第1篇 ゴロニャン、目を覚ます
序章 まくら

あせらず、ゴロゴロ。0/ 5話 読了
称号「ただのゴロニャン」
夜です。ごろは布団にくるまって、スマホの光だけを顔に受けています。まだ何もしていません。指は画面の上で止まったままです。
タイムラインには、今日も「AIがすごい」が流れています。あの人はAIで仕事が三倍速くなったらしい。あの店はAIで売上が伸びたらしい。すごい、すごい、と誰かが言うたびに、ごろは布団をもう少しだけ深くかぶります。すごいのはわかりました。でも、それは向こう側の話です。

ごろは寝返りを打ちます。「なんか、みんなAIって言うけど。むずかしそうだし、自分には関係ないかな」。

Claude? なんだそれ、美味しいの? ごろはたぶん、新しいかつおぶしの銘柄か何かだと思っています。それくらいの距離感で、この本は始まります。

もう一度、寝返り。すると画面のすみに、小さな吹き出しがひとつ浮かんでいるのが見えました。「話しかけるだけでいいの?」。ごろの、半分閉じていた目が、ほんの少しだけ開きます。

ここが、扉です。
この章の話