を数えて、こう聞いてきました。「二千八百四十枚あります。二〇二四年五月から二〇二五年十一月まで。年月フォルダを作ってコピーします、進めていいですか」。ごろが「お願い」と返すと、しばらくして報告が来ます。「整理後フォルダに月別で入れました。日付が読めなかった写真は十二枚、『日付不明』にまとめてあります」。

ごろは箱を覗き込んで、目を丸くしました。一晩かかるはずだった山が、数十秒で片づいていたのです。

◆ はじめの一歩

>
  • どこで: 自分のパソコンの、写真が固まっている一つのフォルダで。
  • どうやって: そのフォルダを相棒に見せて「撮った月ごとに、コピーで分けて」と頼む。
  • きっかけ: この週末に撮った旅行の写真フォルダ一つだけ、試しに分けさせてみる。

一気に三千枚をやらなくていいのです。まず一フォルダ。あせらず、ゴロゴロ。

開きのクイズ

スマホから移した写真が、フォルダにぐちゃっと入っています。数えたら三千枚ありました。「去年の運動会の写真、まとめて」と、ごろは相棒に頼みました。さて、上手な頼み方はどっちでしょう。

  • A 「運動会の写真を集めて」
  • B 「このフォルダの写真を、撮った月ごとのフォルダに分けて。名前も『2025-10-運動会-01』みたいに、撮った日と内容で付け直して。元の写真は消さずにコピーで」
実録・やってみた

ある日、ごろの手元にあったのは「写真バックアップ」という名前の、ひとつのフォルダでした。中を開くと、こんな具合です。

写真バックアップ/
  IMG_3241.jpg
  IMG_3242.jpg
  IMG_3243.jpg
  IMG_3244.jpg
  IMG_3245.jpg
  IMG_3246.jpg
  IMG_3247.jpg
  IMG_3248.jpg
  スクリーンショット_2025.png
  LINE_image_01.jpg

名前は全部「IMG」と番号だけ。どれが何月のものか、見ただけでは分かりません。ごろは、まず欲ばって、こう打ちました。

ごろ
ごろが打った文「写真バックアップフォルダを、運動会の写真だけ別にまとめて」
相棒
相棒の返答「フォルダの中を見ました。ただ、どの写真が運動会なのかは、写真そのものからは判断できませんでした。人が写っているか、屋外かどうかまでは読み取れますが、行事の名前までは特定できません。まず撮影した月ごとに分けて、その中から運動会らしいものを一緒に探すのはどうでしょう」

画面で見えること写真は一枚も動かず、相棒の提案だけが返ってきている。

一回目は、少しズレました。でも相棒は勝手に動かず、代わりに「自分に分かることはこれ」と正直に線を引いてきました。ごろは、なるほどと思って、頼み直します。

ごろ
ごろが打った文「じゃあ先に、撮った月ごとのフォルダに分けたコピーを『整理後』に作って。元は消さないで。日付が読めないものは『日付不明』にまとめて」
相棒
相棒の返答「十枚ありました。撮影日が読めたのは八枚で、二〇二四年九月から二〇二五年六月まででした。残り二枚(スクリーンショットと受け取り画像)は撮影日が入っていなかったので『日付不明』にまとめます。元フォルダはそのまま残します。進めます」

画面で見えること「整理後」の中に、月の名前がついた小さなフォルダが並んでいく。

できあがりは、こうなりました。

整理後/
  2024-09/   (2枚)
  2024-10/   (3枚)
  2025-06/   (3枚)
  日付不明/   (スクリーンショット_2025.png, LINE_image_01.jpg)

元の「写真バックアップ」は、十枚まるごと無傷のまま残っていました。スクリーンショットと受け取り画像は、捨てられずに「日付不明」へよけてあります。取りこぼしではなく、よけてあるだけなのです。この日はこう返ってきました。頼むたびに、写真の枚数も、日付不明の中身も、少しずつ違います。

手順
  1. 散らかった写真フォルダを一つ選ぶ

    こうした方がいい

    三千枚ではなく、まず一フォルダに絞ると失敗しても被害が小さい

    ごろはこうしてみた

    「写真バックアップ」十枚だけで試した

  2. いきなり内容(運動会など)で頼まない

    こうした方がいい

    相棒に分かるのは撮った日で、行事名は分からないので先に日付で分ける

    ごろはこうしてみた

    一度「運動会だけ」で頼んで、やんわり断られてから頼み直した

  3. 「撮った月ごとに、コピーで、整理後フォルダに」と頼む

    こうした方がいい

    「コピーで」「元は消さないで」を必ず添えると元が守られる

    ごろはこうしてみた

    この二語を入れたら、元フォルダが十枚のまま残った

  4. 「日付が読めないものは日付不明に」と逃げ道を作る

    こうした方がいい

    スクショや受け取り画像には撮影日が無く、指定しないと迷子になる

    ごろはこうしてみた

    二枚が「日付不明」にきちんとよけられた

  5. できたら、月フォルダの中を運動会など内容で二段目に頼む

    こうした方がいい

    一段目で範囲が狭まっているので二段目が当たりやすい

    ごろはこうしてみた

    二〇二四年十月の中だけを内容で探させた

うまくいったかの確かめ方

二つです。整理後フォルダに月の名前がついた箱が並んでいること。そして、元フォルダの枚数が減っていないこと。この二つが見えていれば成功です。

答えタップして答え合わせ
ごろ

B

ごろあなたの番3分

そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。

このフォルダの写真を、撮った月ごとのフォルダに分けたコピーを作って。元は残して。日付が読めないものは「日付不明」にまとめて。

この「2025-10」フォルダの中を見て、運動会っぽい写真だけ「運動会」フォルダにコピーで分けて。迷ったものは動かさず、別に一覧にして。

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

なぜ「撮った日」だけは確実に読めるのでしょう。カメラやスマホは、シャッターを切った瞬間に、日付・時刻・機種名などのメモを、写真そのものの中にこっそり書き込みます。このメモには難しい名前がついていますが、覚える必要はありません。大事なのは、これが人の手を借りずに、機械が自動で書いているという点です。だから、後から書き換えられていない限り、たいてい正確に残っています。一方で「運動会かどうか」は、誰かが見て判断しないと分かりません。写真の中には書かれていないのです。この「機械が自動で書いたもの」と「人が見ないと分からないもの」の差が、頼み方の上手い下手を分けます。相棒に頼むときは、まず前者、つまり機械が確実に持っている情報から手をつける。それが、一発で失敗しないコツです。ちなみに、スクリーンショットや誰かから受け取った画像に日付が入っていないのは、それが「撮った」写真ではなく「画面を写し取った」ものだったり、送るときにメモの部分が削られたりするからです。日付が無い子は、無いなりに「日付不明」でよけておく、という発想が現実的です。

例をもっと

このフォルダの写真を、撮った月ごとのフォルダに分けたコピーを作って。元は残して。日付が読めないものは「日付不明」にまとめて。

スマホから移した写真が数千枚あります。まず、いちばん古い写真と新しい写真の日付だけ教えて。どのくらいの期間か知りたい。

この「2025-10」フォルダの中を見て、運動会っぽい写真だけ「運動会」フォルダにコピーで分けて。迷ったものは動かさず、別に一覧にして。

旅行の写真フォルダを、撮った日ごとに分けて。ファイル名を「日付-旅行地-番号」の形にそろえて。旅行地の部分は、私が後で入れるので空けておいて。

(医療者向け・ダミーデータ前提)勉強会用に集めた学会スライドの写真を、撮った日ごとに整理して。個人が写り込んだ写真があれば、動かさず別に印を付けて教えて。

ごろつまずき集
  • 症状: 「集めて」と頼んだのに、何も集まらなかった。原因: 相棒は「運動会がどれか」を知りません。一手: まず日付で分けて、その中から内容で二段階目を頼む。
  • 症状: 一部の写真だけ、整理後フォルダに入っていない。原因: 撮影日のメモが入っていない写真(スクショや受け取り画像)です。一手: 「日付不明」の箱を覗く。取りこぼしではなく、よけてあるだけのことが多いです。
  • 症状: 元のフォルダから写真が消えた気がして青ざめた。原因: 「コピーで」を付け忘れて移動になったか、勘違いか。一手: まず元フォルダを確認。次からは必ず「元は残して、コピーで」を添える。
  • 症状: 名前がバラバラに付いて、かえって探しにくい。原因: 型を渡さずに「いい感じに」と頼んだ。一手: 「日付-内容-番号」のように型を一つ決めて渡す(詳しくは3-7)。
あせらず、ゴロゴロ。
読んだ