コラムD ごろのデスク日記
D-7

机は、これでおしまいにします

この日はこう返ってきました。「減らして」だけだと機械的に重複を消されますが、「2週間で使ったかで見て」と基準を渡すと、自分の生活に合った線が引けます。棚卸しの結論は、ほとんど消すものが無かったことでした。増やしすぎたつもりが、実は要るものだけが残っていた。「もう足さない」と言い切れたのは、この確認をしたあとです。

ここまで、買い物の話ばかりしてきました。外部モニター、四角い箱、ライト、マイク、しゃべる道具。並べてみると、りっぱな上り坂です。

正直に言うと、このコラムを書きながら、ちょっとこわくなりました。このまま行くと、「ゴロゴロAIとは、机に物を増やし続ける趣味のことです」と誤解されかねない。実際、物は増えました。半歩のつもりが、気づいたら机が一杯です。だから、ここで一本、線を引くことにします。

もう、何も足しません。

言い訳ではなく、これはひとつの発見でした。物をひととおり揃えてみてわかったのは、いちばんゴロゴロできるのは、物がいちばん多い日ではなかった、ということです。増やすほど、管理する物が増える。ケーブルが増える。迷いが増える。ある日、今ある物だけで、いちばん静かに回っている自分に気づいて、そこで手が止まりました。ここでいい。ここが、ちょうどいい。

実益はひとつ。もう何も足さないと決めたら、机の前で「次は何を買おう」と考える時間が、まるごと消えました。その分、ただゴロゴロできます。足すことより、これでいいと決めることのほうが、たぶん、ずっとゴロゴロに効きます。

……そして今日も、すっかり育った机の前で、何も操作せず、お茶を持って座っています。モニターの中では、今朝の仕事が、もう終わっています。いちばん高かったのは道具ではなくて、「もう足さない」と自分に言うひとことだったのかもしれません。

完成した机の前で操作せずお茶を飲むごろ。モニターには完了印、端には通販を伏せたスマホがある
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あせらず、ゴロゴロ。

実録・やってみた

「もう足さない」と決める前に、いちど棚卸しをしました。自分の机とアプリに、何がどれだけ増えたのか、自分では把握しきれていなかったからです。まず、手元の状態をそのまま書き出します。

今ある道具(ざっと):
- 外部モニター、据え置きの箱、ディスプレイライト、マイク
- 声入力アプリ、ウィンドウ整列アプリ、スリープ防止アプリ
- あと、名前も思い出せない試しに入れたアプリが数個

この一覧をそのままごろに渡して、外からの目で仕分けてもらうことにしました。

ごろ
ごろが打った文この道具とアプリの一覧を見て。増やしすぎた気がする。減らせそうなものを教えて。
相棒
相棒の返答まず、役割が重なっているものを探します。「据え置きの箱」を買った目的が夜通しの作業なら、スリープ防止アプリはもう要らないかもしれません。役割がかぶっています。あと、名前を思い出せないアプリは、思い出せない時点で使っていない証拠なので……(以下、統合できる組み合わせの提案が続く)

画面で見えること一回目は、正論ではあるのですが、機械的に「重複を消せ」という話でした。でも据え置きの箱を毎晩使うわけではないので、スリープ防止アプリも残したい日があります。ここで、判断の基準のほうを相談し直します。

ごろ
ごろが打った文重複で消すんじゃなくて、「この2週間で実際に使ったか」で仕分けたい。使ってないものだけ候補にして。
相棒
相棒の返答その基準のほうが安全ですね。では「直近2週間で一度も触っていないもの」だけ候補にします。名前を思い出せないアプリ数個は、ほぼ確実にこの候補です。逆に、据え置きとスリープ防止アプリは、頻度は低くても使った日があるなら残す判断でよいと思います。

画面で見えること「重複」でなく「使用頻度」で切る、と基準を変えたら、迷いが消えました。消す候補が、はっきり絞れました。

仕分けの結果:
- 残す = モニター、箱、ライト、マイク、声入力(全部この2週間で使った)
- 消す候補 = 名前も思い出せない試しアプリ数個(2週間ノータッチ)
- 保留 = ウィンドウ整列アプリ(月に数回。もう少し様子見)

この日はこう返ってきました。「減らして」だけだと機械的に重複を消されますが、「2週間で使ったかで見て」と基準を渡すと、自分の生活に合った線が引けます。棚卸しの結論は、ほとんど消すものが無かったことでした。増やしすぎたつもりが、実は要るものだけが残っていた。「もう足さない」と言い切れたのは、この確認をしたあとです。

手順
  1. 今ある道具とアプリを、思い出せる範囲で全部書き出す

    こうした方がいい

    きれいにまとめず、思い出せない物は「思い出せない」と書く

    ごろはこうしてみた

    名前を思い出せないアプリが数個あると分かった時点で、もう答えは半分出ていた。

  2. その一覧を、そのままごろに渡す

    こうした方がいい

    自分で判断する前に、外からの目で一度仕分けさせる

    ごろはこうしてみた

    自分だと情が湧いて消せないので、他人の目で見てもらった。

  3. 仕分けの基準を「使用頻度」に決める

    こうした方がいい

    「重複」でなく「直近2週間で使ったか」で切ると、生活に合った線になる

    ごろはこうしてみた

    重複で切ると必要な物まで消えかけたので、頻度に変えたら迷いが消えた。

  4. 「消す」「残す」「保留」の3つに分ける

    こうした方がいい

    白黒つけず、迷うものは保留に置いて時間に判断させる

    ごろはこうしてみた

    月数回のアプリは保留にして、次の棚卸しまで持ち越した。

  5. 「もう足さない」を、声か文字で一度きちんと宣言する

    こうした方がいい

    頭で思うだけでなく、言葉にして区切りをつける

    ごろはこうしてみた

    宣言したら、次に何を買うか考える時間がまるごと消えた。

うまくいったかの確かめ方

仕分けのあと、「消す候補」がちゃんと出ているか。そして机の前で「次は何を買おう」と考える時間が減っていれば、足す側から降りられた合図です。

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

「足すのをやめる」という決断は、引き算ではありません。これは「今あるもので最大限にうまくやる」という、ひとつの完成宣言です。道具を増やすたびに、管理するものが増えます。充電するものが増え、置き場所に悩むものが増え、使い方を覚えるものが増える。その積み重ねは、じわじわとゴロゴロの純度を削ります。物が少ないほど、操作は単純になり、頭の空きが増えます。頭の空きが増えると、AIへの指示が整理されて、任せた仕事の質が上がります。逆説的ですが、道具を足すより道具を減らすほうが、AIをうまく使えるようになることがあるのです。このコラムで紹介した道具は、著者が実際に使ったものです。でも全部が全員に必要かというと、そうではありません。ゴロゴロのための環境は、自分の生活の形に合ったものでいい。必要なものだけ、一つずつ、試しながら選んでください。

例をもっと

「今の自分の作業環境を書き出して、どれが本当に使っているか確認して」とAIに頼む。使っていない道具が可視化できる。

「今週使ったアプリとツールを振り返って、次の一週間も必要かどうか整理して」と声で頼む。デジタルの荷物も棚卸しできる。

「この机の写真を見て、減らせそうなものを教えて」と画像ごとAIに渡す。外から見た視点が意外な提案をくれる。

趣味の手芸道具が増えすぎて悩んでいるなら、「持っている材料の一覧を整理して、次に使いそうなものだけ残す基準を提案して」と頼む。

(医療者向け・ダミーデータ前提)「自分が今使っているAIツールを列挙して、臨床業務に効いているものとそうでないものを仕分けして」と頼む。使い続けるものの選択に使える。

ごろつまずき集

症状: 「もう足さない」と決めたのに、新しいツールが気になって結局また増えた。原因: 「気になる」と「必要」を区別できていない。一手: 気になったものはメモだけして、2週間後にまだ気になっていたら試す、というルールを作ると衝動が整理されます。

症状: 今持っている道具がうまく使えていなくて、もっといい物があるのではと思い続けている。原因: 道具より使い方の問題かもしれない。一手: 新しいものを足す前に、今あるものをAIに「どう使えばいいか」と聞いてみると、まだ引き出していない使い方が出てくることが多いです。

症状: 環境を整えることに時間を取られすぎて、本来やりたかったことが後回しになっている。原因: 準備が目的になっている。一手: 「環境整備の時間は週に30分まで」と決めると、準備の沼から抜けやすくなります。整え続けることより、今あるもので動き始めることのほうが先です。

あせらず、ゴロゴロ。
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