21章 場をひらく編
21-2

案内と受付の下ごしらえ

受付で聞くのは、その会を回すのに要ることだけ。

会の案内文をつくるとき、来る人が「行ってみようかな」と思うのは、どっちの書き方でしょう。

  • A. 内容をもれなく、たくさん書いた案内
  • B. 「誰向けで、何ができて、何がいらないか」が、ぱっと分かる案内

答えは、この話のいちばん下にあります。

この話を読むと

会の告知文・申込みの受け方・前日のリマインドまで、相棒と一緒に下ごしらえできるようになります。第11章の「下書き工場」を、こんどは人を招くために使います。

案内文は、うまく書こうとするほど、長く、固くなります。あれもこれも書いておかないと不親切かな、と思って、気づけば読む気の失せる長文になる。でも、来る人がほんとうに知りたいのは、三つだけです。これは自分向けの会か。行くと何ができるか。何を持っていけばいいか。この三つがぱっと分かれば、人は手を挙げます。ごろも、はじめは全部を書こうとして、案内が説明書みたいになっていました。

長い案内巻物から相棒が『こんな人へ/できること/持ち物』の三行だけを小カードへ抜き出す

案内文の下ごしらえは、三つの見出しで頼みます。「こんな人におすすめ」「この会でできること」「持ち物と、いらないもの」。とくに「いらないもの」が効きます。「予習はいりません」「くわしくない人ほど歓迎です」の一行が、いちばん背中を押します。人が来ないのは、興味がないからではなく、「自分なんかが行っていいのかな」でためらっているからです。

申込みの受け方も、下ごしらえします。ここで、章のはじめの手すりが効いてきます。受付で聞くのは、その会を回すのに要ることだけ。 来る人数を知りたいだけなら、名前と「来られるか」で十分です。連絡がつく手段が一つあれば、それで足ります。住所も、勤め先も、いりません。少なく聞くほど、あなたの預かる荷が軽くなり、相手も気軽に手を挙げられます。

そして前日のリマインド。前日に一言、「明日お待ちしています。持ち物はこれです。道順はこちら」と送るだけで、来る人の不安がふっと消えます。この下書きも、相棒に用意してもらえます。ただし、送るボタンを押すのは、あなたの指です。

もう一つ、当日に写真を撮るつもりなら、案内文に一言そえておきます。「会の様子を写真に撮って、次の会のお知らせに使うことがあります。うつりたくない方は、当日お声がけください」。撮ってから困るより、撮る前にことわる。受付で聞くことを先に決めたのと同じで、写真も、先に決めておくと軽くなります。

実演

ごろは、こう頼みました。

「はじめてのAI体験会の案内文を作ってください。『こんな人へ』『できること』『持ち物』の三つの見出しで、短く。予習がいらないこと、くわしくない人ほど歓迎なことを、はっきり書いて。申込みで聞くのは、名前と来られるかだけにしたいです。」

やさしい案内文が、すっと出てきました。ごろは満足しかけて、申込みの欄を見て手が止まります。相棒が気をきかせて、「AI経験の有無」「使っている端末」まで聞く欄を足していました。ごろは気づきます。「そんなに聞かなくていい」。余分な欄を、二つとも消しました。

聞かないことを、先に決める。ごろは、人を招くときのいちばん大事な手すりに、じかに触れました。

ごろはじめの一歩
  • どこで: チャット画面で案内文を下書き。送るのは、いつもの連絡手段で。
  • どうやって: 「三つの見出しで、短く、やさしく」と頼む。申込みは「聞くのは名前と可否だけ」と先に区切る。
  • きっかけ: 会の計画(前の勝負)ができた、その勢いのまま。作る、案内する、を一続きに。
  • 3分でためす: 「この案内を、名前と可否だけ書ける一枚のWebページ(HTML)にして」と頼み、返ってきたファイルを、ダブルクリックして自分のブラウザで開いてみる。確かめ方は、三つの見出しと、名前・可否の二つの入力欄だけが並んで見えるかどうか。余分な項目が出ていたら、その場で「その欄は消して」と一言。第11章の下書き工場が、こんどは人を招く受付になります。作って、開いて確かめて、送るのは自分の指。
ごろはじめの一歩

あせらず、ゴロゴロ。

実録・やってみた

前の勝負で、会の計画は一枚にまとまりました。次は、これを人に伝えて、来てもらう番です。ごろの手元には、計画のカードと、「誰に声をかけるか」の顔ぶれだけがあります。

手元にあるもの
・会の計画カード(ゴール・人数・場所・流れ)
・声をかけたい顔ぶれ(タマ、ご近所さん、友だち数人)
これから作るもの
・案内文  ・申込みの受け方  ・前日のリマインド
ごろ
ごろが打った文「はじめてのAI体験会の案内文を作ってください。『こんな人へ』『できること』『持ち物』の三つの見出しで、短く。予習がいらないこと、くわしくない人ほど歓迎なことを、はっきり書いて。申込みで聞くのは、名前と来られるかだけにしたいです。」
相棒
相棒の返答「やさしめの案内文にしました。
〈はじめてのAI、さわってみる会〉

【こんな人へ】
AIが気になるけど、まだ一回も触ったことがない人。
「くわしくないから…」という人ほど、大歓迎です。

【できること】
自分の言葉で一回、AIに話しかけて、返事をもらう。
それだけ持って帰れれば、この会は大成功です。

【持ち物・いらないもの】
スマホかノートPCを一つ(なければ貸します)。
予習はいりません。むずかしい準備も、ゼロです。

〈申込み〉
お名前と、来られるかどうか、だけ教えてください。
・お名前:
・当日:(来られる / 未定)
・AI経験:(なし / 少し / けっこう)   ← あると進行の参考に
・お使いの端末:(スマホ / PC)        ← あると準備の参考に

画面で見えること三つの見出しの、やさしい案内文が出ました。ただ、申込みの欄に、頼んでいない「AI経験」と「端末」の二行が足されています。

ごろは、案内文の本文には満足しました。でも、申込みの欄で手が止まります。相棒が気をきかせて、聞く項目を勝手に増やしていたのです。

ごろ
ごろが打った文「案内文はいい感じ。でも申込みで、AI経験と端末は聞かないことにします。当日、話せば分かることだし、少なく聞きたいので。名前と来られるか、の二つだけに戻してください。」
相棒
相棒の返答「二つに戻しました。当日その場で分かることは、事前に聞かない形にしています。
〈申込み〉
お名前と、来られるかどうか、だけ教えてください。
・お名前:
・当日:(来られる / 未定)

画面で見えること申込みの欄が、二行だけになりました。すっきりして、相手も書きやすそうです。

ついでに、前日のリマインドも下書きしてもらいました。

前日リマインド(下書き)
「明日は、はじめてのAI体験会です。お待ちしています。
 持ち物はスマホかPCを一つだけ(なければ貸します)。
 予習はいりません。手ぶらな気持ちで来てください。
 場所と道順は、この下に。」

受付で聞くのは、その会を回すのに要ることだけ。 ごろは、相棒が親切心で増やした欄を消すことで、この章の手すりを自分の手で守りました。

この日はこう返ってきました。案内文の言い回しや、リマインドの温度は、頼むたびにすこし変わります。

手順
  1. 案内文を「三つの見出しで、短く」と頼む

    こうした方がいい

    「こんな人へ・できること・持ち物」に絞ると、読まれる

    ごろはこうしてみた

    三つの見出しで頼み、長文を避けた。

  2. 「いらないもの」を、はっきり書いてもらう

    こうした方がいい

    「予習不要・くわしくない人ほど歓迎」が、いちばん背中を押す

    ごろはこうしてみた

    その一行を入れてもらった。

  3. 申込みで聞くことを、先に絞る

    こうした方がいい

    「名前と可否だけ」と区切ると、相手も気軽に手を挙げる

    ごろはこうしてみた

    二つだけにすると先に決めた。

  4. 相棒が足した余分な項目を、消す

    こうした方がいい

    当日その場で分かることは、事前に聞かない

    ごろはこうしてみた

    「AI経験」と「端末」の二行を消した。

  5. 前日のリマインドも、下書きしておく

    こうした方がいい

    「持ち物・道順・予習不要」の一言で、当日の不安が消える

    ごろはこうしてみた

    リマインドの下書きも用意した。

  6. 送るのは、自分の指で

    こうした方がいい

    案内も申込みの案内も、送信は相棒に任せない

    ごろはこうしてみた

    下書きを見直してから、自分で送った。

うまくいったかの確かめ方

案内文が三つの見出しにおさまっていて、申込みで聞く項目が「その会に本当に要るもの」だけになっていれば成功です。「予習はいりません」に当たる一行が入っていれば、人は動きやすくなります。

手順(全3ステップ):

  1. 「こんな人へ・できること・持ち物」の三つの見出しで、会の案内文を下書きするよう頼む。「予習はいらない」を必ず一行入れてもらう。
  2. 申込みで聞く項目を「名前と来られるか」の二つだけに絞る。相棒が増やした余分な項目は自分で消す。
  3. 前日のリマインド文を下書きしてもらい、送信は自分の指で押す。
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所要目安:15分〜20分

到達チェック:

  • できたら○ 案内文が三つの見出しに収まり、「予習不要」の一行が入った
  • できたら○ 申込みで聞く項目を、会に要るものだけに絞れた

あせらず、ゴロゴロ。


答えタップして答え合わせ
ごろ

B。 たくさん書いた案内ほど、読まれずに閉じられます。

来る人が知りたいのは「自分向けか・何ができるか・何がいらないか」の三つだけ。とくに「予習はいりません」の一行が、いちばん人を動かします。もれなくより、ぱっと分かる、です。

ごろあなたの番3分

そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。

読書会の案内文を作ってください。課題本と日時は決まっています。「こんな人へ・当日の流れ・持ち物」の三つで短く。本を読み切れていなくても参加OK、と一行はっきり入れて。

(医療者向け・ダミーデータ前提)院内勉強会の案内文を。「予習不要・忙しい日勤明けでも歓迎」の温度で。申込みで聞くのは名前と可否だけ。扱う題材はすべて仮のダミーである、と案内にも一行明記してください。

増補もっと知りたい人へ (3)
深掘り

「聞かないことを、先に決める」のは、思っている以上に大事です。項目を一つ足すたびに、相手は「これ、答えていいのかな」とためらい、あなたは「預かった情報を、ちゃんと守らなきゃ」という荷を背負います。少なく聞くのは、手抜きではなく、お互いの荷を軽くする配慮です。相棒は、気をきかせて項目を増やしがちです。「あったほうが便利では」と足してくる。だからこそ、聞くことは自分の側で決めて、増えたぶんは消す、という手綱を握っておきます。便利さより、集めすぎない。この順番は、人の情報を扱うかぎり、ずっと守る値打ちがあります。

案内文が「もれなく」より「ぱっと分かる」ほうがいいのにも、理由があります。人は、長い案内を前にすると、読む前に「めんどくさそう」と感じて閉じます。とくに、まだ経験のない人ほど、そうです。三つの見出しに絞るのは、情報をケチることではなく、いちばん来てほしい「こわがっている人」の指を、閉じるボタンから止めることです。そして、この下書きはあくまで下書きです。誰に送るか、いつ送るか、そもそも今回は見送るか。その判断は、いつもあなたの側にあります。作るのは相棒、招くのは自分の指。前の章から続く線が、ここでも生きています。

例をもっと

読書会の案内文を作ってください。課題本と日時は決まっています。「こんな人へ・当日の流れ・持ち物」の三つで短く。本を読み切れていなくても参加OK、と一行はっきり入れて。

オンライン勉強会の案内文を。参加リンクの入り方が不安な人向けに、「つなぎ方がわからなくても、はじめにサポートします」の一言を添えて。申込みは名前と可否だけで。

職場の昼休み体験会の告知を、社内向けにやわらかく。「仕事の合間に、ふらっと来て、ふらっと帰ってOK」の温度で。強制感が出ないように。

前日のリマインド文を、三パターン作ってください。オンライン用・対面用・「持ち物がある会」用。それぞれ短く、相手が身がまえない感じで。

(医療者向け・ダミーデータ前提)院内勉強会の案内文を。「予習不要・忙しい日勤明けでも歓迎」の温度で。申込みで聞くのは名前と可否だけ。扱う題材はすべて仮のダミーである、と案内にも一行明記してください。

ごろつまずき集
  • 症状: 案内文が長くて、固い。原因: もれなく書こうとしている。一手: 「三つの見出しで、短く」と区切ります。ごろが巻物を三行カードに縮めたのが、これです。
  • 症状: 申込みの項目が、いつの間にか増えている。原因: 相棒が気をきかせて足した。一手: 聞くことは自分で決め、余分を消します。当日その場で分かることは、事前に聞きません。
  • 症状: 案内を出したのに、人が集まらない。原因: 「くわしくない人ほど歓迎」が伝わっていない。一手: いらないもの(予習・準備)を、はっきり書きます。ためらいの正体は、たいてい「自分なんかが」です。
  • 症状: 当日、来ない人・遅れる人が多い。原因: リマインドを送っていない。一手: 前日に一言、持ち物と道順を添えて送ります。下書きは相棒、送信は自分の指で。
あせらず、ゴロゴロ。
読んだ