21章 場をひらく編
21-1

小さな会を、ひらく

はじめての会は、小さいほど成功します。

はじめて勉強会をひらくとき、うまくいく会と、しぼんでしまう会。分かれ目は、どっちにあると思いますか。

  • A. 内容がすごいかどうか
  • B. 「今日は何をして帰るか」が、はじめに一行で言えているかどうか

答えは、この話のいちばん下にあります。

この話を読むと

はじめての小さな会を、目的・人数・場所・当日の流れまで、相棒と一緒に一枚に落とせるようになります。

会をひらくのは、大それたことに思えるかもしれません。でも、身がまえなくて大丈夫です。しぼむ会の多くは、内容が足りないからではありません。「今日ここに来ると、何ができて帰れるのか」が、主催した本人にもぼんやりしているからです。逆に、そこが一行で言えている会は、たとえ小さくても、来た人が満足して帰ります。ごろも、はじめは大きな会を思い描いて、勝手に重くなっていました。

ごろの混線した大きな模造紙から、相棒が『今日のゴール/人数/場所/流れ』だけの小カードへ写す

考え方は、はじめてのホームパーティと同じです。全員を満足させようと料理を十品も作ろうとすると、当日パンクします。「今日は、この一品を一緒に作って食べる会」と決めてしまえば、準備も当日も、ぐっと軽くなる。会も同じで、「今日はこれを一回できるようになる会」と、まず一つに絞ります。

決めることは、四つだけです。ひとつ、目的を一行で。「AIにはじめて話しかけてみる会」でいい。ふたつ、人数。はじめは、目が届く三人から五人。多いほど良いわけではありません。みっつ、場所。家でも、近くの空いた部屋でも、画面ごしでも。よっつ、当日の流れ。ここは相棒がいちばん助けてくれます。

そして、ここだけは太字にします。はじめての会は、小さいほど成功します。 人数も、内容も、時間も、思っているより一段減らす。減らして余った力は、来た人一人ひとりを見るのに使います。

実演

ごろは、相棒にこう頼みました。

「AIをまだ触ったことのない友だち向けに、小さな勉強会をひらきたいです。目的を一行、人数、場所、当日の流れ(90分)を、一枚のかんたんな計画にしてください。はじめてなので、欲張らない内容で。」

計画が、すっと一枚にまとまりました。ごろは満足して、さっそく友だちを十人ぶん呼ぼうとします。ところが、流れの欄を見て手が止まります。90分で、内容が四つも並んでいる。これでは、一人ずつ見て回れない。ごろは気づきました。「多すぎる」。内容を一つに絞って、人数も五人までに減らしました。

小さくすると、一人ひとりの顔が見える。ずっと眺める側だったごろが、はじめて人を招く側の、いちばん大事なコツをつかみました。

ごろはじめの一歩
  • どこで: いつものチャット画面で。会場の予約より先に、まず計画を一枚。
  • どうやって: 「誰向けに」「何ができるようになる会か」を伝えて、「目的一行・人数・場所・流れ」の一枚計画を頼む。
  • きっかけ: 「そういえば、あの人もAI気になってたな」と思い浮かんだ、その顔を一人思い出せたら、もう会はひらけます。
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ごろはじめの一歩

あせらず、ゴロゴロ。

実録・やってみた

ある晩、ごろは思い立ちました。となりのタマも、その向かいのご近所も、「AI気になってるんだけど、こわくて」と言っていた。だったら、うちの座布団を並べて、一回みんなで触ってみる会をやればいいのではないか。手元にあるのは、その思いつきだけです。

思いついたこと
・AI気になってる友だちが、何人かいる
・でも、みんな最初の一回がこわいらしい
・うちで、一回みんなで触る会をやってみたい
決まっていないこと
・何をして帰る会にするか
・何人呼ぶか、どのくらいの時間か
ごろ
ごろが打った文「AIをまだ触ったことのない友だち向けに、小さな勉強会をひらきたいです。目的を一行、人数、場所、当日の流れ(90分)を、一枚のかんたんな計画にしてください。はじめてなので、欲張らない内容で。」
相棒
相棒の返答「一枚の計画にしました。
今日のゴール(一行): AIに、自分の言葉で一回話しかけて、返事をもらう
人数: 3〜5人(はじめてなので少なめ)
場所: ごろの部屋(座布団を輪に)
当日の流れ(90分):
 1. あいさつと、こわくない話(10分)
 2. みんなで一回、話しかけてみる(20分)
 3. くらしの相談を頼んでみる(20分)
 4. 写真を見せて聞いてみる(20分)
 5. 感想と、おうちでやる一歩(20分)

画面で見えることきれいに一枚にまとまった計画が出ました。ただ、流れの欄に、中身のある実演が三つ(2・3・4)も並んでいます。

ごろは満足して、さっそく友だちを呼ぶリストを作りにいこうとします。でも、流れを声に出して読んでみて、手が止まりました。一回の会で三つも実演したら、詰まった人を一人ずつ見て回るひまがない。

ごろ
ごろが打った文「90分に実演が三つは多い気がします。はじめての会なので、実演は『話しかけてみる』の一つに絞って、そのぶん一人ひとり見て回る時間を増やしてください。人数も5人までに。」
相棒
相棒の返答「絞りました。実演を一つにして、そのぶん『詰まった人を見て回る』時間を厚くしています。
今日のゴール(一行): AIに、自分の言葉で一回話しかけて、返事をもらう
人数: 3〜5人
当日の流れ(90分):
 1. あいさつと、こわくない話(15分)
 2. みんなで一回、話しかけてみる(25分)
 3. 詰まった人を、一緒に見て回る(25分)
 4. くらしの相談を、各自ひとつ試す(15分)
 5. 感想と、おうちでやる一歩(10分)

画面で見えること実演が一つに減り、「一緒に見て回る」時間が、まるまる一コマ立ちました。

仕上がった計画は、こうです。

会の名前: はじめてのAI、さわってみる会
今日のゴール: 一回、自分の言葉で話しかけて、返事をもらう
人数: 3〜5人  場所: ごろの部屋  時間: 90分
持ち物: スマホかノートPC(なければ貸す)

はじめての会は、小さいほど成功します。 ごろは、欲張った流れを一つに絞ったことで、はじめて「一人ひとりを見る会」の形にたどり着きました。

この日はこう返ってきました。同じ頼み方でも、流れの刻み方や時間の配り方は、頼むたびにすこし変わります。

手順
  1. 「今日のゴール」を一行だけ、先に決める

    こうした方がいい

    内容より先に「何をして帰るか」を一つに絞る

    ごろはこうしてみた

    「一回、話しかけて返事をもらう」に決めた。

  2. 誰向けの会かを、相棒に伝える

    こうした方がいい

    「未経験の友だち」と相手を言うと、中身のこわさが自然に抜ける

    ごろはこうしてみた

    「まだ触ったことのない友だち向け」と伝えた。

  3. 人数・場所・時間の枠を先に置く

    こうした方がいい

    はじめは目が届く3〜5人。多いほど良いわけではない

    ごろはこうしてみた

    五人までに減らした。

  4. 当日の流れを、相棒に組んでもらう

    こうした方がいい

    時間の配分まで含めて一枚に落とす

    ごろはこうしてみた

    90分の割りふりを出してもらった。

  5. 流れを声に出して読み、欲張りを一つ削る

    こうした方がいい

    実演が二つ以上並んでいたら、一つに絞る

    ごろはこうしてみた

    実演を三つから一つにした。

  6. 削って余った時間を「見て回る」に足す

    こうした方がいい

    はじめての会の主役は、詰まった人を見る時間

    ごろはこうしてみた

    まるまる一コマ、見て回る時間にした。

うまくいったかの確かめ方

計画の一番上に「今日のゴール」が一行で書けていて、当日の流れに「詰まった人を見る」ための時間がちゃんと一コマあれば成功です。実演が一つに絞れていれば、はじめての会としては十分です。

答えタップして答え合わせ
ごろ

B。 内容のすごさではなく、「今日は何をして帰るか」が一行で言えているかどうかです。

それが決まっていれば、内容が素朴でも、来た人は「できた」を持って帰れます。決まっていないと、豪華でも、来た人は「で、結局なんだったの」で帰ります。一行を、先に決めます。

ごろあなたの番3分

そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。

読書会をひらきたいです。課題本は決まっています。目的一行・人数・場所・90分の流れを一枚に。全員がしゃべれるように、進行に「一人ずつ一言」の時間を入れてください。

子育て中の友だち向けに、オンラインで、AIを暮らしに使う会をひらきたいです。画面ごしでもできる流れにしてください。途中で抜けても戻れるように、区切りをはっきりつけて。

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

なぜ、はじめての会は小さいほど成功するのでしょうか。ひとつは、目の数の問題です。人が一人ふえるごとに、詰まる場所も、こわがるタイミングも、ばらけて増えます。三人なら全員の画面を横目で見られますが、十人になると、誰かが止まっているのに気づけません。気づけない詰まりは、その人にとって「やっぱり自分には無理だった」という記憶になって残ります。小さくするのは、内容をケチることではなく、一人も取り残さないための設計です。

もうひとつは、主催した自分の余裕です。はじめての会は、あなた自身も緊張しています。そこに内容を詰め込むと、進行に追われて、来た人の顔を見るゆとりがなくなります。ここで相棒がうまくかみ合います。会の芯(誰を呼ぶか、何を教えるか)はあなたが決め、時間の割りふりや流れの下書きは相棒が出す。この分け方だと、あなたは「決める」ことに集中でき、こまかい段取りは相棒が受け持ってくれます。そして、その流れはあくまで下書きです。当日「ここは飛ばそう」「この話を足そう」と動かす最終判断は、いつもあなたの側にあります。組むのは相棒、動かすのは自分。この章のあいだ、ずっと変わりません。

例をもっと

職場の同僚向けに、昼休みの30分だけでできる小さなAI体験会をひらきたいです。目的一行・人数・当日の流れを、一枚にしてください。短いので、実演は一つだけに。

読書会をひらきたいです。課題本は決まっています。目的一行・人数・場所・90分の流れを一枚に。全員がしゃべれるように、進行に「一人ずつ一言」の時間を入れてください。

子育て中の友だち向けに、オンラインで、AIを暮らしに使う会をひらきたいです。画面ごしでもできる流れにしてください。途中で抜けても戻れるように、区切りをはっきりつけて。

趣味のサークルで、作品づくりにAIを使ってみる会をひらきます。初心者と経験者がまざっています。両方が退屈しない流れを一枚に。経験者には「教える側」の役をひとつ振ってください。

(医療者向け・ダミーデータ前提)院内スタッフ向けに、AIの使い方の勉強会をひらきます。扱う題材はすべて仮のダミーです。目的一行・人数・60分の流れを一枚に。患者情報は一切使わない前提を、はじめに全員へ伝える一言も入れてください。

ごろつまずき集
  • 症状: 準備の段階で、もう息切れしている。原因: 会が大きすぎる。一手: 人数・内容・時間を、思っているより一段ずつ減らします。ごろが実演を三つから一つに絞ったのが、これです。
  • 症状: 「何を教える会なのか」が自分でも言えない。原因: ゴールを一行にしていない。一手: 「今日ここに来ると、何が一回できて帰れるか」を一行で先に書きます。
  • 症状: いい人数が読めない。原因: 多いほど良いと思っている。一手: はじめは目が届く3〜5人。慣れてから増やせば十分です。
  • 症状: 場所選びで止まってしまう。原因: 立派な会場を探している。一手: 家でも、画面ごしでも会はひらけます。場所より、ゴールの一行が先です。
あせらず、ゴロゴロ。
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