案内と受付の下ごしらえ
受付で聞くのは、その会を回すのに要ることだけ。
会の案内文をつくるとき、来る人が「行ってみようかな」と思うのは、どっちの書き方でしょう。
- A. 内容をもれなく、たくさん書いた案内
- B. 「誰向けで、何ができて、何がいらないか」が、ぱっと分かる案内
答えは、この話のいちばん下にあります。
会の告知文・申込みの受け方・前日のリマインドまで、相棒と一緒に下ごしらえできるようになります。第11章の「下書き工場」を、こんどは人を招くために使います。
案内文は、うまく書こうとするほど、長く、固くなります。あれもこれも書いておかないと不親切かな、と思って、気づけば読む気の失せる長文になる。でも、来る人がほんとうに知りたいのは、三つだけです。これは自分向けの会か。行くと何ができるか。何を持っていけばいいか。この三つがぱっと分かれば、人は手を挙げます。ごろも、はじめは全部を書こうとして、案内が説明書みたいになっていました。

案内文の下ごしらえは、三つの見出しで頼みます。「こんな人におすすめ」「この会でできること」「持ち物と、いらないもの」。とくに「いらないもの」が効きます。「予習はいりません」「くわしくない人ほど歓迎です」の一行が、いちばん背中を押します。人が来ないのは、興味がないからではなく、「自分なんかが行っていいのかな」でためらっているからです。
申込みの受け方も、下ごしらえします。ここで、章のはじめの手すりが効いてきます。受付で聞くのは、その会を回すのに要ることだけ。 来る人数を知りたいだけなら、名前と「来られるか」で十分です。連絡がつく手段が一つあれば、それで足ります。住所も、勤め先も、いりません。少なく聞くほど、あなたの預かる荷が軽くなり、相手も気軽に手を挙げられます。
そして前日のリマインド。前日に一言、「明日お待ちしています。持ち物はこれです。道順はこちら」と送るだけで、来る人の不安がふっと消えます。この下書きも、相棒に用意してもらえます。ただし、送るボタンを押すのは、あなたの指です。
もう一つ、当日に写真を撮るつもりなら、案内文に一言そえておきます。「会の様子を写真に撮って、次の会のお知らせに使うことがあります。うつりたくない方は、当日お声がけください」。撮ってから困るより、撮る前にことわる。受付で聞くことを先に決めたのと同じで、写真も、先に決めておくと軽くなります。
ごろは、こう頼みました。
「はじめてのAI体験会の案内文を作ってください。『こんな人へ』『できること』『持ち物』の三つの見出しで、短く。予習がいらないこと、くわしくない人ほど歓迎なことを、はっきり書いて。申込みで聞くのは、名前と来られるかだけにしたいです。」
やさしい案内文が、すっと出てきました。ごろは満足しかけて、申込みの欄を見て手が止まります。相棒が気をきかせて、「AI経験の有無」「使っている端末」まで聞く欄を足していました。ごろは気づきます。「そんなに聞かなくていい」。余分な欄を、二つとも消しました。
聞かないことを、先に決める。ごろは、人を招くときのいちばん大事な手すりに、じかに触れました。
はじめの一歩- どこで: チャット画面で案内文を下書き。送るのは、いつもの連絡手段で。
- どうやって: 「三つの見出しで、短く、やさしく」と頼む。申込みは「聞くのは名前と可否だけ」と先に区切る。
- きっかけ: 会の計画(前の勝負)ができた、その勢いのまま。作る、案内する、を一続きに。
- 3分でためす: 「この案内を、名前と可否だけ書ける一枚のWebページ(HTML)にして」と頼み、返ってきたファイルを、ダブルクリックして自分のブラウザで開いてみる。確かめ方は、三つの見出しと、名前・可否の二つの入力欄だけが並んで見えるかどうか。余分な項目が出ていたら、その場で「その欄は消して」と一言。第11章の下書き工場が、こんどは人を招く受付になります。作って、開いて確かめて、送るのは自分の指。
はじめの一歩あせらず、ゴロゴロ。
前の勝負で、会の計画は一枚にまとまりました。次は、これを人に伝えて、来てもらう番です。ごろの手元には、計画のカードと、「誰に声をかけるか」の顔ぶれだけがあります。
手元にあるもの
・会の計画カード(ゴール・人数・場所・流れ)
・声をかけたい顔ぶれ(タマ、ご近所さん、友だち数人)
これから作るもの
・案内文 ・申込みの受け方 ・前日のリマインド〈はじめてのAI、さわってみる会〉
【こんな人へ】
AIが気になるけど、まだ一回も触ったことがない人。
「くわしくないから…」という人ほど、大歓迎です。
【できること】
自分の言葉で一回、AIに話しかけて、返事をもらう。
それだけ持って帰れれば、この会は大成功です。
【持ち物・いらないもの】
スマホかノートPCを一つ(なければ貸します)。
予習はいりません。むずかしい準備も、ゼロです。
〈申込み〉
お名前と、来られるかどうか、だけ教えてください。
・お名前:
・当日:(来られる / 未定)
・AI経験:(なし / 少し / けっこう) ← あると進行の参考に
・お使いの端末:(スマホ / PC) ← あると準備の参考に」
画面で見えること三つの見出しの、やさしい案内文が出ました。ただ、申込みの欄に、頼んでいない「AI経験」と「端末」の二行が足されています。
ごろは、案内文の本文には満足しました。でも、申込みの欄で手が止まります。相棒が気をきかせて、聞く項目を勝手に増やしていたのです。
〈申込み〉
お名前と、来られるかどうか、だけ教えてください。
・お名前:
・当日:(来られる / 未定)」
画面で見えること申込みの欄が、二行だけになりました。すっきりして、相手も書きやすそうです。
ついでに、前日のリマインドも下書きしてもらいました。
前日リマインド(下書き)
「明日は、はじめてのAI体験会です。お待ちしています。
持ち物はスマホかPCを一つだけ(なければ貸します)。
予習はいりません。手ぶらな気持ちで来てください。
場所と道順は、この下に。」受付で聞くのは、その会を回すのに要ることだけ。 ごろは、相棒が親切心で増やした欄を消すことで、この章の手すりを自分の手で守りました。
この日はこう返ってきました。案内文の言い回しや、リマインドの温度は、頼むたびにすこし変わります。
案内文を「三つの見出しで、短く」と頼む
こうした方がいい「こんな人へ・できること・持ち物」に絞ると、読まれる
ごろはこうしてみた三つの見出しで頼み、長文を避けた。
「いらないもの」を、はっきり書いてもらう
こうした方がいい「予習不要・くわしくない人ほど歓迎」が、いちばん背中を押す
ごろはこうしてみたその一行を入れてもらった。
申込みで聞くことを、先に絞る
こうした方がいい「名前と可否だけ」と区切ると、相手も気軽に手を挙げる
ごろはこうしてみた二つだけにすると先に決めた。
相棒が足した余分な項目を、消す
こうした方がいい当日その場で分かることは、事前に聞かない
ごろはこうしてみた「AI経験」と「端末」の二行を消した。
前日のリマインドも、下書きしておく
こうした方がいい「持ち物・道順・予習不要」の一言で、当日の不安が消える
ごろはこうしてみたリマインドの下書きも用意した。
送るのは、自分の指で
こうした方がいい案内も申込みの案内も、送信は相棒に任せない
ごろはこうしてみた下書きを見直してから、自分で送った。
案内文が三つの見出しにおさまっていて、申込みで聞く項目が「その会に本当に要るもの」だけになっていれば成功です。「予習はいりません」に当たる一行が入っていれば、人は動きやすくなります。
手順(全3ステップ):
- 「こんな人へ・できること・持ち物」の三つの見出しで、会の案内文を下書きするよう頼む。「予習はいらない」を必ず一行入れてもらう。
- 申込みで聞く項目を「名前と来られるか」の二つだけに絞る。相棒が増やした余分な項目は自分で消す。
- 前日のリマインド文を下書きしてもらい、送信は自分の指で押す。
所要目安:15分〜20分
到達チェック:
- できたら○ 案内文が三つの見出しに収まり、「予習不要」の一行が入った
- できたら○ 申込みで聞く項目を、会に要るものだけに絞れた
あせらず、ゴロゴロ。
答えタップして答え合わせ

B。 たくさん書いた案内ほど、読まれずに閉じられます。
来る人が知りたいのは「自分向けか・何ができるか・何がいらないか」の三つだけ。とくに「予習はいりません」の一行が、いちばん人を動かします。もれなくより、ぱっと分かる、です。
あなたの番3分そのまま使える文例です。コピーして、自分の言葉に少し変えて使ってみてください。
読書会の案内文を作ってください。課題本と日時は決まっています。「こんな人へ・当日の流れ・持ち物」の三つで短く。本を読み切れていなくても参加OK、と一行はっきり入れて。
(医療者向け・ダミーデータ前提)院内勉強会の案内文を。「予習不要・忙しい日勤明けでも歓迎」の温度で。申込みで聞くのは名前と可否だけ。扱う題材はすべて仮のダミーである、と案内にも一行明記してください。
増補もっと知りたい人へ (3)
「聞かないことを、先に決める」のは、思っている以上に大事です。項目を一つ足すたびに、相手は「これ、答えていいのかな」とためらい、あなたは「預かった情報を、ちゃんと守らなきゃ」という荷を背負います。少なく聞くのは、手抜きではなく、お互いの荷を軽くする配慮です。相棒は、気をきかせて項目を増やしがちです。「あったほうが便利では」と足してくる。だからこそ、聞くことは自分の側で決めて、増えたぶんは消す、という手綱を握っておきます。便利さより、集めすぎない。この順番は、人の情報を扱うかぎり、ずっと守る値打ちがあります。
案内文が「もれなく」より「ぱっと分かる」ほうがいいのにも、理由があります。人は、長い案内を前にすると、読む前に「めんどくさそう」と感じて閉じます。とくに、まだ経験のない人ほど、そうです。三つの見出しに絞るのは、情報をケチることではなく、いちばん来てほしい「こわがっている人」の指を、閉じるボタンから止めることです。そして、この下書きはあくまで下書きです。誰に送るか、いつ送るか、そもそも今回は見送るか。その判断は、いつもあなたの側にあります。作るのは相棒、招くのは自分の指。前の章から続く線が、ここでも生きています。
読書会の案内文を作ってください。課題本と日時は決まっています。「こんな人へ・当日の流れ・持ち物」の三つで短く。本を読み切れていなくても参加OK、と一行はっきり入れて。
オンライン勉強会の案内文を。参加リンクの入り方が不安な人向けに、「つなぎ方がわからなくても、はじめにサポートします」の一言を添えて。申込みは名前と可否だけで。
職場の昼休み体験会の告知を、社内向けにやわらかく。「仕事の合間に、ふらっと来て、ふらっと帰ってOK」の温度で。強制感が出ないように。
前日のリマインド文を、三パターン作ってください。オンライン用・対面用・「持ち物がある会」用。それぞれ短く、相手が身がまえない感じで。
(医療者向け・ダミーデータ前提)院内勉強会の案内文を。「予習不要・忙しい日勤明けでも歓迎」の温度で。申込みで聞くのは名前と可否だけ。扱う題材はすべて仮のダミーである、と案内にも一行明記してください。
つまずき集- 症状: 案内文が長くて、固い。原因: もれなく書こうとしている。一手: 「三つの見出しで、短く」と区切ります。ごろが巻物を三行カードに縮めたのが、これです。
- 症状: 申込みの項目が、いつの間にか増えている。原因: 相棒が気をきかせて足した。一手: 聞くことは自分で決め、余分を消します。当日その場で分かることは、事前に聞きません。
- 症状: 案内を出したのに、人が集まらない。原因: 「くわしくない人ほど歓迎」が伝わっていない。一手: いらないもの(予習・準備)を、はっきり書きます。ためらいの正体は、たいてい「自分なんかが」です。
- 症状: 当日、来ない人・遅れる人が多い。原因: リマインドを送っていない。一手: 前日に一言、持ち物と道順を添えて送ります。下書きは相棒、送信は自分の指で。
