15章 Claudeファミリー図鑑
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15章 Claudeファミリー図鑑

14章の最後、ごろは一週間ぶんの仕事を棚に載せて、布団に戻りました。その布団の中でふと思ったのです。「そもそも、Claudeって何種類あるんだっけ。」勉強会やニュースで名前だけ聞いて、「あれって、何?」と気になったまま、ずっと置いてきた。

この章は、その名前たちを一枚の家系図にして、どれが何のためにあるのかを上から眺められるようにする、資料編です。覚えなくて大丈夫です。困ったときに開いて、「ああ、これはこういう子だったな」と確かめる。そういう使い方でいきましょう。読む章ではなく、引く章です。

あせらず、ゴロゴロ。 地図は、いつでもここにあります。


冒頭の1枚: Claude家の家系図(章トビラの見開き・ごろ図)

真ん中に、大きな一本の木。根元に「Claude」という一匹の親がすわっています。この親が、考える力そのものです。その親から、いくつもの枝が伸びていて、それぞれの枝の先に、役どころのちがう子がいます。

  • 玄関に立って、いちばん最初に会う子(通常のClaude)
  • 作業机の横にすわり、ファイルを触れる手を持った子(Claude Code。本書の主役)
  • 頼まれた用事を最後まで走って片づけてくる子(Claude Cowork)
  • 絵筆とものさしを持った、見た目づくりが得意な子(Claude Design)
  • ポケットの中にちょこんと入っている、外でも呼べる子(スマホアプリ)
  • 木の裏側にある、つくる人だけが通る細い通用口(API)

みんな、根元の同じ親から生まれた兄弟です。頭のよさは共通の血で、ちがうのは「どこで会うか」「何を手伝えるか」という役どころだけ。木の根元では、ごろがひっくり返ってお腹を見せ、兄弟たちを下から見上げています。全員おぼえなくていいよ、気になった子から挨拶すればいい、という顔で。

絵がなくても大丈夫です。すぐ上の六つの箇条書きが、そのまま家系図の中身です。ここだけ眺めておけば、この先を読むのに困りません。

一本の木の四本の枝に四匹の兄弟が座り、根元のごろは仰向けに転がって下から見上げる

15-0 これは、なに?

家系図の前に、一枚だけ。「入り口の名前」と「頭のよさ」は、別の話です、というお知らせです。ここを混ぜると、この先ずっと迷子になります。

勉強会では、入り口の名前と頭のよさの名前が、同じ調子で飛び交います。「あれって、どっちがどっち?」となりがちです。でも、落ち着いて見ると、話は二階建てです。一階が「どの入り口で会うか」、二階が「どのくらい頭のいい相手を呼ぶか」。この二つは別々に選べます。

頭のよさには段階があります。速くて身軽な子から、じっくり考える賢い子まで。その名前はときどき変わっていきます。だから本書では、頭のよさの世代名は追いかけません。大事なのは一点だけ。頭のよさはどの入り口でも共通の血で、場面に応じて使い分けるだけ。 軽い用事なら身軽な子、こみ入った相談なら賢い子。それだけ分かっていれば、名前が変わっても迷いません。

15-0 だれのための道具?

これは道具ではなく、心構えです。全員が、はじめに一度だけ読んでおくと、このあとの六匹が取り違えずに済みます。

15-0 ごろはこう使う

ごろは名前を全部おぼえようとして、頭がゴロゴロしてきました。そこで、おぼえるのをやめました。「軽いか、賢いか」の二択だけ持って、あとは布団に置いてきた。それで、じゅうぶん回っています。

15-0 はじめの一歩3点

入り口の名前と頭のよさの名前を、心の中で二階建てに分ける/軽い用事は身軽な子、こみ入った相談は賢い子、とだけ覚える/世代名は追わない。変わったら追補で確かめれば間に合う。

3分でできる確かめ: claude.ai を開き、入力欄のすぐ上か下にあるモデル名の表示(たとえば「Claude Sonnet」のような名前)を探してみてください。名前をクリックすると、今どの子を呼んでいるか、他にどの子を選べるかが一覧で出ます。名前そのものは覚えなくていいです。確かめられたのは「今の相手を確認して、切り替える場所がある」と分かったこと。それだけで、この先ずっと迷子になりません。

二階建ての家で、一階の会う場所と二階の賢さを示す二つの札を、縁側で寝転ぶごろが指し分ける

15-1 これは、なに?

はじめまして、の玄関です。話しかけると返してくれる、いちばん素直な入り口。ごろが冷蔵庫の危機の夜にはじめて会ったのも、この子でした。

15-1 だれのための道具?

全員のための道具です。まだ何も分からない段階ほど、ここから入るのが近い。玄関で用が足りるなら、それがいちばんです。無理にこの先へ進まなくてかまいません。

15-1 ごろはこう使う

布団の中でスマホを開き、友だちに話すみたいに一言。「今日の献立、冷蔵庫にある卵と豆腐で考えて」。写真やPDFを見せて「これ、何て書いてある?」と聞くこともできます。ごろが押す最小の一手は、話しかける一行だけ。あとは布団でゴロゴロしながら、返事を待ちます。

15-1 はじめの一歩3点

どこで=ブラウザで claude.ai を開く(スマホでもパソコンでも同じ)/どうやって=入力欄に聞きたいことを日本語でそのまま書いて送る/きっかけ=「これ、誰かに聞きたいな」と思った瞬間。

開いた玄関で穏やかな兄弟へ一行だけのメモを渡し、そのまま框で腹を見せて寝転ぶごろ。奥の三扉は閉じたまま

15-2 これは、なに?

手を持ったClaudeです。チャットが「話を聞いて答える」までなら、この子は「パソコンの中のファイルを、実際に触って片づける」ところまでやります。本書がずっと相棒と呼んできたのは、この子です。

15-2 だれのための道具?

「話すだけじゃなく、実際にやっておいてほしい」場面のための道具です。頼みごとが「聞く」から「やっておいて」に変わったら、出番です。まだそこまで要らない段階なら、15-1のチャットで十分。急いで会いに行かなくても、困りません。

15-2 ごろはこう使う

散らかった写真フォルダを前に、「この写真、撮った月ごとにフォルダを分けて」。相棒は黙って手を動かし、仕分けていきます。黒い画面は要りません。ごろが押す最小の一手は、頼みを書いて渡すこと。渡したら、あとはとなりでお茶をすすってゴロゴロ。

15-2 はじめの一歩3点

どこで=入り口はいくつかあり、まずデスクトップアプリでいい(Web版はローカルのファイルを直接触れないので、手元のフォルダを任せたいならデスクトップアプリ一択です)/どうやって=作業フォルダを一つ決めて相棒に見せ、日本語で頼む/きっかけ=「自分で全部やると面倒だな」と感じたファイル仕事。

3分でできる最初のフォルダ渡し(1-2-3): (1)claude.com からデスクトップアプリを入れて開く。(2)デスクトップに「おためし」という空フォルダを一つ作り、その中に整理したい写真を数枚だけ入れておく。(3)相棒に「おためしフォルダの写真を、撮った月ごとにフォルダを分けて」と日本語で頼む。確かめ方は、フォルダを開いて月ごとの小箱ができているか見るだけ。できていれば、相棒が本当に手を動かしたという証拠です。まず数枚の小さな範囲で、が安心の作法です。

写真の束を月ごとに分ける四季のメモを相棒へ渡し、ごろはすぐ机下のクッションで丸く眠る

15-3 これは、なに?

ひとことで言うと、Claude Codeの、コードを書かない人向けの顔です。相棒(Claude Code)と血のつながった近い兄弟で、ファイルを触って用事を片づける力はそのまま。ただし、コードの気配を見せずに、頼まれた用事を最後まで自分で走って片づけてくる。行ってきます、と出かけ、済ませて帰ってくる働き方です。

15-3 だれのための道具?

一つずつ指示して見守るのが面倒になってきた段階のための道具です。しかも、全部の有料プランで使えます。「自分のプランでも使えるかな」と身構えなくて大丈夫。逆に、まだ一往復ずつ確かめたい段階には早いかもしれません。要らない場面には要らない、でかまいません。

15-3 ごろはこう使う

「今週ぶんの資料を集めて、要点だけ一枚にまとめておいて」と頼んで、そのまま昼寝。その間にあちこち動いて、机の上に一枚を置いてくれます。ごろが押す最小の一手は、まとまった用事を一つ任せること。ただし最初は範囲を小さく、が安心です。

15-3 はじめの一歩3点

どこで=Claude のサイドバー(左の一覧)にある「Cowork」の入り口から。押すと、用事を書いて送り出す画面が開きます(呼び名や場所は変わりやすいので、最新は追補〈QR〉で)/どうやって=一往復で終わる頼みでなく「調べて→まとめて→置いておく」のように手順がつながった用事を渡す/きっかけ=「毎回こまかく指示するのが面倒だな」と感じたとき。

3分でできる最初の一件: Cowork の画面を開き、「この三つの短いメモ(下に貼ります)から、決まったことと次にやることだけ拾って、一枚にまとめて」と、手順のつながった用事を一つだけ渡してみます。あとは画面を閉じて別のことをしていて大丈夫。しばらくして戻り、一枚のまとめが置かれていれば成功です。確かめ方は、元のメモと見比べて拾い漏れがないか眺めるだけ。最初は範囲を小さく、が安心です。

共同作業の扉から鞄を持つ相棒を送り出し、ごろはソファで眠る。戻った相棒は机へ一枚の要約を置く

15-4 これは、なに?

見た目づくりが得意なClaudeです。絵筆とものさしを持っていて、「こういう雰囲気のものが欲しい」と話すと、形にしてくれる。文章より、色や配置や見栄えを手伝う子です。

15-4 だれのための道具?

チラシ・資料・ちょっとした画面など、見た目を整えたい場面のための道具です。見た目にこだわる場面がなければ、要りません。それで、まったく困りません。

15-4 ごろはこう使う

「お知らせを一枚、やさしい雰囲気で作りたい」と話しかけ、色みや並べ方を決めていきます。気に入らなければ「もう少し落ち着いた感じ」と言い直すだけ。ごろが押す最小の一手は、欲しい雰囲気を言葉で伝えること。絵心は要りません。仕上がりを待つあいだも、もちろんゴロゴロしています。

15-4 はじめの一歩3点

どこで=claude.ai/design を開く/どうやって=作りたいものと欲しい雰囲気を言葉で伝え、出てきたものを見て、直したいところをまた言葉で伝える/きっかけ=「見た目まで自分でやるのは荷が重い」と感じたとき。

画板の相棒が絵筆とものさしを持ち、床のごろが羽根と曲線でやさしさを伝え、一枚の柔らかな絵を仕上げる

15-5 これは、なに?

ポケットの中のClaudeです。パソコンの前にいなくても、スマホから同じClaudeに話しかけられる。歩いているとき、待っているとき、布団の中。思いついた場所で呼べるのが、いいところです。

15-5 だれのための道具?

「机の前でだけ使う」では取りこぼす場面のための道具です。ひらめきは、机の外でやってきます。パソコンしか使わないなら、無理に入れなくてかまいません。

15-5 ごろはこう使う

信号待ちにスマホを開いて、「さっき思いついたこれ、忘れないうちにメモして整理して」。家に帰る頃には、走り書きが読める形になっています。ごろが押す最小の一手は、アプリを開いて話しかけること。声でも、文字でも。布団に寝転んだまま口で言うのが、ごろのいちばん好きな使い方です。

15-5 はじめの一歩3点

どこで=アプリストアで Claude のアプリを入れる/どうやって=いつものチャットと同じ。開いて話しかけるだけ。パソコンで話していた続きも持ち歩ける/きっかけ=「机に戻る前に忘れそう」と思った瞬間。

ふとんで仰向けのごろが顔の上のスマホへ話しかけ、画面内の小さな相棒がうなずき、しっぽが軽く上を向く

15-6 これは、なに?

Claudeの力を、別の道具の中に取り込むための差し込み口です。人が画面で話しかけるのではなく、ソフトやサービスの側が、裏でClaudeに頼みごとを送る。木の裏側の、つくる人だけが通る通用口です。使う日が来ないかもしれません。それでいいんです。

15-6 だれのための道具?

自分でアプリやサービスを作る人のための入り口です。ゴロゴロしながらAIを使えるように、とこの本を読んでいる段階では、たぶん使いません。名前を知っておけば、勉強会で「APIが」と誰かが言ったとき、身構えずにすみます。

15-6 ごろはこう使う

ここだけは、ごろは実演しません。ごろも布団の住人なので、通用口の奥までは入りません。やるのは、扉の札を読んで「ここは作る人が通る口なんだな」と確かめて、また玄関に戻ることだけ。それで十分です。あせりは、一つもありません。

15-6 はじめの一歩3点

どこで=ここには置きません。踏み込まなくていい入り口だからです/どうやって=もし将来「作る側」に回ったら、そのとき初めて調べれば間に合います/きっかけ=「自分のサービスにClaudeの力を組み込みたい」と本気で思う日が来たら。来なければ、来なくていい。

木の裏側の小さな制限付きサービス入口で、ごろが表示を読み、うなずいて明るい正面入口へ戻る

この章のおわりに

兄弟たちを、ぐるっと見てきました。玄関で迎えるチャット、手を持った相棒、用事を走って片づけるCowork、見た目づくりのDesign、ポケットのスマホアプリ、そして作る人だけが通る通用口のAPI。頭のよさは全員おそろい、ちがうのは会う場所と役どころだけ、という一点も、はじめに握りました。

全員をおぼえる必要はありません。一匹か二匹と仲良くなれれば十分です。名前を聞いて「あれって何だっけ」と思ったら、この地図に戻ってくればいい。それだけで、勉強会の「あれって何?」に、あわてずに済みます。

家系図のような木の前で、ごろが一本の枝だけを指し、ほかは変えずにその一本だけ覚えてほしい顔で転がり始める

あせらず、ゴロゴロ。地図は、いつでもここにあります。

増補もっと知りたい人へ (22)
深掘り

「入り口」と「頭のよさ」が別の話、というのはなぜでしょう。たとえば、同じコンビニに行っても、レジに立っているスタッフが新人か、ベテランかで接客の仕上がりが変わりますね。でも「コンビニに行く」という行動と「誰が担当するか」は、別々に決まります。Claudeも構造は同じです。どの入り口で入るかは「場所の選択」で、どの頭のよさを呼ぶかは「担当の選択」です。

頭のよさには段階があり、速くて身軽な子から、時間をかけてじっくり考える賢い子まで、用途によって使い分けます。ひとつの入り口の中で、今日は軽い用事だから身軽な子、今日は難しい相談だから賢い子、と切り替えることもできます。この仕組みが分かると、「最強を全部の用事に使って費用が大変なことになった」「遅いと思ったら設定が変わっていた」などの混乱が減ります。なお、この担当名は数年単位で変わっていきます。本書では名前は追いかけず、「軽い用事は速い子・こみ入った相談は賢い子」という使い分けの型だけ握っておきます。型が変わらなければ、名前が変わっても困りません。

例をもっと

「冷蔵庫の残りで三日分の夕食を考えて。献立と買い足すものを箇条書きで」

「この会議の議事メモから、次のアクションだけ拾って、担当者名つきでまとめて」(仕事・テキスト添付で)

「この医学論文の要旨を日本語で100字にまとめて。専門用語は残していい」(医療者向け・ダミーPDFで練習可)

「来週の子どもの夏休みの工作、100円ショップで買えそうな素材案を三つ」(くらし)

「囲碁の初心者が最初の一手で押さえるべきことを三点、やさしく」(趣味・学び)

ごろつまずき集

「身軽な子」と「賢い子」の切り替え方が分からない: claude.ai なら、入力欄のそばに出ているモデル名(「Claude Sonnet」などの表示)をクリックすると選択欄が開きます。場所は入り口ごとに違うので、細部は追補(QR)へ。

「なぜか急に遅くなった」: 使う頭のよさが変わっていることがあります。賢い子は丁寧に考えるぶん時間がかかります。急ぎの簡単な用事なら、速い子に切り替えると解決することが多いです。

「設定を変えたら反応が雑になった気がする」: たいてい、頭のよさを軽い方に切り替えたままになっています。込み入った相談に戻るときは、設定を戻す一手を忘れずに。

深掘り

通常のチャットが「すごく賢い話し相手」だとしたら、その相手に加えて「Artifacts」という機能が付いていて、会話の中でそのまま動くものを出してくれることがあります。たとえば「簡単な計算機のページを作って」と頼むと、画面の右半分にすぐ動くHTMLページが現れます。コードは見えなくても大丈夫、右側に出てきたものを触って試せます。

また、「Projects」という仕組みを使うと、よく使う前提や背景を一度セットしておいて、毎回説明しなくても引き継いでもらえます。「私は小学校の先生で、毎週学級通信を書いている」という前提を入れておくと、次の会話でも引き継いでくれます。さらに「Instructions for Claude(Claudeへの指示)」という設定で、口調や答え方の好みをアカウント全体に適用することもできます。設定の場所は、画面左下のアバターアイコンから「Settings」へ。ここに書いた内容はすべての会話に自動で効きます。毎回「短くまとめて」と頼まなくて済むようになります。

例をもっと

「今日あった出来事を三行で話す。それを友人に送れるLINEのメッセージに直して」(くらし)

「この採用面接のフィードバックをもとに、候補者へのお断りメールを書いて。丁寧だけど明確に」(仕事)

「子どもが熱を出した。かかりつけに行く前に確認すべき症状のチェックリストを作って」(医療者向けでなく一般向け。ダミー状況での練習として)

「Pythonを学び始めたい。最初の三週間でやることを週ごとに教えて」(学び)

「来月の旅行の行き先候補を三つ挙げて。条件: 子連れ、国内、温泉あり」(趣味)

ごろつまずき集

「毎回同じ前提を説明しなければならない」: Projectsを使うと引き継げます。「あなたとのやり取りはいつも○○が前提で」と書いておくと、次の会話でも有効です。設定方法は追補(QR)へ。

「画面に何か出てきたけど何なのか分からない」: Artifactsが表示されています。右側の動くパネルで、触って試せます。閉じたければ「×」か外側をクリックすれば消えます。怖くないです。

「日本語で話しかけていいか迷う」: 迷わず日本語でいいです。日本語で聞いたら日本語で返ってきます。話しかける言語と答える言語は、たいてい合わせてくれます。

深掘り

「手を持つ」とはどういうことか、もう少し詳しく見てみましょう。通常のチャットは「答えを教える」だけです。「このフォルダの写真を月ごとに分けるにはどうすればいい?」と聞いたら、手順を教えてくれます。でも自分でやらなければなりません。相棒(Claude Code)は違います。「このフォルダを月ごとに分けて」と頼んだら、実際にフォルダを作って、写真を移動して、終わったら「完了しました」と報告してきます。

入り口によってできることが変わるのも大事な話です。手元のパソコンのファイルを直接触れるのは、ターミナル(CLI)、VS Code などのIDEに入れる拡張機能、デスクトップアプリのローカルセッション、といった入り口です。いっぽう、ブラウザで開く Web 版(claude.ai/code)は、手元のファイルは直接触れません。GitHubのリポジトリをクラウド上で操作する入り口で、手元のフォルダを直接渡したいならデスクトップアプリかCLIが正解になります。どちらが合っているかは追補(QR)で確認してください。黒い画面はこの本では使いません。デスクトップアプリから始めるのが最も近いです。

例をもっと

「Downloadsフォルダのファイルを、拡張子ごとにサブフォルダに分けて整理して」(くらし・ファイル整理)

「このテキストファイルにある100件の住所リストから、都道府県ごとに集計した表を作って」(仕事・データ整理)

「Desktopにある写真から、ファイル名に2023が入っているものだけを別フォルダにまとめて」(くらし・絞り込み)

「この論文PDFを読んで、図表のタイトルだけ一覧にしてテキストファイルに出力して」(医療者向け・ダミーPDFで練習可)

「このフォルダにある音楽ファイルを、アーティスト名フォルダに整理して」(趣味・コレクション整理)

ごろつまずき集

「ブラウザで開いたのに手元のファイルを触れない」: Web版(claude.ai/code)はクラウド上での作業が前提で、手元のファイルは直接届きません。手元のファイルを任せるには、デスクトップアプリかCLIが必要です(追補QR参照)。

「頼んだことと違うファイルを動かされてしまった」: 最初に「どのフォルダを触っていいか」を明確に伝えることが大切です。「Desktopのphotosフォルダだけ」と範囲を絞るのが安全です。始めのうちは小さな範囲で試してみてください。

「途中で止まって何も言ってこない」: たいてい確認が必要な場面で待っています。画面を見ると「これでいいですか?」という質問が来ていることがあります。定期的に画面を見る習慣をつけると安心です。

深掘り

相棒(Claude Code)と Cowork の一番の違いは、「誰が一つひとつ確認するか」です。相棒は一手ごとにこちらに報告しながら進みます。「次はこのファイルを移動していいですか」「この名前でいいですか」と聞いてきます。Cowork は「行ってきます」と出かけ、手順のすべてをまとめて片づけて、「終わりました」と戻ってきます。その間、あなたは何もしなくていい。

ただ、「意思決定はユーザーに」という設計は変わりません。公式の説明にも「consequential decisions remain with the user」とある通り、大きな判断ポイントでは確認が入ります。自律的に走るから無法、ではなく、手を止めてほしい場面できちんと止まります。できることは具体的で、ファイルの整理・複数ソースを横断した文章のドラフト・報告書からのデータ抽出、などが公式確認済みの範囲です。有料プランで使えますが、フリープランは対象外なので、プランを確かめてから試してください。

例をもっと

「今週の会議メモが三つある。それぞれから決定事項と次のアクションだけ拾って、一枚の週まとめシートにして」(仕事・横断まとめ)

「Downloadsにある今月のレシートを読んで、種類ごとに集計して支出一覧を作って」(くらし・家計整理)

「この五本の論文の要旨から共通のキーワードを抽出して、テーマ別に分類して一覧にして」(医療者向け・ダミーPDF前提で練習可)

「来週のセミナー準備を頼みたい。資料のフォルダを見て、抜けているものをリストアップして」(仕事・準備確認)

「旅行のしおりを作って。日程は三日間、行き先は京都、移動手段は電車」(趣味・旅行)

ごろつまずき集

「フリープランで試そうとしたら使えなかった」: Cowork は有料プラン限定です。プロプラン以上が必要です。まず設定画面でプランを確かめてください。

「頼みごとをどう書けばいいか分からない」: 「一往復で終わる質問」より「手順がつながった用事」が向いています。「調べて→まとめて→ファイルに出力して」のような流れを一文で渡すと、うまく受け取ってくれます。

「途中で何をしているか分からなくて不安」: 画面を開いておくと、進行状況が流れてきます。全部追わなくていいですが、時々見て「こんな感じで進んでいるんだな」と把握するだけで安心感が変わります。

深掘り

Claude Design が作れるものを、少し具体的に見てみましょう。公式の情報では、製品のワイヤーフレームやモックアップ、ピッチデッキ(発表資料)、ランディングページ、SNS用の素材、キャンペーンビジュアル、さらには音声・動画・3D付きのインタラクティブなプロトタイプまで対応するとされています。作ったものは Canva・PDF・PowerPoint(PPTX)・スタンドアロンの HTML形式でエクスポートもできます。

もう一点、大事なことを。この子はAnthropicのLabs部門が提供するリサーチプレビュー段階のツールです。「まだ実験中」の位置づけで、機能や使える範囲は変わることがあります。また、有料プラン(Pro 以上)が必要で、フリープランでは使えません。「開こうとしたら弾かれた」という場合は、たいていプランか、プレビュー段階の制限によるものです。試す前にプランの確認を一手入れておくと、空振りを防げます。なお、この子が仕上げたデザインは、相棒(Claude Code)に渡してプログラムとして実装することも想定されています。デザインから実装への連携も、この兄弟ならではの流れです。

例をもっと

「地域のイベント告知チラシを作りたい。明るくて親しみやすい雰囲気で。サイズはA4」(くらし)

「会社説明会のスライドを十枚ほど作って。テーマはシンプルで落ち着いた感じ」(仕事)

「診療科のウェルカムボード用のポスターを作りたい。やさしい雰囲気で、文字は大きめに」(医療者向け・診察室掲示用・患者情報は含まない形で)

「音楽サークルの勧誘ポスターを作って。ちょっとポップな感じで。楽器のイラストを入れて」(趣味)

「英語学習のロードマップ図を一枚に。初級から上級まで矢印でつなぐ感じで」(学び)

ごろつまずき集

「開こうとしたら使えないと表示された」: プランが無料の場合は対象外です。また、リサーチプレビュー段階のため、地域や時期によって制限されることがあります。追補(QR)で最新の状況を確認してください。

「作りたいイメージをうまく言葉にできない」: 参考にしたい画像や色味を「こんな感じ」と一緒に添付するのが有効です。「青系で落ち着いた」「温かみがあって家庭的な」など雰囲気を表す言葉から入るだけでも、十分に動いてくれます。

「エクスポートしたPDFのフォントが崩れた」: PDF/PPTX へのエクスポートは大部分うまくいきますが、特殊なフォントや細かいレイアウトが崩れることがあります。まず HTML でエクスポートして確認してから、必要な形式に変換する手順が安心です。

深掘り

スマホアプリの音声機能には、実は二種類あります。混ぜると混乱するので、分けて押さえておきましょう。

一つ目は「ディクテーション」。話した内容をテキストに変換して、チャットの入力欄に入れてくれます。打つのが面倒な場面で、しゃべって打ち込む感覚で使えます。日本語に対応していて、フリープランを含む幅広いプランで使えます。

二つ目は「ボイスモード」。Claude と口頭で双方向に会話できる機能です。Claude 自身が音声で返答してきます。こちらは2026年時点では英語のみの対応で、日本語での双方向会話はまだ本格対応していません。日本語で使いたい場合は、今のところディクテーション(テキスト変換)が現実的です。

もう一点。パソコンで話していた続きをスマホでも持ち歩けます。アカウントが同じなら、会話の履歴が引き継がれます。「電車の中で思い出したことを続きから追加する」「帰りの電車でさっきの作業の結果を確認する」という使い方ができます。思いついた場所で開けば、どこでも同じ相手と続きが話せる。これがポケットのClaudeのいいところです。

例をもっと

「さっきデスクで話していた企画書の続き、今思いついたことを追加で入れて」(仕事・移動中の継続)

「明日の親戚の集まり、手土産のおすすめを三つ、候補の値段も入れて」(くらし・外出先で)

「この薬の飲み合わせについて調べたいことがある。明日の外来前に整理しておいて」(医療者向け・移動中のメモ整理)

「さっき見たお店の名前を忘れないうちに保存して、今週中にレビューを書くリマインダーもつけて」(くらし・外出先で)

「今読んでいる本で気になった一文を話す。あとで引用できるようにメモしておいて」(趣味・読書中)

ごろつまずき集

「しゃべったのに文字にならない」: マイクの権限をアプリに与えていない可能性があります。スマホの設定→アプリ→Claude→マイクをオンに切り替えてください。

「日本語で話しかけたのに英語で返ってきた」: ボイスモードは英語のみ対応(2026年時点)です。日本語で使いたい場合は、ディクテーション(テキスト変換)でしゃべってからテキスト送信する方法が確実です。

「パソコンの会話がスマホに出てこない」: ログインしているアカウントが違う可能性があります。同じメールアドレスでログインしているか確認してみてください。

深掘り

APIとは何か、怖くない範囲でもう少しだけ覗いてみましょう。「Application Programming Interface」の略で、ひらたく言うと「ソフト同士が話しかけ合うための共通のルール」です。Claude に向かって人が話しかけるのがチャットなら、API はソフトが自動で話しかける仕組みです。

たとえば、あなたが使っている病院の電子カルテや予約システムの中に、裏でClaudeが繋がっていて、入力した内容を整理してくれている、というのはAPIを使った実装です。ユーザーは画面上の操作しか見えないし、「これClaudeを使ってます」とすら表示されないことも多い。つまり、あなたがすでに使っているサービスの中に、こっそりAPIが働いていることがあるわけです。

この本を読んでいる段階では、APIを自分で使う必要はありません。ただ、「なんでこのアプリはClaudeっぽい返答をするんだろう」と感じたとき、「ああ、APIで繋いであるんだな」と分かるだけで十分です。知識として持っておくと、勉強会で「API活用」という言葉が出たとき、そういうことか、と落ち着いていられます。

例をもっと

(この節はごろが実演しないため、「知っておくとこう見える」という理解の例を並べます)

「この予約確認メールの文章、なんか自然な日本語だな」→ 裏でAPIが文章を作っていることがあります

「このチャットサポート、ずいぶん賢いな」→ カスタマーサポートのチャットにAPIが組み込まれていることがあります

「このアプリ、論文を要約してくれるんだけど、どうやってるんだろう」→ 論文要約サービスがAPIを使っている代表例です

「病院のシステムが入力した症状を整理してくれた。誰が書いたんだろう」→ 医療情報システムへのAI組み込みはAPIが担うことが多いです

ごろつまずき集

「APIって有料なんですか」: 従量制の料金がかかります。使った分だけ課金される仕組みで、ヘビーに使うと費用が跳ね上がることがあります。「大した作業をしていないのに思いがけず費用がかさんだ」という経験をした人は、APIを使っていた可能性があります。

「API経由で使うとどう違うんですか」: 細かい設定を自分でコントロールできます。「この長さで、この形式で、このモデルで返してほしい」という指定が自由にできます。チャット画面での操作より自由度が高い分、知識も要ります。

「将来、APIを使ってみたくなったら?」: そのときは、Anthropic の公式ドキュメントを出発点にしてください。この本の追補(QR)からもリンクを用意しています。今は読まなくて大丈夫です。

この章の転用サマリ

この章(15章 Claudeファミリー図鑑)は、講座1コマ(90分)の「道具の全体像を掴む回」として使えます。15-0 から15-6 まで七つのエントリで構成されており、M3連載(15分動画)なら7本分の独立した回になります。特に15-2(Claude Code)と15-3(Cowork)はそれぞれ20分以上使える実演素材を持つため、回を分割することも考えられます。日経メディカルのコラムとしては、一エントリにつき一本が目安で、「医師がまず知るべき入り口はどれか」という切り口でまとめれば連載3〜4回ぶんになります。ワークショップ(60分)なら、15-1と15-2の実演+Instructions for Claude の設定で60分が埋まります。章全体を通して「知る→やる→応用する」の段階が章内に揃っているため、入門から中級への橋渡しコンテンツとして再利用性が高いです。


あせらず、ゴロゴロ。
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